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<宴>
しおりを挟むエミリの提案で、ルミニー達もピクニックに参加する事になり。
ご機嫌で魔王城に向かう帰り道、置いてきぼりにしたクイーンと出くわす。
「わらわを置いていくとは何事ぞ……」
……いやいや、俺の自由だろ。
そう思いながらも。
帰り道中、クドクドと絞られたのは云うまでもなく。
やっと機嫌が直ったのは、目的の花畑と化した崖に着いてからだった。
「ガハハ~!! 崖か、戦うには面白い場所だな! 」
「こないだの続きやるかい、今度は止め刺してあげるよ」
ルミニーも便乗するな、戦いに来たんじゃねーよ。
頼むから大人しくしてくれ。
「また崖の修行ですか、やりましょう命懸けます」
ゴブドお前はもう一度死んでるだろ、命を懸けるな。
「凄く綺麗! 素敵ですねマオーさん」
「野花か、悪くないぞよ」
「野花ではない兎草だ……」
頭の中に魔王の声が響く。
どっちでも良いよ!
そもそも悪くないじゃね-、騒がしいからエミリと二人にしてくれよ。
そんな騒がしい状況でも、エミリは準備していた食べ物を出し始め。
座り込む俺は、のんびりと兎草を眺めていた。
ん……?
気のせいか、兎草の周りに何か羽の生えた小人が見える様な。
気のせいじゃない、確実に見えるな。
これが精霊とのコミュニケーションが可能って言ってた、精霊の加護の効果か…… 。
兎草の周りを飛んでいた精霊の一人が俺に気付き、持っていた花輪を手渡す。
精霊自体が小さいから、貰った花輪はまるで指輪みたいだ。
「ありがとう」
お礼を言うと彼女は、笑顔で仲間の方に戻って行った。
兎の獣人の様に長い耳と、小さな身体をしたキレイな女性だった。
「サラ…… 」
気のせいか?
何か魔王が独り言を呟き。
其の後、ずっと鼻をグズグズしてる様だが。
もしかして泣いているのか?
いやいや魔王だし、そんな訳無いか……
「ガハハ~!!それでは始めるか~!」
そんな事を考えている間にも、花見に飽きたガオンがルミニーを挑発。
立ち上がろうとするルミニーをエミリが引き止め、場は騒がしさを増している。
これじゃ、ピクニックというよりも祭りか宴だな
「マオーさんも、どうぞ」
食べ物でルミニーとガオンを宥めたエミリが、俺にもサンドイッチを手渡す。
「ありがとう、美味しいよエミリ」
俺の素直な感想を書き消す様に、エミリの肩に乗ったトウが俺を睨んでいる。
まるで俺の娘はオマエにはやらん、そう言わんばかりに。
これでも、此の世界を救う位の活躍したんだけどな。
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