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<マオーのウオォオ->

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……何も見えない、真っ暗だ。

これはウスロスの魔力の中なのか、さっぱり状況が解らない。

ウスロスの魔力を取り入れ、俺の意識は取り込まれてしまったとでもいうのか。

俺の意識が此処に在るのなら、外はどうなっているんだ。

其の頃。
破邪の塔頂上では、ウスロスの悪意に意識を染められ。
別人格と化したマオーが、極大結界魔法でセトを絞め上げ。

身動きの取れないセトは、何とか脱出しようともがいている。

「アハハハハ! デカイと思って調子に乗りやがって。握り潰してやるぞ」

「ククク……、 それでこそ魔王様です」

まるでマオーを指揮して操るかの様に、両手を振るウスロス。

「いったい、何が起きているんだ……? 」

不死鳥のスキルに依り甦ったトウが、震えるエミリに尋ねる。

「ウスロスさんの魔力を借りるって言った後、マオーさんが気を失って…… 」

「よく解らないがヤバイ状況で、正気じゃないのは間違いないな…… 」

極大結界魔法で絞め上げられたセトは、もう物言わぬ肉塊と化している。

「ククク……。 もっと!もっと粉々にですよ」

ウスロスの不気味な笑い声と、ギシギシッ、ミシミシッとセトが潰され続ける音が響く。

「もう大丈夫ですマオーさん、正気に戻って下さい……」

悪意に取り込まれたマオーを呼び戻すように、エミリが背後から優しく抱きしめ。

マオーの意識内では、奇跡が起きようとしていた。


エミリが掴んでいた辺りから
微かな光り

そして突然、背後から抱きしめられた様な温もり。
というか柔らかい。
背中に感じる、この感触は……!!

間違いない。
ウオォオ-おぉお--!!
意識失ってる場合じゃねー!

ウオォオ、おっぱー-!!

塔頂上の現実に意識が戻り。

「い---!!」

普通なら有り得ない言葉を、俺は現実でも叫んでいた。
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