1 / 10
第1話 病は世界を枯らす
しおりを挟む
2020年冬。私は生きている。生きて生きて息して、ただペンを持っていた。
けれど、半年前。夏だったあの頃は私の半分が死んでいた。枯れかけていた……。
そう、日本も。
──────
日本を枯らしたのはある病気だった。
発症場所:日本(1例目死亡日:2018.11.11)
症状:初期はうつ病と同症状であり、気持ちが沈み、生きることに対しての嫌悪感に包まれる。
生きることを諦めた途端、病状は急激に悪化。極端に無気力化が進み、枯れるように静かに死へと向かってしまう。
病名:うつ枯れ病
この病気は未だ、解明されていない。ましてや治る方法なんてわかっていないのだ。
ただ1つ言えることとすれば、人が死んでいる。
死んで死んで死んで死んで、世界が雨に打たれている。
──────
うつ枯れ病が流行したと考えられる要因として、急激な世界恐慌が挙げられていた。
景気が悪くなり、失業者が増え、大人たちがうつ病になりやすかった。生活が不便になると、少しでも稼ごうとバイトや内職を増やし、質のいい睡眠は取れなくなる。そして脳が休まらないことにより、よくない事ばかり考えてしまう。この負の連鎖が精神の不安定につながるのではないか。
そう、テレビの中の人が考察を広げていた。
──もっと早くに考察してくれればよかったのに。
うつ病は精神病。だから死ぬことはない。身体は元気である。
以前の甘い考えのせいでこの世界が壊れた。そう言っても過言ではない。
亡くなってしまった人達はたまたまだ、と半年ほど放置され、悲劇の連鎖がしばらく続いていたから──。
でもある医師が連鎖を断とうと立ち上がった。
「人が死んでいるんです。そこには何かしらの理由がきっとあるはずです……!」
1年ほど前の言葉。世界を動かした彼は河野 大夢という精神科医であった。その日から昼のニュース番組にひっぱりだこな有名な先生だ。テレビで彼を見ない日はないだろう。
彼はうつ枯れ病の原因解明のために仕事をしていて、都内の総合病院で働いている。
それだけじゃない。
私の担当医でもあったのだ。
そう、私はうつ枯れ病患だ。
ここまでこんなにも意志を持って話している私は無気力ではないし、患者なの? と疑問に思われても仕方がない。
なぜこんなにも元気かって? それはね、これを書くためなのかもしれない。
──私はふと時計を見上げた。
もうすぐ10時になる。私はペンを置いて、この時間にやってくる先生をただただ待っていた。
******
初めまして! 雨宮苺香です🍓
この度、アルファポリス限定で「私はいつか、先生みたいに……。」を公開させていただきます。
こちらの作品は「先生、私は間違っていますか……?」と同じ世界観を書いていますが、全く違う物語を書き広げていきます!
作品の内容は、現在世界を混乱させているあの病を意識し、世界の暗さを表現しながらも、そこから少女がどう生き、どんな選択をするのか。それがどんな結果をもたらすのか、という世界に縛られない生き方を描こうと思い、書き始めた作品となります。
まだまだ感染が爆発している病。
精神病は感染せずとも、世界が暗ければ伝染していくものです。
だからこそ私は、世界を少しでも照らしたい。
若き私が立ち上がることで周りの人々が1歩前に歩き出すような、そんな物語を創りたいと思います。
私なりにメッセージを込めながら、毎日更新していくので、どうぞ最後までお付き合いください*.+゚
また、「先生、私は間違っていますか……?」と比べながら、そして楽しんでもらえたら嬉しいです🌸
お気に入りの登録や感想もお待ちしております! モチベーションにも繋がるので気軽によろしくお願いしますね!!
(更新時間:火木日曜日の18時~21時です! 遅れる場合はツイッターにて連絡いたします)
それでは続きをお楽しみください!
↓↓↓
けれど、半年前。夏だったあの頃は私の半分が死んでいた。枯れかけていた……。
そう、日本も。
──────
日本を枯らしたのはある病気だった。
発症場所:日本(1例目死亡日:2018.11.11)
症状:初期はうつ病と同症状であり、気持ちが沈み、生きることに対しての嫌悪感に包まれる。
生きることを諦めた途端、病状は急激に悪化。極端に無気力化が進み、枯れるように静かに死へと向かってしまう。
病名:うつ枯れ病
この病気は未だ、解明されていない。ましてや治る方法なんてわかっていないのだ。
ただ1つ言えることとすれば、人が死んでいる。
死んで死んで死んで死んで、世界が雨に打たれている。
──────
うつ枯れ病が流行したと考えられる要因として、急激な世界恐慌が挙げられていた。
景気が悪くなり、失業者が増え、大人たちがうつ病になりやすかった。生活が不便になると、少しでも稼ごうとバイトや内職を増やし、質のいい睡眠は取れなくなる。そして脳が休まらないことにより、よくない事ばかり考えてしまう。この負の連鎖が精神の不安定につながるのではないか。
そう、テレビの中の人が考察を広げていた。
──もっと早くに考察してくれればよかったのに。
うつ病は精神病。だから死ぬことはない。身体は元気である。
以前の甘い考えのせいでこの世界が壊れた。そう言っても過言ではない。
亡くなってしまった人達はたまたまだ、と半年ほど放置され、悲劇の連鎖がしばらく続いていたから──。
でもある医師が連鎖を断とうと立ち上がった。
「人が死んでいるんです。そこには何かしらの理由がきっとあるはずです……!」
1年ほど前の言葉。世界を動かした彼は河野 大夢という精神科医であった。その日から昼のニュース番組にひっぱりだこな有名な先生だ。テレビで彼を見ない日はないだろう。
彼はうつ枯れ病の原因解明のために仕事をしていて、都内の総合病院で働いている。
それだけじゃない。
私の担当医でもあったのだ。
そう、私はうつ枯れ病患だ。
ここまでこんなにも意志を持って話している私は無気力ではないし、患者なの? と疑問に思われても仕方がない。
なぜこんなにも元気かって? それはね、これを書くためなのかもしれない。
──私はふと時計を見上げた。
もうすぐ10時になる。私はペンを置いて、この時間にやってくる先生をただただ待っていた。
******
初めまして! 雨宮苺香です🍓
この度、アルファポリス限定で「私はいつか、先生みたいに……。」を公開させていただきます。
こちらの作品は「先生、私は間違っていますか……?」と同じ世界観を書いていますが、全く違う物語を書き広げていきます!
作品の内容は、現在世界を混乱させているあの病を意識し、世界の暗さを表現しながらも、そこから少女がどう生き、どんな選択をするのか。それがどんな結果をもたらすのか、という世界に縛られない生き方を描こうと思い、書き始めた作品となります。
まだまだ感染が爆発している病。
精神病は感染せずとも、世界が暗ければ伝染していくものです。
だからこそ私は、世界を少しでも照らしたい。
若き私が立ち上がることで周りの人々が1歩前に歩き出すような、そんな物語を創りたいと思います。
私なりにメッセージを込めながら、毎日更新していくので、どうぞ最後までお付き合いください*.+゚
また、「先生、私は間違っていますか……?」と比べながら、そして楽しんでもらえたら嬉しいです🌸
お気に入りの登録や感想もお待ちしております! モチベーションにも繋がるので気軽によろしくお願いしますね!!
(更新時間:火木日曜日の18時~21時です! 遅れる場合はツイッターにて連絡いたします)
それでは続きをお楽しみください!
↓↓↓
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】雨上がり、後悔を抱く
私雨
ライト文芸
夏休みの最終週、海外から日本へ帰国した田仲雄己(たなか ゆうき)。彼は雨之島(あまのじま)という離島に住んでいる。
雄己を真っ先に出迎えてくれたのは彼の幼馴染、山口夏海(やまぐち なつみ)だった。彼女が確実におかしくなっていることに、誰も気づいていない。
雨之島では、とある迷信が昔から吹聴されている。それは、雨に濡れたら狂ってしまうということ。
『信じる』彼と『信じない』彼女――
果たして、誰が正しいのだろうか……?
これは、『しなかったこと』を後悔する人たちの切ない物語。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ネジバナ
cassisband
ライト文芸
私は頭が自分の意思とは関係なく、勝手に右を向く奇病に悩まされるようになっていた。死を意識しながらも、病院を何件も梯子をして、やっと病名にたどり着く。それは「首のジストニア」だった。いわゆる脳の機能異常だ。
妻、両親、兄姉の支えの元、難病と向き合うことを決意する。その矢先、父さんが倒れた。私は帰省して、父との共同の闘病生活が始まるのだった。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
スパイスカレー洋燈堂 ~裏路地と兎と錆びた階段~
桜あげは
ライト文芸
入社早々に躓く気弱な新入社員の楓は、偶然訪れた店でおいしいカレーに心を奪われる。
彼女のカレー好きに目をつけた店主のお兄さんに「ここで働かない?」と勧誘され、アルバイトとして働き始めることに。
新たな人との出会いや、新たなカレーとの出会い。
一度挫折した楓は再び立ち上がり、様々なことをゆっくり学んでいく。
錆びた階段の先にあるカレー店で、のんびりスパイスライフ。
第3回ライト文芸大賞奨励賞いただきました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる