それぞれのその後

京佳

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バカ女は自滅する

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エルナンドの名前を叫びながら全身ピンク色の女が壇上に駆け上ってきた。マリーベルが目を凝らしてよく見るとピンク女は彼女の元婚約者の恋人だったあの男爵令嬢だ。

びっくりして固まっているマリーベルをエルナンドは素早く自分の背に隠すと片手を掲げピンク女の動きを魔術で封じた。


「動けない?!何でっ!ねぇっエルナンド様!私モモです!エルナンド様のこと大好きです!私の方がエルナンド様を幸せにする自信ありますっ!だから奥さんとはサッサと別れて私と結婚しましょう!ねっ!お願いエルナンド様!」


ピンク女はキンキンと頭に響く声でエルナンドに向かって叫んだ。不愉快極まりないピンク女の言葉にマリーベルは後ろからエルナンドの腰に腕をまわしてギュッと彼にしがみついた。エルナンドはそれに応えるようにマリーベルの両手の上に自分の手を重ねた。


「私の命を…愛する番を侮辱するとはよっぽど死にたいようだな!穢らわしい醜い売女が」


しんと静まり返る会場にドスの利いたエルナンドの声が発せられた。マリーベルは大丈夫だが、ここに居る人間みんながゾワゾワと全身の毛が総毛立つような恐ろしさを感じている。


国王陛下も王妃も顔が真っ青で生まれたての子鹿のようにブルブル震えている。


「え?え?けがらわ?何が?どーして?!モモだよっ?可愛い可愛いモモちゃんがエルナンド様に好き好きアピールしてるんだよっ?エルナンド様ちゃんと『こちらこそお願いします!』しなきゃ!ねぇーホントに分かって、」


「黙れ腐れ外道がぁっ!」


「ギャァァァァァァーーー!」


エルナンドが腕を振り上げるとピンク女の顔から真っ赤な血が吹き出した。ピンク女の唇はまるで口裂け女のようにズタズタに引き裂かれていた。


「 いひゃい!いひゃい!なんれ!ろーして!あぁぁぁぁーーーー!!!」


その場に崩れ落ちたピンク女は護衛兵士に引きずられ連行されて行った。


彼女は他国のしかも多大な影響力を持つ竜人国の王族への侮辱行為で市中引き回しのうえギロチンの刑となった。
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