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<狂想曲>
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魔王一行がダンジョン探索を続けていた頃、洞穴の入口では魔王城を守っているはずのウスロスが妖しく笑い内部に入って行く。
すでに下見を終えているのかウスロスの歩調に迷いは無く、微かに響く笑い声は鼻唄混じりである。
そのまま幾つかの別れ道を進みながら、魔法を打ち瓦礫で片方の道を塞いでいく。
其の姿はまるで、新しい玩具を組み立てる子供の様に愉しげに。
そんな事を繰り返し、たどり着いた広場で足を止める。
どうやらウスロスの目的地らしく、笑い声の鼻唄は高らかに響いている。
其の広場はキラーアントの休息地のようで、二百匹は居ようキラーアントが静かに眠っていた。
キラーアントの群れを前にしてもウスロスに動揺は無く、挑発するかの様に鼻唄を続けている。
当然其れだけの数が居れば、眠っていないキラーアントも数匹居てウスロスの存在に気付く。
愉しげな表情を浮かべる其の異質な来訪者に向かい、キラーアント達が攻撃を開始するのに時間は掛からなかった。
だが列に成り数十匹と飛び掛かったキラーアント達は、ウスロスの魔法障壁に遮られ近付く事すら出来ない。
蠢き押し合うキラーアントを嘲笑う様に、ウスロスは両手を振り魔法を打ち出していく。
次々と打ち抜かれていくキラーアント達と、ウスロスとの実力差は明らかだった。
キラーアントを皆殺しにするのは可能だっただろうが、そうはせずウスロスは魔法で追い立てていく。
狂想曲の指揮者さながら両手を振り、嬉々とした表情で。
ギギッと悲鳴の様な声を上げ、キラーアントの大群は、我先にと逃げ惑う。
其の先の道順が、既にウスロスにコントロールされているとは知らずに。
だが、全てがウスロスの狙い通りにいった訳ではなかった。
此の出来事を切っ掛けに、キラーアント達は危険信号を仲間達に送り。
其の危険信号は奥に居るキラーアント達に伝播していき、一匹の卵に辿り着く。
目覚めた卵は殻を破り、一匹の紅く異色なキラーアントが現世に降り立つ。
準備されていた魔物の餌を食べる迄は他のキラーアント達と同じだったのだが、足りないからか仲間の卵を食べ始める。
まだ殻を破っていない卵に抵抗出来る訳も無く、次々と卵は補食されていく。
異様な状況に気付いたキラーアントが止めに入るが、押し潰され勝負にもならない。
体格自体には其れほどの差は無いが、力の差は歴然だった。
補食されていく惨劇は卵だけに留まらず、止めに入ったキラーアント達にも拡がっていく。
弱肉強食な異世界だからこそ起きる突然変異なのか、紅いキラーアントの存在は自分達自体の種を滅ぼす可能性すら在り。
其れは同時に、他の種にも当て嵌まると云えるのだった。
すでに下見を終えているのかウスロスの歩調に迷いは無く、微かに響く笑い声は鼻唄混じりである。
そのまま幾つかの別れ道を進みながら、魔法を打ち瓦礫で片方の道を塞いでいく。
其の姿はまるで、新しい玩具を組み立てる子供の様に愉しげに。
そんな事を繰り返し、たどり着いた広場で足を止める。
どうやらウスロスの目的地らしく、笑い声の鼻唄は高らかに響いている。
其の広場はキラーアントの休息地のようで、二百匹は居ようキラーアントが静かに眠っていた。
キラーアントの群れを前にしてもウスロスに動揺は無く、挑発するかの様に鼻唄を続けている。
当然其れだけの数が居れば、眠っていないキラーアントも数匹居てウスロスの存在に気付く。
愉しげな表情を浮かべる其の異質な来訪者に向かい、キラーアント達が攻撃を開始するのに時間は掛からなかった。
だが列に成り数十匹と飛び掛かったキラーアント達は、ウスロスの魔法障壁に遮られ近付く事すら出来ない。
蠢き押し合うキラーアントを嘲笑う様に、ウスロスは両手を振り魔法を打ち出していく。
次々と打ち抜かれていくキラーアント達と、ウスロスとの実力差は明らかだった。
キラーアントを皆殺しにするのは可能だっただろうが、そうはせずウスロスは魔法で追い立てていく。
狂想曲の指揮者さながら両手を振り、嬉々とした表情で。
ギギッと悲鳴の様な声を上げ、キラーアントの大群は、我先にと逃げ惑う。
其の先の道順が、既にウスロスにコントロールされているとは知らずに。
だが、全てがウスロスの狙い通りにいった訳ではなかった。
此の出来事を切っ掛けに、キラーアント達は危険信号を仲間達に送り。
其の危険信号は奥に居るキラーアント達に伝播していき、一匹の卵に辿り着く。
目覚めた卵は殻を破り、一匹の紅く異色なキラーアントが現世に降り立つ。
準備されていた魔物の餌を食べる迄は他のキラーアント達と同じだったのだが、足りないからか仲間の卵を食べ始める。
まだ殻を破っていない卵に抵抗出来る訳も無く、次々と卵は補食されていく。
異様な状況に気付いたキラーアントが止めに入るが、押し潰され勝負にもならない。
体格自体には其れほどの差は無いが、力の差は歴然だった。
補食されていく惨劇は卵だけに留まらず、止めに入ったキラーアント達にも拡がっていく。
弱肉強食な異世界だからこそ起きる突然変異なのか、紅いキラーアントの存在は自分達自体の種を滅ぼす可能性すら在り。
其れは同時に、他の種にも当て嵌まると云えるのだった。
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