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<お蔭さま>

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俺、間違いなく叫んでいたよな…… 。

これはアウトなのか、セーフなのか…… 。

もう戦況なんかより、それしか気にならない。

「痛っ、痛ったたっ!?」

トウのクチバシで突っつかれた俺は、無念にもエミリから引き離され。

トウがドブ川でも視る様な眼で、俺を睨んでいる。

俺から距離を空けたままのエミリは、話し掛けてこない。

どうやら、さっきのはアウトだったらしい…… 。


俺の意識が無い間に又魔王が表れたのか、セトは四角い塊に変わっていて。
騒がしかった攻撃も無く、静かなのが更に辛い。

ウスロスのお蔭と云えば、そうなのかもしれないが…… 。

気まずい空気が流れ、地獄の様な沈黙。



そんな静寂を破ったのは、ウスロスの笑い声だった。

「ククク…… 。流石は魔王様、実に面白……、 素晴らしい!!」

イヤ……、明らかに面白いって言ったよな。

そもそも、オメーのせいじゃねーか。

イヤイヤ、そんな事を考えている場合ではない。

何とか魔王らしさを演出しつつ、エミリの好感度を保たねば…… 。

「お前の魔力のお蔭だな……」

完璧だ。さっきの変態的シャウトをウスロスのせいにしつつ、魔王っぽさも醸し出している。

どうだ!ウスロス!
このヤローめ。
これぞ正しく、お蔭さまだあぁ-!!
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