31 / 143
<魔王の狩り>
しおりを挟む
「実際料理なんて出来るのか?」
自分の記憶ではエミリが料理しているのは、そんなに見た事が無い。
其れに食料を魔王が調達すると云っているのだから、とんでもなくデカイ魔物を渡される可能性も在る。
「簡単なので良いなら大丈夫かも・・・・・・」
自信満々という訳ではなさそうなので、取り敢えず厨房を見ててみる事になった。
「本当に大丈夫なのか? 試しに断ってみても良いんだぞ」
「カレーとかシチューだって作った事あるもん」
そういう意味で聞いた訳ではないが、やる気は在るようなので応援しよう。
この鳥の姿では、大して手伝う事も出来ないしな。
不満そうに膨れっ面していたエミリだが、厨房に着くと其の表情は一変した。
鍋やフライパンのような調理器具は揃っていたので安心したが、そんな事よりも兎に角汚い。
何を調理したらこうなるんだという位に散らかしたままで、ヘドロのような物体が辺り一面に飛び散っている。
「・・・・・・此れは大仕事だな、頑張れよ」
エミリは親の敵でも見るかのような目で見てくるが、目の前に居る鳥が親である。
諦めた様子でエミリは片付けを始め、黙々と作業を進めていく。
勿論自分も手伝いはしたが、何せ鳥の姿だから拭き掃除のみである。
昼食は魔王が出掛けているので、自分達だけ魔王城に来る前に準備していた食料を食べ。
再びひたすら掃除を続け綺麗になった頃には、エミリは早朝のゴブリンと同じように疲れきった顔をしている。
「綺麗になってスッキリしたね」
エミリは満足そうに、清掃され片付いた厨房を見渡している。
「元から汚かったんだし、こんなに頑張らなくても良かったんじゃないか?」
「お城に住ましてもらってるから、コレ位は頑張らなくちゃ」
「なるほどな」
お城と言っても魔王城だが、其れは言わない方が良いだろう。
天蓋付きのベッドが良かったのか、まぁ思っていたよりも気に入っているようで良かった。
掃除している間に時々コボルトが通り過ぎながら睨んでいたのが気になったが、何かしてこない限りは気にしない方が良いだろう。
「魔王様遅いね、そろそろ夕食の準備を始めたいけど」
「魔王と云う位だから、とんでもない獲物を狩っているんだろう。調理出来ない位に大きくなければ良いがな」
休憩がてら二人で外を眺めていると、もう太陽は沈み始め辺りはオレンジ色に変わっていく。
食料を待ち続け数十分後、厨房のドアが開く。
「待たせたな、コレが夕食の食料だ。少し少ないが我とエミリとトウの三人分にはなるだろう」
そう言って魔王がエミリに手渡したのは、食材加工済みの角兎肉2つだけだった。
「意外に少食なんですね」
そう言ってエミリが笑うと魔王は嬉しそうに「骸骨だからな」と笑い反していた。
自分の記憶ではエミリが料理しているのは、そんなに見た事が無い。
其れに食料を魔王が調達すると云っているのだから、とんでもなくデカイ魔物を渡される可能性も在る。
「簡単なので良いなら大丈夫かも・・・・・・」
自信満々という訳ではなさそうなので、取り敢えず厨房を見ててみる事になった。
「本当に大丈夫なのか? 試しに断ってみても良いんだぞ」
「カレーとかシチューだって作った事あるもん」
そういう意味で聞いた訳ではないが、やる気は在るようなので応援しよう。
この鳥の姿では、大して手伝う事も出来ないしな。
不満そうに膨れっ面していたエミリだが、厨房に着くと其の表情は一変した。
鍋やフライパンのような調理器具は揃っていたので安心したが、そんな事よりも兎に角汚い。
何を調理したらこうなるんだという位に散らかしたままで、ヘドロのような物体が辺り一面に飛び散っている。
「・・・・・・此れは大仕事だな、頑張れよ」
エミリは親の敵でも見るかのような目で見てくるが、目の前に居る鳥が親である。
諦めた様子でエミリは片付けを始め、黙々と作業を進めていく。
勿論自分も手伝いはしたが、何せ鳥の姿だから拭き掃除のみである。
昼食は魔王が出掛けているので、自分達だけ魔王城に来る前に準備していた食料を食べ。
再びひたすら掃除を続け綺麗になった頃には、エミリは早朝のゴブリンと同じように疲れきった顔をしている。
「綺麗になってスッキリしたね」
エミリは満足そうに、清掃され片付いた厨房を見渡している。
「元から汚かったんだし、こんなに頑張らなくても良かったんじゃないか?」
「お城に住ましてもらってるから、コレ位は頑張らなくちゃ」
「なるほどな」
お城と言っても魔王城だが、其れは言わない方が良いだろう。
天蓋付きのベッドが良かったのか、まぁ思っていたよりも気に入っているようで良かった。
掃除している間に時々コボルトが通り過ぎながら睨んでいたのが気になったが、何かしてこない限りは気にしない方が良いだろう。
「魔王様遅いね、そろそろ夕食の準備を始めたいけど」
「魔王と云う位だから、とんでもない獲物を狩っているんだろう。調理出来ない位に大きくなければ良いがな」
休憩がてら二人で外を眺めていると、もう太陽は沈み始め辺りはオレンジ色に変わっていく。
食料を待ち続け数十分後、厨房のドアが開く。
「待たせたな、コレが夕食の食料だ。少し少ないが我とエミリとトウの三人分にはなるだろう」
そう言って魔王がエミリに手渡したのは、食材加工済みの角兎肉2つだけだった。
「意外に少食なんですね」
そう言ってエミリが笑うと魔王は嬉しそうに「骸骨だからな」と笑い反していた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
転生したらついてましたァァァァァ!!!
夢追子
ファンタジー
「女子力なんてくそ喰らえ・・・・・。」
あざと女に恋人を奪われた沢崎直は、交通事故に遭い異世界へと転生を果たす。
だけど、ちょっと待って⁉何か、変なんですけど・・・・・。何かついてるんですけど⁉
消息不明となっていた辺境伯の三男坊として転生した会社員(♀)二十五歳。モブ女。
イケメンになって人生イージーモードかと思いきや苦難の連続にあっぷあっぷの日々。
そんな中、訪れる運命の出会い。
あれ?女性に食指が動かないって、これって最終的にBL!?
予測不能な異世界転生逆転ファンタジーラブコメディ。
「とりあえずがんばってはみます」
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。

異世界無知な私が転生~目指すはスローライフ~
丹葉 菟ニ
ファンタジー
倉山美穂 39歳10ヶ月
働けるうちにあったか猫をタップリ着込んで、働いて稼いで老後は ゆっくりスローライフだと夢見るおばさん。
いつもと変わらない日常、隣のブリっ子後輩を適当にあしらいながらも仕事しろと注意してたら突然地震!
悲鳴と逃げ惑う人達の中で咄嗟に 机の下で丸くなる。
対処としては間違って無かった筈なのにぜか飛ばされる感覚に襲われたら静かになってた。
・・・顔は綺麗だけど。なんかやだ、面倒臭い奴 出てきた。
もう少しマシな奴いませんかね?
あっ、出てきた。
男前ですね・・・落ち着いてください。
あっ、やっぱり神様なのね。
転生に当たって便利能力くれるならそれでお願いします。
ノベラを知らないおばさんが 異世界に行くお話です。
不定期更新
誤字脱字
理解不能
読みにくい 等あるかと思いますが、お付き合いして下さる方大歓迎です。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
憤怒のアーティファクト~伝説のおっさん、娘を探すために現役に復帰し無双する~
ゆる弥
ファンタジー
溺愛していた娘は五年前に探索者として家を出た。
毎日無事を祈っていたが、まさかこんな事になるとは。
消息不明になった娘は俺が探し出す。
現役時代、伝説の探索者であったおっさんの愛娘を捜索する旅が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる