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採り立てトマトの美味しい食べ方
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結局、オーウェンから連絡がないままに季節は移り変わった。蝉時雨が降りつけ、太陽光が串刺しにせんとばかりに相手を選ばず突き刺す中。
探偵所の窓の外にはたくさんの向日葵が群れをなして咲き誇り、依頼人たちを喜ばせていた。もちろん、背丈のある向日葵のお陰で緑のカーテンならぬ、向日葵カーテンとなっているため探偵所も涼しく嬉しかったが。それよりも畑に鈴なりの野菜を隠すためにも一役買っていたことが、チャロアとオニキスを喜ばせた。探偵社に、畑は似合わないので。
まさか植えた当時はこんなに役に立つとは思っていなかったため、チャロアは「夏といえばひまわりでしょう!」という自分の安易な考えに感謝した。
ひまわりで正解だったと畑にて。売り物にも負けないくらいに美きゅうりに成長したそれをぱちん、ハサミで頭の部分を切ってハサミをつなぎの懐へとしまうと。軍手で適当に拭いてヘタを取ってからまずは一口、ばりっと良い音を立ててきゅうりにかじりついた。口の中で、青い匂いと水分が混ざり合いきゅうり独特の食感も相まって美味しい。蝉時雨の中、目に痛いほどの緑に埋もれながら食べるきゅうりは格別だ。
今度は塩をかけてから、とポケットから塩を取り出したところで。きゅうりの区画から斜め、チャロアの目の端で薄い青色が動いた。オニキスだ。トマトの……もう木と言ってもいい太さであるが、そこの前に立って何かしている。どうしたのかと、視線を向けるとこっそり取った成人男性の拳くらいの大きいトマトをせっせと口に運んでいるのが見えた。
白いTシャツにオーバーオールと、畑仕様の恰好なためシミは特に気にしていない。しかし、「わたくしはそんな野蛮なこと、しないわ!」と言っていたのに。思わずによによと緩んでしまった口元を隠した。
ふと、オニキスと目が合う。まさか見られているとは思わなかったのだろう。オニキスはとっさにトマトを後手に隠したが上手く食べられなかったのか口元から顎、オーバオールまで赤くなっている。トマトを食べていたのはバレバレだ。
悪いことがバレてしまったかのように、おろおろしているオニキスにきゅうりの葉をかき分け近づく。前まで来るとオニキスの背の高さまで屈んで、怒られるかもしれないときつく目を閉じたオニキスの頬に塩が入った瓶を当て。驚いたオニキスが目を開けた時に内緒話のように囁いた。
「先生……。トマトは塩と食べるともっと甘くなるんですよ、知ってました?」
「……だ、だったら早くいいなさい!」
「はーい!」
塩分と水分補給にもいいですから。今日は暑いですし。塩の瓶をオニキスの手に渡しながら、チャロアはオニキスに言った。実際、オニキスは汗を流しているしトマトの汚れではなく、頬が真っ赤とまではいかないものの赤い。
一瞬、瓶を握った後。つんっとすまして宣うオニキスの鼻にまでトマトの汁がついていたものだから。
返事をしたチャロアは、軍手を取り。ポケットに入っていっていたハンカチを取り出して、オニキスの顔を拭いたのだった。
探偵所の窓の外にはたくさんの向日葵が群れをなして咲き誇り、依頼人たちを喜ばせていた。もちろん、背丈のある向日葵のお陰で緑のカーテンならぬ、向日葵カーテンとなっているため探偵所も涼しく嬉しかったが。それよりも畑に鈴なりの野菜を隠すためにも一役買っていたことが、チャロアとオニキスを喜ばせた。探偵社に、畑は似合わないので。
まさか植えた当時はこんなに役に立つとは思っていなかったため、チャロアは「夏といえばひまわりでしょう!」という自分の安易な考えに感謝した。
ひまわりで正解だったと畑にて。売り物にも負けないくらいに美きゅうりに成長したそれをぱちん、ハサミで頭の部分を切ってハサミをつなぎの懐へとしまうと。軍手で適当に拭いてヘタを取ってからまずは一口、ばりっと良い音を立ててきゅうりにかじりついた。口の中で、青い匂いと水分が混ざり合いきゅうり独特の食感も相まって美味しい。蝉時雨の中、目に痛いほどの緑に埋もれながら食べるきゅうりは格別だ。
今度は塩をかけてから、とポケットから塩を取り出したところで。きゅうりの区画から斜め、チャロアの目の端で薄い青色が動いた。オニキスだ。トマトの……もう木と言ってもいい太さであるが、そこの前に立って何かしている。どうしたのかと、視線を向けるとこっそり取った成人男性の拳くらいの大きいトマトをせっせと口に運んでいるのが見えた。
白いTシャツにオーバーオールと、畑仕様の恰好なためシミは特に気にしていない。しかし、「わたくしはそんな野蛮なこと、しないわ!」と言っていたのに。思わずによによと緩んでしまった口元を隠した。
ふと、オニキスと目が合う。まさか見られているとは思わなかったのだろう。オニキスはとっさにトマトを後手に隠したが上手く食べられなかったのか口元から顎、オーバオールまで赤くなっている。トマトを食べていたのはバレバレだ。
悪いことがバレてしまったかのように、おろおろしているオニキスにきゅうりの葉をかき分け近づく。前まで来るとオニキスの背の高さまで屈んで、怒られるかもしれないときつく目を閉じたオニキスの頬に塩が入った瓶を当て。驚いたオニキスが目を開けた時に内緒話のように囁いた。
「先生……。トマトは塩と食べるともっと甘くなるんですよ、知ってました?」
「……だ、だったら早くいいなさい!」
「はーい!」
塩分と水分補給にもいいですから。今日は暑いですし。塩の瓶をオニキスの手に渡しながら、チャロアはオニキスに言った。実際、オニキスは汗を流しているしトマトの汚れではなく、頬が真っ赤とまではいかないものの赤い。
一瞬、瓶を握った後。つんっとすまして宣うオニキスの鼻にまでトマトの汁がついていたものだから。
返事をしたチャロアは、軍手を取り。ポケットに入っていっていたハンカチを取り出して、オニキスの顔を拭いたのだった。
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