転生者だか魔王だか知らんが俺の娘はオマエにはやらん

雨実 和兎

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<メインクエスト>

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配下が邪魔者ばかりだという事は解った。

だがコイツらに此れ以上、自由に動き回られると俺の自由が奪われてしまう。



俺のメインクエストを叶える為にも、どうにかしなければ。

少し考え、俺はゴブリンに指示を出す。



「配下を全員集めてくれ、今から重要な話しをする」



移動して5分後。玉座にて待っていると、昨日と同じ顔ぶれにネズが加わり立ち並ぶ。



一同は、静かに俺の発言を待っている。



「改革だ。我は考えたのだが、今日から配下の役職を決めようと思う」



改革という如何にも魔王っぽい言葉が効いたのか、配下達に歓声が上がる。



「先ずは城の防衛隊長ガオン。防衛隊はゴブリンだ。壊れた城の補修と防衛をゴブリンと進めてくれ」



「はい、命懸けでやらせて頂きます」



深々と頭を下げるゴブリン。

コイツの社畜度は、命が幾つ有っても足りないな。



対称的にガオンは頭を下げた後に、指の骨をバキバキと鳴らし。



「城の修理が終わったら、又闘いましょう」と忠誠心の欠片も無い不吉な笑顔を見せる。



「考えておこう・・・・・・」



コイツは本当に配下なのか? 

もう只の時間稼ぎだが、当分はコレで誤魔化し其の間に俺が強くなるしかない。



出来れば攻めて来た敵で満足して、闘いたいと言わなくなるのが理想だが。



「次はネズが我の秘書を頼む」



「光栄です、本当に震えちゃいますわ」



犬歯をカチカチと鳴らし、ネズが頭を下げたと同時にヨダレが床に落ちている。



コイツは忠誠心より、本能が勝っていないか? 不安だが他に役職が思いつかないので仕方ない。



「次はウスロスが参謀だ」



「有り難き幸せ、光栄でございます」



一礼をする丁寧な動作や言葉とは裏腹に、ウスロスの表情は不気味に笑っている。



コイツだけは絶対に信じられないが、何の役も与えないと後が怖い。

なので何をしていても咎める必要の少ない役で、自由にしておくしかない。



「次はエミリだが我の食事を作ってもらおう。人間の食に興味が有るのでな。トウはエミリの護衛だ。此処は人間が住むには危ないからな」



「解りました」



料理だと聞き安心したのか、エミリは笑顔で頭を下げ。



トウも「了解した」と頭を下げる。

其れと同時にウスロスが、ニヤついた顔で喋りだす。



「クク、其れは妙ですな。人間の食べ物に興味ですか・・・・・・」



ウスロスの白々しい疑問に、骸骨の身体で無いはずの鼓動が早まる。

もしかして骸骨姿の魔王は食べないのか?



焦っているからか、良い言い訳が思いつかない。

もう勢いで誤魔化すしかない。



「改革だからだ!!」



「なるほど・・・・・・、流石は魔王樣」



わざと試したで在ろう証拠に、ウスロスの顔はやはりニヤついている。

此れなら、もう改革と言っておけば何でも大丈夫な気がしてきた。



其れにしても早速邪魔して楽しんでやがるな。

コイツだけは本当に信用出来ない。

早く強くならないと、エミリにも被害が及びそうだ。



其の為にも次の一言が重要になる。

頼むからウスロス、もう邪魔するなよ。



「料理の材料は我が調達するので、必要な物が在ったら言ってくれ」



俺の言葉にエミリは笑顔を返す。

悪意の無い其の笑顔、本当に癒される。



好きだ。間違いない。

ずっと見ていたいし、もっと話したいが不気味がられるから今は我慢だ。



配下達の邪魔さえ無ければ、直ぐに人間だと打ち明け。

もっと仲良くなりたいが、此の状況では難しいかもしれない。



折角異世界に来て、こんなに好きになれる相手に巡り逢ったのに不憫すぎる。



言ってみればエミリと付き合うようになるのが、俺のメインクエストなのだから。
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