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酒場のビール

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 ドアの近くに、持ってきたロウソクが置かれている。その光に反射して金属が眩く光る。



雪弥の首には刃物が突きつけられていた。



身動きが取れずにいた。首の近くにある剣先は少しも揺れたりはしない。

ほとんどの体重が背に回されたジョナサンの腕にかかっている為、こちらの緊張も直接肌から伝わっているのだろう。



『旅慣れた格好に見えるが。

君からはそんな気配は何も感じられないな。鍛えられた肉体、知識。それなりに長く旅をするには賢い判断力や思考力も必要なはずだ。』


優しいと思っていた瞳が今は冷たく見つめてくる。瞳が鋭く、オオカミの目と似ている。



『まるで旅に出たばかりの少年の様にしか見えない。盗んだにしては身につけている服のサイズが異なるわけでもなく。

・・・・・・・・・・君はいったい何者だ。』




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