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<防衛戦>
しおりを挟む気が付いた時には、飛んでエミリの後を追っていた。
こんな事になるなら。
楽してエミリの肩に乗ってばかりではなく、もっと飛ぶ練習をしておけば良かった。
そう思える程、羽がもげそうな位痛い。
もう、どれ位飛んだのかも解らない。
其れ位に必死だった。
触手に捕まれながらエミリは、どんどん上に引き摺られていき。
其れでも両手を伸ばし、自分に助けを呼んでいる。
追い付いた所で戦闘スキルの少ない自分には、何も出来ないかもしれない。
だが父親として、命に代えてでもエミリは守ってみせる。
そう意志を固めた時、塔の頂上に辿り着いた。
頂上には床を貫き延びる、触手の大元で在ろう大きなつぼみが揺らめき。
魔物達から吸い上げたエネルギーで、邪悪に脈打つ。
「エミリ-!!」
急降下する勢いで触手に体当たり、エミリを掴んでいた触手を切り離し。
エミリの前に立ち、蠢く触手と向かい合う。
「トウちゃんゴメンね…… 、掴まっちゃった…… 」
「謝る事じゃない、トウちゃんが居るから大丈夫だ!」
そうは言ったが、正直状況は良くない。
エミリを連れ飛んで逃げたいが、10階は在ろう高さで自分の飛行力では不可能。
下に降りる階段は、何本もの触手に塞がれている。
戦闘もエミリは魔物に対して鉄壁だが、攻撃力は無い。
数少ない自分の攻撃スキルで、此の大元を倒せるとは思えない。
そうなると、エミリを守る残された手段は防衛戦。
そのままルミニー達が、助けに登ってくるとは考えられないから。
ルミニー達が助けを呼んで来てくれる迄、何とか持たせるしかない。
例え、此の命に代えたとしても…… 。
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