転生者だか魔王だか知らんが俺の娘はオマエにはやらん

雨実 和兎

文字の大きさ
上 下
68 / 143

<死因>

しおりを挟む
68話<死因>

67話68話は悪役紹介するシーンなので胸糞連発します。

読まなくても物語は理解出来る様に作っていますので、

感受性の高い方は69話から続きをお読み下さい。





この頃医療に興味が在ると言って家族を欺いていたセトは、親に連れ出される事も減り。



増えた自由な時間とお金を、実験的な事にあてていた。



勿論。其の実験は医療的な意味なんて求めてはいなく、只の虐殺である。



つじつまの合う言い訳が、医療だっただけなのだ。



小さなネズミと違い、表情の解る猫や犬はよりセトを楽しませた。



後ずさり怯える表情が、自分を特別に感じさせる。



相手の命を握っている、絶対的な存在だと。



其れと同時に、毒殺の方法も変わっていく。



切りつけた傷口に塗り込んだり、歯に無理矢理塗り込んだりと強制的な方法に。



其れも一つの毒では飽き足りず、複数の毒を使って。



だがネズミ駆除剤や殺虫剤等の簡単に購入出来る物だけで、狂気は終わらない。





この日仕入れようとした毒はテトロドトキシン、所謂フグ毒である。



数日前から海岸をうろつき、手に入れる事を狙っていた毒だ。



釣ったのがフグだと確認した上で、釣りをしていたオジサンに話し掛ける。



「釣れてますか。あれっフグ可愛い、飼ってみたいな~」



バケツを覗き込み、白々しく笑い掛け譲って貰ったのだった。



次に準備したのは、美味い餌で誘き寄せた野良犬。



一度餌をあげて付いてくれば、殺す予定地の河原で首輪をする。



そうやって捕まえた動物達は全て殺してしまったので、河原の隅には何十の動物達が埋まっているのだった。



川原には当然人なんて来ないドブ川で、元より異臭が漂っている。



普通の人なら避けるような場所だが、セトにとって都合の良い場所だった。



この日も騙されているとは知らず、付いて来たのは人懐っこい柴犬。



其れなりにサイズは大きいが、セトにとっては殺害対象でしかなく。



いつものように、殺す手順に変わりはない。



先ずは仲良さ気に撫でながら、首輪を取り付け。



ゴム手袋をしてナイフでフグの解体、取り出した一番毒の強い肝を握り潰し手袋に馴染ませる。



セトを見上げる柴犬は、まだ何が起きているのか理解していない。



セトは再び餌をあげながら、手袋の毒を柴犬の牙に塗り込む。



今までは毒の効果で異変に気付いた生き物が、表情を変えながら死んでいくのだったが。



今日の柴犬は違って、牙に毒を塗り込んだ瞬間噛み付いたのだ。



よほど不快な塗り方だったのか、気に入らない味なのかは解らない。



だが結果的に、2グラム体内に取り込むと死ぬ毒が射し込まれたのである。



「このバカ犬~!テトロドトキシンは、末梢神経に作用する神経毒なんだよ。 本当バカだな~」



柴犬を突き放したセトは毒の効果を説明しながら、柴犬を罵る。



優しい人では無いと判断した柴犬は、唸り声を上げセトを睨み上げる。



だが互いに毒の効果が出るのは時間の問題で、いつまでも睨み合う余裕も無い。



次第に麻痺が始まり立ってられなくなった両者は、呼吸困難で命を落とす。



こうしてセトは家族に疑惑の死因を残し、異世界転移するのだった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...