呟き日記

京佳

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今日は老犬の四十九日

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お爺さんがお空へ帰った日から毎日泣いている。

頭では分かってる。自分が看取りをした。旅立った瞬間もこの目で見た。埋葬もした。

けれどお爺さんの残像が見える気がして姿を探してしまう。もう何処にも居ないのにアホみたいに毎日毎日探してる…

バラエティ番組で上沼恵美子がペットロスの話をしてて、夜中にトイレに起きた時に「お母さんトイレ行ってくるね」と言って隣に犬が居ない!と思ったとたんに過呼吸になると話してた。分かりすぎる。夜中は特にキツイ。

何かをしてふと一息ついた時、急に焦燥感に襲われ涙がこみ上げてくる。

料理してる時も「お爺さんもよく食べてたな、肉やレバー好きだったな」と思い出しては涙。

自分の為の料理はただ空腹を満たすため義務的に作って食べるだけ。お爺さんのご飯より雑で適当になってしまった。

TVやYou Tubeを見て乾いた笑いを零してふと我に返る。何が面白いんだか虚しくなる。

夜中トイレに起きた時にお爺さんの寝てたとこを見てため息、朝起きてまた見てため息、何故居ないんやろ。

トイレの扉を開けっ放しにしていてもひょっこり覗いて来ない。歩く時のカチカチ音も、水を飲む音も、吠える声もクシャミも、たまに咳き込む声もなーんにも聞こえない。

あの日からお爺さんの出す生活音がしなくなった。あんなに抜け毛が舞っていた廊下も部屋も今じゃホコリだけが溜まっていく。

空の水飲み容器も片付けずに置いてある。散歩用のリードも定位置に置いたまま。

お爺さんが過去の存在になっていく。お爺さん居ない歴が日々更新されていく。

いつも当たり前に側に居て、家族の帰りを待っててくれたお爺さん。母が買い物に出かけたり誰かが家を空けると玄関の敷物の上に寝そべってそこから動かず待っていた。

『ほんとにもう居ないんだ』

その現実がジワジワと心を蝕んでいる。

頑張って生きようとしていた貴方に私は酷い事を言ってしまった。

『もっと頑張ってよ!あんたが居ないと困るんやから。あと5年は生きてよ!』と言ってしまった。今でも死ぬほど後悔している。

涙で潤んだ悲しそうな瞳が忘れられない。

必死に生きようともがいていたのにもっと頑張れと言った私は最低だ。ごめんね。

お爺さんが旅立つ寸前、最後に流した涙が私の脳裏に焼き付いてる。あんなにも悲しくて美しくて儚い涙を私はこの先も見る事は無いよ。

いくら謝っても後悔してもお爺さんは帰って来ない。白くて暖かい身体に触れる事も出来ないんだね。遠い遠い場所に行ってしまったけどずっと忘れない。大好きだよ(;_;)
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