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<リサイタル>
しおりを挟む「こんなに広いのに、めぼしい物が全然無いですね……」
「見付ければラッキー位だから仕方ないよ……」
殆んどの部屋を周り、収穫無しで疲れ切ったリジョンとルドエルの顔には諦めが漂う。
「まあハズレ引いたけど、報酬は貰えるんだし良いんじゃない」
ルミニーは気にしていない様な事を口にするが、思い出した様にデーモンバスターの手入れを始め。
二人は不満そうにルミニーを一瞥して、ガサツに宝探しを再開する。
「そう言えば此の城、前回の魔法で潰れた場所が修復されてなかったか?」
「所々壊れたし、気のせいでしょ」
「そんな訳ないか……」
余りにも魔物と遭遇しないので、宝探しに真剣な二人は調査の事なんて二の次になっていた。
だがルドエルの記憶は正解で、ガオンが手伝わずゴブリンだけが修復していたので終わっていないだけである。
そんな調子で調査に周り続け、着いたのがあの牢屋だった。
「薄気味悪いな……」
「何も無さそうだし早く出ましょう」
調査隊が早々と闘技場の方に移動しようとしていた頃。
待つのに飽きて空中で寝ていたウスロスは目を覚まし、下方を見つめ舌舐めずりを始める。
ウスロスが見付けた其れは、魔王達が入った洞穴から出てくるキラーアントの大群だった。
ガオンが通路を塞いだ事により、ウスロスが誘導しようとしていたキラーアントが外に出て来たのであった。
そんな事を知りもしないウスロスとっては、新しい玩具を手に入れたのと変わりなく。
不気味な笑い声を響かせ、魔力を込めた両手を上げる。
其れと同時に先頭に居たキラーアントは、まるで糸でも付けられたかの様に宙に浮き。
ウスロスの両手動作どうりにフワフワと漂い、逃げられないキラーアントは助けを求め悲鳴を上げる。
二百体は居ようキラーアント達は山の様に重なり、助けだそうとするが宙に浮いたままで降ろす事が出来ない。
そんな状況が数分続くと、宙に浮いたキラーアントは浮いたまま移動を始め。
助けようとしているキラーアントの大群は、其の後を追っていく。
「ククク……。そうそう、こっちですよ……」
そう言ってウスロスが指を曲げると、宙に浮いたキラーアントの足が一本真逆に折れ曲がり。
折れる鈍い音とキラーアントの悲鳴、歓喜するウスロスの奇声がハーモニーを奏でる。
「ククク……、そうそう、上手に助けを呼んで下さい。お楽しみは此れからですよ……」
そんな風にして、意のままに大群の移動を操り。
独奏者さながら鼻唄を響かせていたウスロスは、キラーアント達の更なる悲鳴で大合唱を奏でるつもりであった。
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