転生者だか魔王だか知らんが俺の娘はオマエにはやらん

雨実 和兎

文字の大きさ
上 下
67 / 143

<黒原セトという男>

しおりを挟む
67話<黒原セトという男>

67話68話は悪役紹介するシーンなので胸糞連発します。

読まなくても物語は理解出来る様に作っていますので、

感受性の高い方は69話から続きをお読み下さい。




時は戻り現代。


父親が教師の家庭に産まれた黒原セトは、周りから普通の子供と認識されていた。



特に勉強やスポーツが出来るでもなく、クラスで目立つでもない。



家庭も特別裕福でも貧乏でもなく、家族仲が悪い訳でもない。



強いて違う所を挙げるなら、黒原家の中で父親の発言は絶対で在る事だった。



「興味が人を造る」



此れが父親の教育論的な口癖だったが、子供が親の望むような事に興味を示すとは限らなく。



父親が息子の興味が普通の子供とは違うと知ったのは、セトが中学生になった頃のふとした事が切っ掛けだった。



黒原家では家族共有で使っているPCが在るのだが、めったに夫婦が使う事は無く。



実質使っているのはセトのみだったのだが、この日は違っていた。



珍しく仕事を持ち帰った父親がPCでの作業を済ませ、思い付いたまま検索履歴を辿る。



息子の興味が気になったのだろうが、其れは知らない方が良かったと云える内容だった。



検索は爆弾や毒ガスの作り方や効果、被害者の凄惨な画像や動画。



凡そ普通の精神を持った人間なら、眼を背けたくなるような物ばかりだった。



だからと云って、気付いた父親が息子に問いただす事はしなかった。



反発心を煽る可能性を考慮したら、知っているのを隠すしかなかったのだが。



其の日から、父親は何かと息子を外に連れ出すようになり。



映画や美術館。

ライブや神社と有りとあらゆる所に行ったが、結果息子は知られた事に感付き。



自分の凶悪な興味を、隠すのが上手くなっていくのだった。



隠せば隠す程に膨れ上がっていった狂気は、現実の生き物に向けられていき。



最初は小さなネズミを罠に掛け、毒を微量に混ぜた餌を食わせ観察。



そうして少しずつ、与える毒の量を増やしていく。



増やし過ぎると喰わない事もあったが、其れも含めてネズミの反応を楽しんでいたのだ。



泡を吐き、震えて倒れるネズミの姿を観て。



少し調べれば、毒の入手が簡単だったのも行動を加速させた。



現代何処にでも売っている物の中に、毒は潜み溢れている。



一匹死んだら、また罠で捕まえ次の一匹。



もう一匹死んだら、また罠で捕まえ次の一匹。



殺したネズミが二桁になると、更に大きな生き物に変わっていく。



最初は猫、次は犬。



其の対象が人に代わるのは、時間の問題だった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...