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再会
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王宮で開かれたパーティーに招待されたランセルとエリザは久しぶりに華やかな場に足を踏み入れた。ずっとランセルの屋敷に軟禁状態のエリザは緊張から顔が強張っている。そんなエリザの様子に気付いたランセルは彼女の手を強く握りしめて優しく声をかける。
「俺がエリザの側にいるから大丈夫だよ」
「ランセル…」
エリザは頬を赤く染めてランセルを見上げた。彼女をエスコートするランセルは堂々としており何処ぞの国の王子のようだ。彼に手を引かれながら歩くエリザを遠巻きに見ながら令嬢達がヒソヒソ話しをしていた。
「噂には聞いていたけど…本当に素敵よねぇ。真実の愛を貫いたんですって!」
「恋愛小説みたいなロマンス…憧れるわよね?私もそんな相手と恋に落ちてみたいわ」
「あら貴女じゃムリよ!そう言う素敵なお話の主人公はあの2人みたいに美男美女じゃなきゃね!」
「まっ!失礼ね、じゃあ貴女だってムリだわ~」
普段ランセルの屋敷で過ごす時はほぼスッピンのエリザだが今夜の彼女は美しい顔立ちを生かした化粧が施され赤みがかった金髪は緩く巻かれている。ランセルの瞳の色と同じ深翠色のドレス姿のエリザは女神のように美しく神々しい。
周囲は何とかして2人にアピールしようと画策するけれどランセルはエリザに誰も近寄らせないように強いオーラを醸し出している。
3曲目のダンスが終わりランセルはエリザの手を引きバルコニーへとやって来た。物陰の死角になる場所にエリザを押し込めたランセルは我慢出来ず彼女の腰を引き寄せて柔らかな唇を貪るようにキスをした。
「んっ…、ランセル!こんな所で…」
「……エリザが綺麗すぎるのがいけない」
拒絶しつつもランセルの情熱的なキスで気持ち良くなったエリザは彼の首にしがみついた。
「はぁ……堪らない…ん、エリザ愛してるよ。今すぐ抱きたい…可愛いエリザをメチャクチャにしたいっ…」
「やっ…!ダ、ダメ!まだパーティーは終わってないわ!」
「はぁ…そうだね。じゃあ屋敷に帰ったら覚えといてね?」
「ンッ…」
ランセルはエリザの白いうなじを舐めあげてチュウッときつく吸い付き赤い跡をつけた。エリザがふらつく身体をランセルに支えられながら会場に戻るとある人物が目に入った。
「あ……」
少し離れた場所でエリザの元婚約者と彼の妻の子爵令嬢が寄り添い談笑していた。子爵令嬢はお腹が目立ってきたようで胸の下でリボンを結ぶゆったりとしたドレスを着ていた。元婚約者と子爵令嬢の仲は良好らしく元婚約者は子爵令嬢に優しい眼差しを向けていた。
正直エリザは彼らに会う前はどんな態度を取れば良いのか不安だった。けれどいざ仲睦まじい2人の様子を目にしてみると不思議と心が揺れることも無く動じてない自分に驚いた。ボーッと彼らを見つめるエリザをまたしてもランセルは冷めた目で見下ろした。
「エリザ……言ったよね?俺以外の男を見ちゃ駄目だって……またお仕置きされなきゃ分かんない?」
「っ……違うわ!あの2人が…仲睦まじくやってるようで…安心したの!」
「ふぅん…本当に彼に未練無いの?嘘ついたら許さないよ?」
「無いわ…何度も言ったじゃない!私は貴方と結婚するんだって」
エリザが必死にランセルに弁解しているといつの間に2人を見つけたのかエリザの元婚約者と子爵令嬢が近くに来ていた。
黒髪に青い瞳のすらりとした長身の彼はランセルとは違うタイプの美形だ。隣に寄り添う子爵令嬢は儚げな雰囲気の美少女だが彼女の本質はかなりしたたかだった。
「…久しぶりだね。エ…、スカイリー伯爵令嬢殿…グランド伯爵令息殿。君達……婚約したそうだね?おめでとう……」
「…お久しぶりです。あ…ありがとうございます。そちらもご結婚おめでとうございます。お2人のお幸せを心よりお祈り申し上げます」
「っ!…ありがとう。あの…」
「ご結婚とご懐妊おめでとうございます。本当におめでたいですね?どうぞ末永くお幸せに。……エリザもう行くよ」
ランセルは感情のない祝福を彼らに告げ元婚約者の言葉を遮った。そして威嚇するように彼を睨みつけエリザの腰をグッと引き寄せた。
「あっ!そ、それじゃ私達は失礼します!」
「っ……エリッ…!」
「っ!」
とっさにエリザの名前を呼びかけるも子爵令嬢はエリザの元婚約者の腕にしがみつき涙目で彼を見上げた。本当は今すぐ子爵令嬢を振りほどきエリザを追いかけたかった。あの夜の事を謝罪して自分が愛しているのは君だけだと伝えたかった。
けれどもう叶わない。エリザとは全て終わったのだ……
彼は子爵令嬢の肩を抱き寄せて力なく微笑んだ。その瞳にはただ絶望が浮かんでいた。
「俺がエリザの側にいるから大丈夫だよ」
「ランセル…」
エリザは頬を赤く染めてランセルを見上げた。彼女をエスコートするランセルは堂々としており何処ぞの国の王子のようだ。彼に手を引かれながら歩くエリザを遠巻きに見ながら令嬢達がヒソヒソ話しをしていた。
「噂には聞いていたけど…本当に素敵よねぇ。真実の愛を貫いたんですって!」
「恋愛小説みたいなロマンス…憧れるわよね?私もそんな相手と恋に落ちてみたいわ」
「あら貴女じゃムリよ!そう言う素敵なお話の主人公はあの2人みたいに美男美女じゃなきゃね!」
「まっ!失礼ね、じゃあ貴女だってムリだわ~」
普段ランセルの屋敷で過ごす時はほぼスッピンのエリザだが今夜の彼女は美しい顔立ちを生かした化粧が施され赤みがかった金髪は緩く巻かれている。ランセルの瞳の色と同じ深翠色のドレス姿のエリザは女神のように美しく神々しい。
周囲は何とかして2人にアピールしようと画策するけれどランセルはエリザに誰も近寄らせないように強いオーラを醸し出している。
3曲目のダンスが終わりランセルはエリザの手を引きバルコニーへとやって来た。物陰の死角になる場所にエリザを押し込めたランセルは我慢出来ず彼女の腰を引き寄せて柔らかな唇を貪るようにキスをした。
「んっ…、ランセル!こんな所で…」
「……エリザが綺麗すぎるのがいけない」
拒絶しつつもランセルの情熱的なキスで気持ち良くなったエリザは彼の首にしがみついた。
「はぁ……堪らない…ん、エリザ愛してるよ。今すぐ抱きたい…可愛いエリザをメチャクチャにしたいっ…」
「やっ…!ダ、ダメ!まだパーティーは終わってないわ!」
「はぁ…そうだね。じゃあ屋敷に帰ったら覚えといてね?」
「ンッ…」
ランセルはエリザの白いうなじを舐めあげてチュウッときつく吸い付き赤い跡をつけた。エリザがふらつく身体をランセルに支えられながら会場に戻るとある人物が目に入った。
「あ……」
少し離れた場所でエリザの元婚約者と彼の妻の子爵令嬢が寄り添い談笑していた。子爵令嬢はお腹が目立ってきたようで胸の下でリボンを結ぶゆったりとしたドレスを着ていた。元婚約者と子爵令嬢の仲は良好らしく元婚約者は子爵令嬢に優しい眼差しを向けていた。
正直エリザは彼らに会う前はどんな態度を取れば良いのか不安だった。けれどいざ仲睦まじい2人の様子を目にしてみると不思議と心が揺れることも無く動じてない自分に驚いた。ボーッと彼らを見つめるエリザをまたしてもランセルは冷めた目で見下ろした。
「エリザ……言ったよね?俺以外の男を見ちゃ駄目だって……またお仕置きされなきゃ分かんない?」
「っ……違うわ!あの2人が…仲睦まじくやってるようで…安心したの!」
「ふぅん…本当に彼に未練無いの?嘘ついたら許さないよ?」
「無いわ…何度も言ったじゃない!私は貴方と結婚するんだって」
エリザが必死にランセルに弁解しているといつの間に2人を見つけたのかエリザの元婚約者と子爵令嬢が近くに来ていた。
黒髪に青い瞳のすらりとした長身の彼はランセルとは違うタイプの美形だ。隣に寄り添う子爵令嬢は儚げな雰囲気の美少女だが彼女の本質はかなりしたたかだった。
「…久しぶりだね。エ…、スカイリー伯爵令嬢殿…グランド伯爵令息殿。君達……婚約したそうだね?おめでとう……」
「…お久しぶりです。あ…ありがとうございます。そちらもご結婚おめでとうございます。お2人のお幸せを心よりお祈り申し上げます」
「っ!…ありがとう。あの…」
「ご結婚とご懐妊おめでとうございます。本当におめでたいですね?どうぞ末永くお幸せに。……エリザもう行くよ」
ランセルは感情のない祝福を彼らに告げ元婚約者の言葉を遮った。そして威嚇するように彼を睨みつけエリザの腰をグッと引き寄せた。
「あっ!そ、それじゃ私達は失礼します!」
「っ……エリッ…!」
「っ!」
とっさにエリザの名前を呼びかけるも子爵令嬢はエリザの元婚約者の腕にしがみつき涙目で彼を見上げた。本当は今すぐ子爵令嬢を振りほどきエリザを追いかけたかった。あの夜の事を謝罪して自分が愛しているのは君だけだと伝えたかった。
けれどもう叶わない。エリザとは全て終わったのだ……
彼は子爵令嬢の肩を抱き寄せて力なく微笑んだ。その瞳にはただ絶望が浮かんでいた。
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