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<セト討伐作戦>
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ガルのメンバーに連れられて、エミリとトウが宿屋に帰って来たのは夕方だった。
セトという男に襲われた話しをトウから聞いた俺は、怒りに震えていた。
ガルのメンバーに助けてもらったのは良かったが、許せないのは其所に居なかった自分と。
女の子相手に毒まで使ったという、其のサイコパス野郎だ。
ソイツには地獄を見せなければ、到底気が済まない。
問題は、ソイツをどうやって誘き寄せるかだ。
ガルのメンバーから逃げた事を考えると、俺が一緒に居たら襲ってこない確率が高い。
そう考えた俺は、ちょっとした作戦を提案するのだった。
翌日の朝。
駆けつけたガルのメンバーも見守る中、エミリの服を着た俺は帽子を深く被り覚悟を決める。
「アンタも大変だね。魔王城に住んだり、付け狙われたり……」
呆れ顔のルミニーに、エミリは返答に困った様に口をつぐむ。
「大丈夫だよ俺とトウが居るからな」
そう言って部屋から出ようとする俺に、ルミニーは言葉を付け足す。
「まあ今日は任しときな、こっちに出たら次は逃がさないよ」
部屋を出た俺は颯爽とクーガーに乗り込み、街を駆け出す。
そのまま街を走り続け、人気が無くなった路地裏で俺はエミリに擬態した。
少し恥ずかしい格好だったが、エミリを守る為なら仕方ない。
勿論ルミニー達にはスキルの説明をしていないから、疑問視はされている。
きっとガルのメンバーは自分達の居る宿屋に、サイコパス野郎が来ると思っているだろう。
だが、そうはいかない。
ソイツを倒すのは俺だ。
親方には昨日の夕方に休みを頼んだから、時間も問題無い。
後はソイツが罠に食い付くか、どうかだ。
クーガーに乗ったまま俺は、エミリの姿で街を何周も周り。
前日のエミリと同じように、ギルドで薬草採取を選び森に向かい。
エミリが襲われたという、ギルドで貰った地図が示す薬草採取ポイントに着いた。
この辺に黄色の花が咲いているはずだ。
茂みを掻き分け。
見付けた薬草を採取していると、背後から失礼な男の声が聞こえる。
「また来たの、バカだね~。狙われてるのに」
振り返ると、聞いていた風貌そのまま。
片手にナイフと、口角を片方だけ上げた薄気味悪い笑顔。
間違いないコイツだ。
コイツがエミリを襲った、サイコパス野郎だ。
「バカはてめえだ、このサイコパス野郎が……」
そう言って俺が擬態を解き自分の姿に戻ると、セトの表情から笑顔が消え。
まるで期待の様な、驚きの表情に変わるのだった。
セトという男に襲われた話しをトウから聞いた俺は、怒りに震えていた。
ガルのメンバーに助けてもらったのは良かったが、許せないのは其所に居なかった自分と。
女の子相手に毒まで使ったという、其のサイコパス野郎だ。
ソイツには地獄を見せなければ、到底気が済まない。
問題は、ソイツをどうやって誘き寄せるかだ。
ガルのメンバーから逃げた事を考えると、俺が一緒に居たら襲ってこない確率が高い。
そう考えた俺は、ちょっとした作戦を提案するのだった。
翌日の朝。
駆けつけたガルのメンバーも見守る中、エミリの服を着た俺は帽子を深く被り覚悟を決める。
「アンタも大変だね。魔王城に住んだり、付け狙われたり……」
呆れ顔のルミニーに、エミリは返答に困った様に口をつぐむ。
「大丈夫だよ俺とトウが居るからな」
そう言って部屋から出ようとする俺に、ルミニーは言葉を付け足す。
「まあ今日は任しときな、こっちに出たら次は逃がさないよ」
部屋を出た俺は颯爽とクーガーに乗り込み、街を駆け出す。
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少し恥ずかしい格好だったが、エミリを守る為なら仕方ない。
勿論ルミニー達にはスキルの説明をしていないから、疑問視はされている。
きっとガルのメンバーは自分達の居る宿屋に、サイコパス野郎が来ると思っているだろう。
だが、そうはいかない。
ソイツを倒すのは俺だ。
親方には昨日の夕方に休みを頼んだから、時間も問題無い。
後はソイツが罠に食い付くか、どうかだ。
クーガーに乗ったまま俺は、エミリの姿で街を何周も周り。
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茂みを掻き分け。
見付けた薬草を採取していると、背後から失礼な男の声が聞こえる。
「また来たの、バカだね~。狙われてるのに」
振り返ると、聞いていた風貌そのまま。
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間違いないコイツだ。
コイツがエミリを襲った、サイコパス野郎だ。
「バカはてめえだ、このサイコパス野郎が……」
そう言って俺が擬態を解き自分の姿に戻ると、セトの表情から笑顔が消え。
まるで期待の様な、驚きの表情に変わるのだった。
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