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<ネズの反乱>

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時は戻り、魔王達が洞穴に入った頃。



使役出来そうな骸骨を探せと指示されたネズは、一人で魔王城近くの骸骨探索をしていた。



「グレン樣たら私を頼りにするなんて、本当に食べちゃいたいですわ」



そんな事を呟きながらヨダレを垂らすネズは、かれこれ一時間は骸骨を探していた。



「どうしようかしら、其れにしても見付からないわ……」



嗅覚を活かしたネズの捜索能力は高く、其れでも見付からないのには理由が有った。



魔王城近辺はグレンが過去に捜索済みで、滅多に人の近付かない此処では見付かる訳が無いのである。



「私だけ骸骨探しなんて、そもそもグレン様が私を置いて行くから……」



立ち止まり不満そうにブツブツと独り言を呟くネズは、魔王と再会したら噛み付きかねない。



「……良い事を思い付きましたわ」



そう言って再び捜索を始めた数十分後、辿り着いたのは森の中だった。



クンクンと鼻先を頼りにネズは歩を進め、一体の遺体を前にして立ち止まる。



其の遺体は馬の魔物で、大きな穴に引きずり込まれようとしていた所だった。



「ちょっと待ちなさい。其の遺体は魔王グレン様に捧げるのよ」



ネズの大声に反応して、穴の奥から巨大なモグラの魔物が顔を出す。



「魔王っで、あの骸骨だらけで大っぎな城のが……。だどもコレはオラが捕った獲物だど」



普通に戦えばネズの方が負けてしまいそうだが、魔王の一言が余程効いているのか魔物は怯んでいる。



「勘違いしないで、欲しいのは骨だけですわ。其れにグレン様が気に入れば配下にしてもらえるかもしれないですわ」



「配下はよく解らねえけど、骨だけだったら良いど。食べられねがらどうせ捨でっし」



ネズの脅迫の様な交渉は無事成功して、二体は遺体を運び木陰に移動する。



ネズは巨大モグラの魔物が食べ終わるのを待ちながら、御機嫌そうに遺体を眺めていた。



元々ネズが思い付いたのは、人間の骨が見付からないなら魔物の骨でも良いのでは。



という指示されていない事だったが、結果的には高い成果を上げたのだった。



巨大モグラが魔物を食べ終わり骨になったのを見届けたネズは、意気揚々と口を開く。



「それでは魔王グレン様に届けに行きますわよ」



「オラも行がねとダメなのが……」



「当たり前ですわ、配下になるなら御目通ししないとですわ」



魔王に逆らえば此の森では生きていけないだろうと、溜め息を吐く巨大モグラ。



そんな巨大モグラの憂鬱に気付きもしないネズは、先輩面を吹かし続ける。



「さあ行きますわよ」



こうしてネズと巨大モグラの魔物は、呼ばれてもいないのに魔王の居る洞穴へと向かうのであった。



此の指示されてもいないネズの一連の自由な行動の数々は、通常の魔王軍なら反乱とみなされ懲罰になってもおかしくはない。



だが奇跡的に其の自由な行動が、魔王一行を救う一筋の光りと成るのだった。



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