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<急落>

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突然空から落ちてきた何かに、塔入り口前に居た全員が驚き状況を確認する。

落ちてきたのは、綺麗に切断された巨大な触手。

立ち止まって居た場所から逸れていたので、運良く怪我した者はいなかった。

互いに顔を見合わし、ほっと一息吐く。

「……姉さん!? 」

其れと同時に一体のコボルトがネズを見て驚き、正気を取り戻す。

其れに呼応する様に他のコボルト達も正気に返ったが、まだネズはヨダレを垂らして俺を見ている。

「!?…… 」

今ネズを見て、姉さんって言わなかったか?

俺と同じ様に、他のコボルト達も驚いた表情のまま固まっていた。

まあ俺の顔を見て固まっていた、さっきの状況に比べれば気にならないが。

「あらっギズ!大きくなったわね」

そうネズは言葉を返しながらも、視線は俺を見たままだ。

ちなみに触手が落下してきた時もだったが。

ダメだこりゃ、根っからの骸骨好きらしい。

久しぶりの再会らしいが、感動の欠片も無い。

そんな事を考えていると、兄弟の再会を押し退けガオンが突入を始める。

まだ驚いたままの一同を気にもせず、ニヤついたガオンの表情は喜びに満ちている。

「ガハハ!そんな事より修行だ、ゴブド今から全員倒すぞ。 どうやら強者が上に居るぞ、ガハハ~!!」

ガオンの大きな笑い声と皆殺し宣言が、空高く響く。

こうしてコボルト達と分かれた俺達五人は、塔内に入り頂上を目指すのだった。

勿論エミリを探す俺とガオンの目的は違うが、まあ問題無いだろう。

怪しい場所なだけに、寧ろありがたい。

やる気満々に大斧を振り回しているから、それっぽい事を言って強敵が居ればガオンに倒してもらおう。


数分後。
そんな俺の狙いとは裏腹に、ガオンのやる気は急落。

今は喋る事すら無く、もうアクビしかしていない。

そう塔内には、一匹も魔物が居ないのだった。
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