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<タイムオーバー>

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トウの遺体を青白い炎が包み、輝きだすと同時に蘇る。

触手に付けられた傷は跡形も無く消え、トウは静かに目を覚ます。

此れは、何がどうなっているんだ……。

確か意識を失いかけた時に、ルミニー達が助けに来てくれたが。

自分が蘇る迄の間に、こうなってしまったというのか……。

冷静に事態を把握しようとするトウの眼前には、床に倒れたまま身動き一つしない。

ルミニー達の遺体が、無惨にも転がっているのだった。


トウが目を覚ます数分前。

「さあアンタ達、さっさとトンズラだよ」

炎に包まれたつぼみが上げる悲鳴を気にもせず、ルミニーは退却を告げ。

エミリを抱えたルドエルと、トウを抱えたルミニー。

MP切れでふらつくリジョン、各々が出口に駆け出そうとした時。

其れを見透かしたかの様に、大量の触手が出入口を塞ぎ三人の表情は絶望に変わる。

必死の形相でルドエルは積み重なった触手を切り倒そうとするが、妨害する触手に阻まれ近付く事は出来ない。

「見た目のわりに知能的だね、避けなルドエル!」

ルミニーが繰り出す横一線の飛剣で、妨害していた触手を切り落とし。

前進したルドエルが積み重なった触手を切り崩していくが、膨大な量の触手が阻み。

どれだけ切り崩しても、出入口は見えて来ない。

無情にも時間だけが過ぎていき、次第に三人はふらつき咳き込みだす。

「来世も一緒に冒険したいですね……」

「そうなったら次は男の仲間増やしてくれよ、男一人は肩身が狭いからな……」

ルドエルとリジョンが膝から崩れ倒れると同時に、ルミニーが呟く。

「どうやらタイムオーバーみたいだね…… 」

其の様子を眺め嘲笑う様に、つぼみの大きな口は上下に動き。

高らかに、歓喜の雄叫びを上げている。

「気に入らないね、冒険者なめんじゃないよ」

そう言って倒れかけたルミニーは最後の気力を振り絞り、つぼみに横一線の飛剣を飛ばし。

つぼみを切り落とし、笑いながら倒れるのだった。
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