35 / 143
<二人の知らない事>
しおりを挟む
町の人に連れられ、孤児院である教会に預けられたルミニー。
まだ預けられたばかりの頃は笑顔も無く、部屋の隅に一人で居る事が多かった。
そんな両親を亡くし落ち込んでいた気持ちを和らげてくれたのは、同じように両親を亡くした同世代の孤児達だった。
まだ子供だからこその遠慮の無さが、ルミニーの心を開き。
いつの間にか笑い合えるようになり、其の仲間達を兄弟と思えるようになるのも自然な事だった。
「薬草採集行ってくるよ」
シスターに挨拶して、駆け出したルミニーが向かった先は近く森。
成長したルミニーは親から授かった知識を活かし、孤児院の運営費を補っていたので重宝され自由に行動する事が出来た。
「今日は魔物も少ないね・・・・・・」
薬草採集がてら魔物狩りを繰返していたルミニーの強さは、もう低級冒険者を凌いでいて独り立ちも近い。
事件時の経験値が其れを可能にしたのは間違いなく、皮肉にもルミニーの未來はあの時決まったのだった。
だが他の孤児達は貴族に召し使いとして雇われるケースが多く、其れが幸せとなるかは行った先の貴族次第だった。
「シスター今日の収穫だよ」
森から無事戻ったルミニーがシスターに収穫を渡すと、年長組の孤児達がルミニーを囲む。
「ルミニー今日も稽古付けてくれよ」
「仕方無いね、ちょっとだけだよ」
裏庭に移動したルミニーは年長組三人相手に剣を交え、一日を終えるのが日課だった。
孤児の中には騎士を目指す者も多く。
通常なら剣を交える事など出来ない位にLVの高いルミニーは、最高の練習相手であった。
「少しは手加減しろよ」
「まだまだだね」
孤児達は大怪我こそしてないものの、ルミニーに全く剣を当てれない苛立ちから泣き言を言い始め。
そろそろ稽古を終えて夕食にしようとした頃、教会前に他の孤児達が集まる声が聞こえてきた。
「なにやら騒がしいね・・・・・・」
魔物かもしれないとルミニー達が慌てて教会前に行くと、孤児達が何かを取り囲んで泣いている。
「何が在ったんだい? 」
輪の中に入り込んだルミニーが中心に居たシスターに訊ねると、シスターは目の前に在る棺桶に視線を落とした。
棺桶の中に居る遺体はマルク、数ヶ月前迄孤児院に居てルミニーが稽古を付けていた少年だった。
「マルク、どうして・・・・・・」
言葉を無くすルミニーに、シスターの説明は届かず。
後に貴族に雇われたマルクが、貴族の遊びで在る魔物狩りに連れられ亡くなった事を理解する。
だからと云ってルミニーは、貴族を恨んでいる訳ではなく。
原因は魔物が居るからだと、より命懸けの戦いに身を投じていく事となる。
数ヶ月後。教会を出て冒険者になったルミニーは、鬼神の如く魔物を狩り続け。
無茶な連戦で死にそうな時に、リジョンとルドエルの二人に出会った。
気の合う三人がガルのチームを組むようになるには、其れほど時間は掛からなかった。
唯一チームの二人が知らないのは、ルミニーがギャンブル癖のせいで金が無い訳ではなく。
教会に募金をしていた残りで、ギャンブルをしていた事だった。
まだ預けられたばかりの頃は笑顔も無く、部屋の隅に一人で居る事が多かった。
そんな両親を亡くし落ち込んでいた気持ちを和らげてくれたのは、同じように両親を亡くした同世代の孤児達だった。
まだ子供だからこその遠慮の無さが、ルミニーの心を開き。
いつの間にか笑い合えるようになり、其の仲間達を兄弟と思えるようになるのも自然な事だった。
「薬草採集行ってくるよ」
シスターに挨拶して、駆け出したルミニーが向かった先は近く森。
成長したルミニーは親から授かった知識を活かし、孤児院の運営費を補っていたので重宝され自由に行動する事が出来た。
「今日は魔物も少ないね・・・・・・」
薬草採集がてら魔物狩りを繰返していたルミニーの強さは、もう低級冒険者を凌いでいて独り立ちも近い。
事件時の経験値が其れを可能にしたのは間違いなく、皮肉にもルミニーの未來はあの時決まったのだった。
だが他の孤児達は貴族に召し使いとして雇われるケースが多く、其れが幸せとなるかは行った先の貴族次第だった。
「シスター今日の収穫だよ」
森から無事戻ったルミニーがシスターに収穫を渡すと、年長組の孤児達がルミニーを囲む。
「ルミニー今日も稽古付けてくれよ」
「仕方無いね、ちょっとだけだよ」
裏庭に移動したルミニーは年長組三人相手に剣を交え、一日を終えるのが日課だった。
孤児の中には騎士を目指す者も多く。
通常なら剣を交える事など出来ない位にLVの高いルミニーは、最高の練習相手であった。
「少しは手加減しろよ」
「まだまだだね」
孤児達は大怪我こそしてないものの、ルミニーに全く剣を当てれない苛立ちから泣き言を言い始め。
そろそろ稽古を終えて夕食にしようとした頃、教会前に他の孤児達が集まる声が聞こえてきた。
「なにやら騒がしいね・・・・・・」
魔物かもしれないとルミニー達が慌てて教会前に行くと、孤児達が何かを取り囲んで泣いている。
「何が在ったんだい? 」
輪の中に入り込んだルミニーが中心に居たシスターに訊ねると、シスターは目の前に在る棺桶に視線を落とした。
棺桶の中に居る遺体はマルク、数ヶ月前迄孤児院に居てルミニーが稽古を付けていた少年だった。
「マルク、どうして・・・・・・」
言葉を無くすルミニーに、シスターの説明は届かず。
後に貴族に雇われたマルクが、貴族の遊びで在る魔物狩りに連れられ亡くなった事を理解する。
だからと云ってルミニーは、貴族を恨んでいる訳ではなく。
原因は魔物が居るからだと、より命懸けの戦いに身を投じていく事となる。
数ヶ月後。教会を出て冒険者になったルミニーは、鬼神の如く魔物を狩り続け。
無茶な連戦で死にそうな時に、リジョンとルドエルの二人に出会った。
気の合う三人がガルのチームを組むようになるには、其れほど時間は掛からなかった。
唯一チームの二人が知らないのは、ルミニーがギャンブル癖のせいで金が無い訳ではなく。
教会に募金をしていた残りで、ギャンブルをしていた事だった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる