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刑事の不本意な呼び出し
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「ふん。この悪魔に弱みでも握られ「助手兼居候です」……は?」
「先生のお手伝いをすべく未来からやってきた奇跡の助手、それがボク! 今まではしがない居候を装っていましたがここまで言われたら仕方ありません!」
「ウェルナイア、病院の手配を。もちろん頭のほうだ」
「わかった、近日中にいい病院を「ちょっと聞いてますか!?」」
噛みついてきたチャロアを無視して、オーウェンは本題に入ることにした。いつまでも終わらない気がしたので。
眉根を寄せ、心底不快だという態度を隠しもせずにオニキスの方を向く。大の字にしていた体をきちんと固めるあたり、育ちの良さだろう。
「不快だが依頼「あ、お茶でーす」…………下がっていろ、助手!!」
「えー、ただの愚痴を言いに来ただけのおじさんに出すお茶はありませんが依頼人ならもてなさないと」
「ぐっ……ぐぬうううううううう」
「オーウェン、落ち着いて!」
二十代前半にも関わらずおじさんと呼ばれ、依頼人なら茶を出すと言われ。思わず憤怒の声を上げたオーウェンに、ウェルナイアは吹き出し片手でずれた眼鏡を直してから宥めにかかった。
二人に冷たいお茶を持ってきた際にオニキスにも氷入りの紅茶を持ってきていたチャロア。三人の様子を複雑そうに見ながら、静かに紅茶に口をつけたオニキスからオーウェンへ一言。
「結局なにをしにいらっしゃったの? オーウェン従兄様」
「依頼だと言っているだろう! 明日現地に行くから用意しろ、以上だ!」
「どこが集合場所か、時間も言わないなんて不親切だと思いませんか、先生? 仮に今の時間だとして乙女の用意をほぼ半日でしろって……横暴すぎません? ねえ?」
「助手、やめなさい」
「――っ!! 明日の十五時にここに迎えに来る、これで以上だ!」
チャロアの明らかに当てこすっている態度に、眉をハの字にして困ったように制止するオニキスだったが。チャロアの言葉に憤怒冷めやらぬといったオーウェンにはそれさえ煽っているように思えたのだろう。
時間と場所を伝えると、麦茶を一気飲みにして。コップを叩きつけ氷ががらんっと音を立てる中、オーウェンは出ていった。
その後を追いかけようとしているウェルナイアは仕方なさそうに小さく笑って、チャロアへと告げた。
「日程に関しては済まないね、僕たちも今日言われたものだから最大限の譲歩で十五時なんだ。それと、麦茶をありがとう、ごちそうさま。また明日……オーウェンはこの様子だと一緒にはいかないみたいだし、僕が迎えに来るよ」
早々にカラカランとドアベルの音も軽やかに出ていってしまった。
「なんか嵐みたいな人たちでしたねー」
「あなたがそれを言うのね?」
「え?」
「なんでもないわ」
小さくため息を付いたオニキスを見つつ、明日が出発ならこうしちゃいられない。あわててドアに「Close」の看板をかけ、オニキスとついでに自分の準備をするため、チャロアは急いで買い出しに向かったのだった。まずは旅行カバンからである。
「先生のお手伝いをすべく未来からやってきた奇跡の助手、それがボク! 今まではしがない居候を装っていましたがここまで言われたら仕方ありません!」
「ウェルナイア、病院の手配を。もちろん頭のほうだ」
「わかった、近日中にいい病院を「ちょっと聞いてますか!?」」
噛みついてきたチャロアを無視して、オーウェンは本題に入ることにした。いつまでも終わらない気がしたので。
眉根を寄せ、心底不快だという態度を隠しもせずにオニキスの方を向く。大の字にしていた体をきちんと固めるあたり、育ちの良さだろう。
「不快だが依頼「あ、お茶でーす」…………下がっていろ、助手!!」
「えー、ただの愚痴を言いに来ただけのおじさんに出すお茶はありませんが依頼人ならもてなさないと」
「ぐっ……ぐぬうううううううう」
「オーウェン、落ち着いて!」
二十代前半にも関わらずおじさんと呼ばれ、依頼人なら茶を出すと言われ。思わず憤怒の声を上げたオーウェンに、ウェルナイアは吹き出し片手でずれた眼鏡を直してから宥めにかかった。
二人に冷たいお茶を持ってきた際にオニキスにも氷入りの紅茶を持ってきていたチャロア。三人の様子を複雑そうに見ながら、静かに紅茶に口をつけたオニキスからオーウェンへ一言。
「結局なにをしにいらっしゃったの? オーウェン従兄様」
「依頼だと言っているだろう! 明日現地に行くから用意しろ、以上だ!」
「どこが集合場所か、時間も言わないなんて不親切だと思いませんか、先生? 仮に今の時間だとして乙女の用意をほぼ半日でしろって……横暴すぎません? ねえ?」
「助手、やめなさい」
「――っ!! 明日の十五時にここに迎えに来る、これで以上だ!」
チャロアの明らかに当てこすっている態度に、眉をハの字にして困ったように制止するオニキスだったが。チャロアの言葉に憤怒冷めやらぬといったオーウェンにはそれさえ煽っているように思えたのだろう。
時間と場所を伝えると、麦茶を一気飲みにして。コップを叩きつけ氷ががらんっと音を立てる中、オーウェンは出ていった。
その後を追いかけようとしているウェルナイアは仕方なさそうに小さく笑って、チャロアへと告げた。
「日程に関しては済まないね、僕たちも今日言われたものだから最大限の譲歩で十五時なんだ。それと、麦茶をありがとう、ごちそうさま。また明日……オーウェンはこの様子だと一緒にはいかないみたいだし、僕が迎えに来るよ」
早々にカラカランとドアベルの音も軽やかに出ていってしまった。
「なんか嵐みたいな人たちでしたねー」
「あなたがそれを言うのね?」
「え?」
「なんでもないわ」
小さくため息を付いたオニキスを見つつ、明日が出発ならこうしちゃいられない。あわててドアに「Close」の看板をかけ、オニキスとついでに自分の準備をするため、チャロアは急いで買い出しに向かったのだった。まずは旅行カバンからである。
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