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<招待>

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一方、時は戻り。

魔王が紅い蟻に胸元を貫かれ殺された頃。



転移魔法で洞穴の入り口に戻ったウスロスは、魔王城に向かい歩き始める。



どうやらウスロスの目的は果たしたらしく、笑い声の鼻唄は高らかに響いている。



洞穴内での道順をコントロールしていたウスロスだが、皆殺しにする気は無かったらしく出口に繋がる道は残していた。



だがそんな事が起きているとは知らない魔王一行のガオンが道を塞ぎ、一行は洞穴内に閉じ込められたのだった。



ウスロスにとってはお遊びの様なものなのか、紅い蟻の誕生や魔王一行が閉じ込められた事等知ろうともせず。



御機嫌なまま帰り道を歩き続けていたのだが、何かを察知したのか突然立ち止まり微笑を浮かべる。



「ククク……オヤオヤ、お客様とは珍しい歓迎しなくては」



そう言って両手を上げると辺りは黒い霧に覆われていき、ウスロスの姿は笑い声と共に消えていった。



一方ルミニーとケルマンのいざこざから一夜明け。

馬車を降りて歩くルミニー達調査隊の道程は、順調に進んでいたはずだったが暗雲が立ち込める。



「……何か変だね、さっき迄晴れてたのに」



「山の天気は変わりやすいって言うからじゃないか」



ルミニーは異変を怪しみ辺りを警戒しているが、ルドエルは気にもしていない。



だが黒い霧は瞬く間に濃さを増していき、もう二メートル先ですら視認出来ない程に広がっている。



異変という意味では、道中にルミニーが気にしていた魔物の異常な少なさ。



キラーアント以外の魔物に遭遇する事が殆んど無いなんて、普通では考えられない事なのである。



「アンタ達離れるんじゃないよ」



今回ばかりはケルマンも反論せず、ルミニーの指示に従い。

調査隊は列に成り、付かず離れずの距離を保ち歩き続ける。



馬車の在るキャンプ地から離れすぎると危険が増すのは明白だが、もう離れ過ぎているので引き返す事は出来ない。



「これでは何処を歩いてるのか解らないな……」



「取り敢えず魔物の反応は無いですけど……」



ルドエルとリジョンは不安を口にするが、調査は継続され歩き続けて行く。



その場に止まり続けるよりは進んだ方が、危険は少ないと判断した結果である。



奇妙だったのが黒い霧には薄く道が見える箇所が在り、辛うじて進む事が出来た事だった。



「何とか進めなくはなかったので着きましたね」



「良い気はしないね、まるで誰かに誘われてるみたいだよ……」



嬉しそうに目的地である魔王城を眺めるリジョンの言葉に、思わずルミニーが呟く。
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