111 / 143
<一仕事>
しおりを挟む
「今のうちです、皆さん早く……」
立ち塞がるエミリにゴーレムは殴り掛かるが、薄い光りに阻まれゴーレムは触れる事も出来ない。
「コレは格好悪い所、見せられないね」
無傷なコボルト達三人が、負傷したコボルト達を抱え脱出の隙を伺い。
駆け出すガルのメンバーは、背後のゴーレムと交戦を始める。
先導するルドエルが、ゴーレムの攻撃を誘発させ。
リジョンの岩石魔法で、ゴーレムとの距離を調整する。
大振りなゴーレムの攻撃を避けながら、ルミニーは飛剣での斬撃を繰り返し。
其の連係に依って積み重ねたダメージは、徐々にゴーレムの装甲を削っていき。
微かにだが、胸元のコアが露出する迄になっていた。
「本当にタフな奴だね、そろそろ御開きだよ」
宣言通りルミニーが繰り出す横一線の飛剣で、逃げ場を塞いでいた一体のゴーレムはその場に崩れ。
もう動く事もなく、瓦礫となっている。
「さあアンタ達、さっさとトンズラだよ」
ルミニーはコボルト調査部隊に合図を送り、一筋の希望が見えた其の時。
エミリが抑えていたゴーレムは拳で壁を破壊し、エミリが逃げない様に回り込む。
エミリの能力は防御としては絶対的だが、押し返す力が有る訳では無い。
真横に墜落すれば死ぬ威圧感と恐怖で圧され、ジリジリとエミリは落とされそうになっていく。
「エミリ-!!早くこっちに走るんだよ! 」
ルミニーの叫び声も虚しく、エミリは風穴に追い詰められたまま身動きが取れないでいる。
「行けエミリ!」
そう言って飛び出したトウは、ゴーレムに火の玉を吹き。
ゴーレムの敵意を自分に向けようとするが、災難は其れだけでは無かった。
エミリの背後に有る風穴から静かに伸びてきた触手が、エミリを光りの膜ごと包み。
上空に引っ張り上げ、連れ去ってしまったのだった。
エミリの悲鳴と同時にトウは風穴に飛び出し、バタバタともがく様に空を飛びエミリの後を追う。
一体のゴーレムと共に、塔内に取り残されたルミニー達。
このまま逃げるか、ゴーレムを倒しエミリを追い上を目指すか。
誰もが茫然とする中、判断はリーダ-で在るルミニーに委ねられる。
新たに標的を変えた、ゴーレムの視線がルミニー達を捉え。
動きだそうとした時、ルミニーが口を開く。
「冒険者ってのはね、命有っての物種なのさ。 だからね、どんな大物倒そうと死んだらお仕舞いなんだよ…… 」
「其れは連れ去られた仲間を諦め、撤退するという事か? 」
反対する異図は無かったが、思わずコボルト達は訊ねる。
「だから此処からは冒険者じゃなく、アタシ達ヒトとしての戦いなのさ」
「やっぱり、そうなるよな」
「ですよね」
ルミニーの言う事が解っていたかの様に、ルドエルとリジョンはゴーレムと向かい合う。
「正気なのか、全滅しに行く様な物だぞ…… 」
一様にコボルト達は、驚きの表情を隠せない。
「帰りは魔物も居ないだろうから、これで依頼は達成だね。
アンタ達は先に戻りな」
自ら死地へと向かうルミニー達に、気の利いた言葉なんて思い浮かばず。
「すまない、感謝する…… 」
そう言ってコボルト達は、走り去って行く。
「さあアンタ達!もう一仕事するよ」
そう言って二人に檄を飛ばし、ルミニーは剣を握り直す。
ルドエルとリジョンは、もう最後になるかもしれない笑顔を返し。
ガルの三人は、襲い来るゴーレムに向かって駆けて行くのだった。
立ち塞がるエミリにゴーレムは殴り掛かるが、薄い光りに阻まれゴーレムは触れる事も出来ない。
「コレは格好悪い所、見せられないね」
無傷なコボルト達三人が、負傷したコボルト達を抱え脱出の隙を伺い。
駆け出すガルのメンバーは、背後のゴーレムと交戦を始める。
先導するルドエルが、ゴーレムの攻撃を誘発させ。
リジョンの岩石魔法で、ゴーレムとの距離を調整する。
大振りなゴーレムの攻撃を避けながら、ルミニーは飛剣での斬撃を繰り返し。
其の連係に依って積み重ねたダメージは、徐々にゴーレムの装甲を削っていき。
微かにだが、胸元のコアが露出する迄になっていた。
「本当にタフな奴だね、そろそろ御開きだよ」
宣言通りルミニーが繰り出す横一線の飛剣で、逃げ場を塞いでいた一体のゴーレムはその場に崩れ。
もう動く事もなく、瓦礫となっている。
「さあアンタ達、さっさとトンズラだよ」
ルミニーはコボルト調査部隊に合図を送り、一筋の希望が見えた其の時。
エミリが抑えていたゴーレムは拳で壁を破壊し、エミリが逃げない様に回り込む。
エミリの能力は防御としては絶対的だが、押し返す力が有る訳では無い。
真横に墜落すれば死ぬ威圧感と恐怖で圧され、ジリジリとエミリは落とされそうになっていく。
「エミリ-!!早くこっちに走るんだよ! 」
ルミニーの叫び声も虚しく、エミリは風穴に追い詰められたまま身動きが取れないでいる。
「行けエミリ!」
そう言って飛び出したトウは、ゴーレムに火の玉を吹き。
ゴーレムの敵意を自分に向けようとするが、災難は其れだけでは無かった。
エミリの背後に有る風穴から静かに伸びてきた触手が、エミリを光りの膜ごと包み。
上空に引っ張り上げ、連れ去ってしまったのだった。
エミリの悲鳴と同時にトウは風穴に飛び出し、バタバタともがく様に空を飛びエミリの後を追う。
一体のゴーレムと共に、塔内に取り残されたルミニー達。
このまま逃げるか、ゴーレムを倒しエミリを追い上を目指すか。
誰もが茫然とする中、判断はリーダ-で在るルミニーに委ねられる。
新たに標的を変えた、ゴーレムの視線がルミニー達を捉え。
動きだそうとした時、ルミニーが口を開く。
「冒険者ってのはね、命有っての物種なのさ。 だからね、どんな大物倒そうと死んだらお仕舞いなんだよ…… 」
「其れは連れ去られた仲間を諦め、撤退するという事か? 」
反対する異図は無かったが、思わずコボルト達は訊ねる。
「だから此処からは冒険者じゃなく、アタシ達ヒトとしての戦いなのさ」
「やっぱり、そうなるよな」
「ですよね」
ルミニーの言う事が解っていたかの様に、ルドエルとリジョンはゴーレムと向かい合う。
「正気なのか、全滅しに行く様な物だぞ…… 」
一様にコボルト達は、驚きの表情を隠せない。
「帰りは魔物も居ないだろうから、これで依頼は達成だね。
アンタ達は先に戻りな」
自ら死地へと向かうルミニー達に、気の利いた言葉なんて思い浮かばず。
「すまない、感謝する…… 」
そう言ってコボルト達は、走り去って行く。
「さあアンタ達!もう一仕事するよ」
そう言って二人に檄を飛ばし、ルミニーは剣を握り直す。
ルドエルとリジョンは、もう最後になるかもしれない笑顔を返し。
ガルの三人は、襲い来るゴーレムに向かって駆けて行くのだった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説


冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】逃がすわけがないよね?
春風由実
恋愛
寝室の窓から逃げようとして捕まったシャーロット。
それは二人の結婚式の夜のことだった。
何故新妻であるシャーロットは窓から逃げようとしたのか。
理由を聞いたルーカスは決断する。
「もうあの家、いらないよね?」
※完結まで作成済み。短いです。
※ちょこっとホラー?いいえ恋愛話です。
※カクヨムにも掲載。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる