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<セト討伐戦>

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「スゴいね~、何ソレ? どういうスキル、変身? 月に代わってお仕置きしちゃうの? 」



俺からも戦闘でスキルを奪える自信が有るのか、セトは瞳を輝かせニヤついている。



確かにトウから聞いたコイツのスキルはチートで、普通に戦えば苦戦するだろう。



だが、コイツのスキルにも欠点が在る。



スキルの能力が便利すぎるから、奪おうと固執する所だ。



実際にエミリとトウを殺すだけなら、毒を使えば簡単だっただろう。



だがそうしなかったのは、二人のスキルが欲しいから。



殺すと奪えないらしいが、其れも都合が良い。



そして今、俺のスキルにも興味を示していた。



ここまでは作戦通りだ。



リジョンの様な魔法を使えるなら別だが、遠距離で毒を使われたら俺も危うい。



だが近距離でナイフなら、戦えなくもない。



まだ戦ってもいないのに勝った気でいる、其の笑顔を直ぐに止めて。



俺が見た地獄を、お前にも見せてやる。



「じゃあ、こんなのは見たこと有るか? 」



そう言って右腕を伸ばした俺は、空間圧縮魔法でセトの心臓を握る。



潰して殺さない様に、軽く握って。



「ん……?、ぐ……」



悲鳴を上げる間もなく、セトは苦しそうにその場に倒れ。



抵抗する余裕も無く、胸元を押さえたまま気を失っている。



其れと同時に頭に機械的な声が響く。

魔王候補を倒し[なんちゃって魔王]から[魔王らしきもの]にランクアップしました。



今魔王候補って言わなかったか? どうりでヤバイ奴だとは思ったが……。



魔王の圧縮魔法が無ければ、負けてたのは俺だったかもしれない。



LV12に上がり<擬態Lv4能力擬態>からランクアップ。

[能力擬態統合]を取得しました。



能力擬態統合って、いよいよチートじゃねーか。



慌ててステータスオープンを唱え、確認してみる。

<擬態Lv5能力擬態統合>

倒した敵から能力擬態、擬態した能力の統合。



新たに取得した能力の統合しますか? イエス・ノー選択。



<麻痺毒・神経毒・酸毒・各毒耐性・各毒液・各毒ガス>



<ホーネットスティール>



勿論、イエスだろ。



能力の統合を開始。



各毒種統合に拠り<黒魔の息吹き><黒魔の雨><強毒耐性>を取得しました。



<ホーネットスティール>と<クリティカルヒット>を統合して<ジャイアントキリング>を取得しました。



もう説明を観なくても解る位に、ヤバそうな能力ばかりだ。



だがエミリを襲ったサイコパス野郎を倒したのに、騎士じゃなくて魔王に近付いているような気が……。



そんな事を考えていると、頭に響く機械的な声の報告が続く。



能力統合取得に拠り、種族が[人間]から[人外]に進化しました。



!?…… いよいよ、人間じゃなくなってるじゃねーか。



まあ、弱いよりは良いか。



そんな風に軽く考えていた俺は、其の進化の意味を後に思い知る事となるのだった。
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