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エピソード2 溶かす
しおりを挟むほんと、意味わかんない。
なんで私なの? わたしだから……?
淡い期待はこの頬に押し付けられた温度でさらに膨らんだ。
君から受け取ったホッカイロが落ちないように自分の手で押さえて、私はそのまま動けずにいる。
君の背中を追って、でも見てるだけで苦しくなった私は逃げるように雪の降る窓に視線を送った。
この外の天気だったらあれだけ手も冷えるよね。
いいのかな、カイロもらっちゃっても。
せっかく君から視線を逸らしたというのに全く意味がない。
私の中は君ばかりだ。
……だから嘘をつくんだ。
体中の細胞が熱に溶けそうになっているというのに、君の前だけは強がってる。
このまま誰にも、君にも気づかれないようにって気持ちを隠してる。
本音が窓ガラスに反射されないように窓を見ることをやめて机の上に頬杖をついた。
君の手の温度が恋しくて、あんなに冷たい君の手は私の中で一番温かくて。
あぁ、やっぱり好きなんだよな。
気持ちを分離させても表面しか偽れなくて、ごまかしたのに〝好き〟にたどり着いてしまう。
全部どろどろに溶けて、溶けて、とろけて。
あぁ、全部うそならいいのにな。
揺れて溶くなりそうになる感情の1つ。でも確かに今、私の中に恋として君が存在している――。
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