20 / 24
第二章
20 疾風
しおりを挟む
マクリルはその場を動くことができなかった。
宙にいる白竜までの距離は大した物ではない。マクリルなら簡単に跳んでいける距離なのに、僅かにもグレンを追いかけることができなかった。
どうして動けないのか、マクリルはボーっとした頭で考えていた。
その間にグレンは、人間どもの攻撃を受け固まったままの白竜を守りながら応戦していた。それでもグレンの攻撃は周りの建物だけで直接人間に危害を加えるものではない。面倒だろうに武器や魔法陣を壊すことだけを目的としていることは明白で、それはマクリルへの優しさだと分かった。
しかしそんな反撃では人間どもの容赦ない攻撃に対応しきれない。グレンは白竜とともに傷を増やしている。それでもマクリルは動くことができない。
マクリルは選べなかった。
嫌いな人間共の味方はもちろん、出会ってからマクリルが本来の自分に戻ろうと試行錯誤している姿を温かく見守ってくれた赤竜も、助けようとすらできない。
なぜか。
マクリルは自分に問いかける。
自分がその場にいることが酷く不自然だと思ったのだ。
この戦いは人間と竜のものだ。グレンには人間を憎む理由がある。
人間達も竜を鎮め、利用しつつけたいという思惑がある。
けれどマクリルはグレンに憎むことをやめるようにも言えず、浅ましい人間の考えを改めさせる術も知らない。
竜たちを助けたいが、ここで人間達を攻撃し全滅させてもそれはさらに竜たちを追い詰めることになる。マクリルともども逃げ続け、戦い続ける日々が待っている。グレンだけならまだしも、あの白竜が大人しくマクリルの言うことを聞くとは思えない。
ここまでやってきたのだから、グレンへの執着は余程のものだろう。そうなれば、グレンだけ連れてどこかへ行こうとするかもしれない。
ドラゴンだけの楽園のようなところがあるわけではない。里があるにはあるが、ドラゴンがたくさん居て生活している集落ではなく、とあるドラゴンのお気に入りの場所だとか、子供を育てる時だけの環境が整った場所だったりだ。
絶対数がすくなく、単体で行動するから見つけられにくいだけで、一度見つけられ、捕らえられるほどの術を掛けられてしまっては捜索されれば見つけられてしまう可能性が高い。
人間達も愚かだが、馬鹿ではない。私利私欲のためにその疎かなことに全身全霊を掛ける者もいる。時にはそれを正義だと謳って行う事だってある。
マクリル一人で、二匹のドラゴンを守りながら隠しながら逃げることがどれだけできるか、それがドラゴンにとって幸せなことなのか。
それにマクリルが死んだあとのことも考えないといけない。ドラゴンは人間より遥かに長生きだ。
もしかしたらグランはマクリルと残る寿命はそう変わらないかもしれないが、白竜はまだまだこの先がある。
どこまで守り切ることができるのか分からない。されど、人間に味方などして再び竜を捕らえさせることもしたくない。
それに自分に掛けられた術を完全には解いていないマクリルは自分が考えていることが果たして自分自身の想いなのかも分からず、ただただ混乱の中に立っていた。
そして地獄絵図と化していく城や街の様子を眺めることしかできなかった。
「俺は……どうしたい……、何がしたいんだ……」
血の海や、聞き取れないほどの悲鳴、建物が崩壊する音に、視界が鈍るほどの土煙。
見えている、聞こえている、感じている。それなのにマクリルは自分がいる場所がそれとは異次元の空間であるかのようだった。
そして実際、マクリルは戦火の中にあって怪我の一つもしなければ、誰の目にも留まっていなかった。無意識に自分自身をそう変えてしまっていた。
「このまま消えてしまおうか……」
思っただけだったのが、思わず呟いていたのか。
誰の目にも留まらないどころか、実際体が透け始めていた。逃げ出したいわけではなかったが、自分が無意味な物であると思えて仕方なかった。
最初から意味など無かったのかもしれない。欲されたのはその魔力だけ。マクリルでなくても良かったのだ。
マクリル・トトティルと言う名でさえ、英雄として必要だから付けられた肩書のようなものだ。そして記憶でさえ、必要ないと封じられてしまった。
目が覚めたあの日、魔力豊富な肉体だけがそこに誕生したんだ。それから教えられたのは、その肉体が魔力を正しく活用する方法だけ。
膨大な魔力をコントロールするためだけに存在する、それがマクリル・トトティル。
ただのマリオネットだ。操る人間の思うがまま。
目を瞑る。
もう何も見えなくてもいい。
誰も、誰も、………。
その時、脳裏に強烈なイメージが湧いた。
今まで消してきた魔物たち。そうしろと命令されたこと。どうして何も考えずにそうできたのか。
どうして急にそんなことを考える?
今までそんなこと微塵も……。
「いや、何か考えてしまってはできなかったんだ。本当は僕はそうしたくなかったから?」
けれど、マクリルはグレンと出会ってしまった。
それは初めて始末しなくても良い魔物との出逢い。マクリルの眠っていた本来の感情がほんの僅かに疼いてしまった。
けれど、それでもマクリルは、その疼きに抗い、できるだけ封じたままグレンと過ごしいく。
「どうして……、何を恐れた? 僕はなにを……」
マクリルは、マクリルになった日から肉体の限界ぎりぎりの修行をさせられ、どんな大人より強くなった。
けれど、そうなっても周りに抵抗しようとも、反撃しようとも思わなかった。そうなるように術を掛けられているのだろうなどと言い訳していたが、実際はそんなものがあったとしても、無いものとできる実力を身につけてしまっていた。
つまりある程度成長してからはマクリルの意思で、操り人形などしていたことになる。
考えたくない。考えると、いや、思い出してしまうと、何かを失ってしまいそうで恐かった。
「そうか、だから何も考えないように、僕は自分で自分をそう変えてしまったんだ。どうして……」
幾つも自分自身が問いかけてくる。
全てを放棄する気になって漸く自分自身の内からの声が聞こえた。
今まで逃げてきた思考することを、この時ようやく受け入れたのだ。
どうして、なぜ、どうして、どうして…………。
繰り返し、繰り返し、自分自身に問いかけた。
「僕は何を守りたかったんだろう」
守りたかったのは自分自身か。
何者にも顧みられない自分を、それでも自分だけは大切に守っていたのかもしれない。
マクリルは荒れ地と化す地上にいて、何の影響も受けず、ただ佇んで舞う土埃を見上げ、不思議と時折見える青空を見つめていた。
ふと自分の幻の間を何かが横切っていく。
目を凝らす。
見えたのは穏やかな景色。
そして聞こえた声。
「そんな風に……呼んで」
体に染み渡るように、その声に息吹を吹き込まれたようだった。
考えて、考えて、それでも取り戻そうとはしなかった記憶。
マクリルは何より恐れていたものがある。力を手にしれてしまった今、封じられた記憶は引き金になりかねない。
マクリルはその記憶次第で……破滅の道を選ぶかもしれない。
だけど。
マクリルが今聞いた声はそんな想いを吹き飛ばしてくれたようだった。
かすかに視えた幻は、マクリルを温かくしてくれた気さえする。
「僕は……僕を信じてもいいのかな」
少しだが自分を取り戻したような感覚が体を巡る。
消えかかりそうだった体は確かに戻ってきた。
そして今ここにいるという事実。
マクリルは思い出しはしない過去の何かを、透明な水を包み込むように不確かであやふやなまま手に入れた。
「そっか、何かを守りたかったんだね」
今、守りたいものは…………。
マクリルは赤竜と、そして白竜を助けるため戦い始めた。
そして結果二匹を葬りマクリルは世界を回る旅に出ることになった。
宙にいる白竜までの距離は大した物ではない。マクリルなら簡単に跳んでいける距離なのに、僅かにもグレンを追いかけることができなかった。
どうして動けないのか、マクリルはボーっとした頭で考えていた。
その間にグレンは、人間どもの攻撃を受け固まったままの白竜を守りながら応戦していた。それでもグレンの攻撃は周りの建物だけで直接人間に危害を加えるものではない。面倒だろうに武器や魔法陣を壊すことだけを目的としていることは明白で、それはマクリルへの優しさだと分かった。
しかしそんな反撃では人間どもの容赦ない攻撃に対応しきれない。グレンは白竜とともに傷を増やしている。それでもマクリルは動くことができない。
マクリルは選べなかった。
嫌いな人間共の味方はもちろん、出会ってからマクリルが本来の自分に戻ろうと試行錯誤している姿を温かく見守ってくれた赤竜も、助けようとすらできない。
なぜか。
マクリルは自分に問いかける。
自分がその場にいることが酷く不自然だと思ったのだ。
この戦いは人間と竜のものだ。グレンには人間を憎む理由がある。
人間達も竜を鎮め、利用しつつけたいという思惑がある。
けれどマクリルはグレンに憎むことをやめるようにも言えず、浅ましい人間の考えを改めさせる術も知らない。
竜たちを助けたいが、ここで人間達を攻撃し全滅させてもそれはさらに竜たちを追い詰めることになる。マクリルともども逃げ続け、戦い続ける日々が待っている。グレンだけならまだしも、あの白竜が大人しくマクリルの言うことを聞くとは思えない。
ここまでやってきたのだから、グレンへの執着は余程のものだろう。そうなれば、グレンだけ連れてどこかへ行こうとするかもしれない。
ドラゴンだけの楽園のようなところがあるわけではない。里があるにはあるが、ドラゴンがたくさん居て生活している集落ではなく、とあるドラゴンのお気に入りの場所だとか、子供を育てる時だけの環境が整った場所だったりだ。
絶対数がすくなく、単体で行動するから見つけられにくいだけで、一度見つけられ、捕らえられるほどの術を掛けられてしまっては捜索されれば見つけられてしまう可能性が高い。
人間達も愚かだが、馬鹿ではない。私利私欲のためにその疎かなことに全身全霊を掛ける者もいる。時にはそれを正義だと謳って行う事だってある。
マクリル一人で、二匹のドラゴンを守りながら隠しながら逃げることがどれだけできるか、それがドラゴンにとって幸せなことなのか。
それにマクリルが死んだあとのことも考えないといけない。ドラゴンは人間より遥かに長生きだ。
もしかしたらグランはマクリルと残る寿命はそう変わらないかもしれないが、白竜はまだまだこの先がある。
どこまで守り切ることができるのか分からない。されど、人間に味方などして再び竜を捕らえさせることもしたくない。
それに自分に掛けられた術を完全には解いていないマクリルは自分が考えていることが果たして自分自身の想いなのかも分からず、ただただ混乱の中に立っていた。
そして地獄絵図と化していく城や街の様子を眺めることしかできなかった。
「俺は……どうしたい……、何がしたいんだ……」
血の海や、聞き取れないほどの悲鳴、建物が崩壊する音に、視界が鈍るほどの土煙。
見えている、聞こえている、感じている。それなのにマクリルは自分がいる場所がそれとは異次元の空間であるかのようだった。
そして実際、マクリルは戦火の中にあって怪我の一つもしなければ、誰の目にも留まっていなかった。無意識に自分自身をそう変えてしまっていた。
「このまま消えてしまおうか……」
思っただけだったのが、思わず呟いていたのか。
誰の目にも留まらないどころか、実際体が透け始めていた。逃げ出したいわけではなかったが、自分が無意味な物であると思えて仕方なかった。
最初から意味など無かったのかもしれない。欲されたのはその魔力だけ。マクリルでなくても良かったのだ。
マクリル・トトティルと言う名でさえ、英雄として必要だから付けられた肩書のようなものだ。そして記憶でさえ、必要ないと封じられてしまった。
目が覚めたあの日、魔力豊富な肉体だけがそこに誕生したんだ。それから教えられたのは、その肉体が魔力を正しく活用する方法だけ。
膨大な魔力をコントロールするためだけに存在する、それがマクリル・トトティル。
ただのマリオネットだ。操る人間の思うがまま。
目を瞑る。
もう何も見えなくてもいい。
誰も、誰も、………。
その時、脳裏に強烈なイメージが湧いた。
今まで消してきた魔物たち。そうしろと命令されたこと。どうして何も考えずにそうできたのか。
どうして急にそんなことを考える?
今までそんなこと微塵も……。
「いや、何か考えてしまってはできなかったんだ。本当は僕はそうしたくなかったから?」
けれど、マクリルはグレンと出会ってしまった。
それは初めて始末しなくても良い魔物との出逢い。マクリルの眠っていた本来の感情がほんの僅かに疼いてしまった。
けれど、それでもマクリルは、その疼きに抗い、できるだけ封じたままグレンと過ごしいく。
「どうして……、何を恐れた? 僕はなにを……」
マクリルは、マクリルになった日から肉体の限界ぎりぎりの修行をさせられ、どんな大人より強くなった。
けれど、そうなっても周りに抵抗しようとも、反撃しようとも思わなかった。そうなるように術を掛けられているのだろうなどと言い訳していたが、実際はそんなものがあったとしても、無いものとできる実力を身につけてしまっていた。
つまりある程度成長してからはマクリルの意思で、操り人形などしていたことになる。
考えたくない。考えると、いや、思い出してしまうと、何かを失ってしまいそうで恐かった。
「そうか、だから何も考えないように、僕は自分で自分をそう変えてしまったんだ。どうして……」
幾つも自分自身が問いかけてくる。
全てを放棄する気になって漸く自分自身の内からの声が聞こえた。
今まで逃げてきた思考することを、この時ようやく受け入れたのだ。
どうして、なぜ、どうして、どうして…………。
繰り返し、繰り返し、自分自身に問いかけた。
「僕は何を守りたかったんだろう」
守りたかったのは自分自身か。
何者にも顧みられない自分を、それでも自分だけは大切に守っていたのかもしれない。
マクリルは荒れ地と化す地上にいて、何の影響も受けず、ただ佇んで舞う土埃を見上げ、不思議と時折見える青空を見つめていた。
ふと自分の幻の間を何かが横切っていく。
目を凝らす。
見えたのは穏やかな景色。
そして聞こえた声。
「そんな風に……呼んで」
体に染み渡るように、その声に息吹を吹き込まれたようだった。
考えて、考えて、それでも取り戻そうとはしなかった記憶。
マクリルは何より恐れていたものがある。力を手にしれてしまった今、封じられた記憶は引き金になりかねない。
マクリルはその記憶次第で……破滅の道を選ぶかもしれない。
だけど。
マクリルが今聞いた声はそんな想いを吹き飛ばしてくれたようだった。
かすかに視えた幻は、マクリルを温かくしてくれた気さえする。
「僕は……僕を信じてもいいのかな」
少しだが自分を取り戻したような感覚が体を巡る。
消えかかりそうだった体は確かに戻ってきた。
そして今ここにいるという事実。
マクリルは思い出しはしない過去の何かを、透明な水を包み込むように不確かであやふやなまま手に入れた。
「そっか、何かを守りたかったんだね」
今、守りたいものは…………。
マクリルは赤竜と、そして白竜を助けるため戦い始めた。
そして結果二匹を葬りマクリルは世界を回る旅に出ることになった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

魔法少女に就職希望!
浅上秀
ファンタジー
就職活動中の主人公アミ。彼女の幼いころの夢は魔法少女になることだった。ある日、アミの前に現れたチャンス。アミは魔法怪人団オンナノテキと闘い世界を守ることを誓った。
そんなアミは現れるライバルたちと時にぶつかり、時に協力しあいながら日々成長していく。
コンセプトは20代でも魔法少女になりたい!
完結しました
…
ファンタジー
※なお作者には専門知識等はございません。全てフィクションです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~
蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。
情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。
アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。
物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。
それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。
その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。
そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。
それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。
これが、悪役転生ってことか。
特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。
あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。
これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは?
そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。
偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。
一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。
そう思っていたんだけど、俺、弱くない?
希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。
剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。
おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!?
俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。
※カクヨム、なろうでも掲載しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

魔喰のゴブリン~最弱から始まる復讐譚~
岡本剛也
ファンタジー
駆け出しの冒険者であるシルヴァ・ベルハイスは、ダンジョン都市フェルミでダンジョン攻略を生業としていた。
順風満帆とはいかないものの、着実に力をつけてシルバーランク昇格。
そしてついに一つの壁とも言われる十階層の突破を成し遂げた。
仲間との絆も深まり、ここから冒険者としての明るい未来が待っていると確信した矢先——とある依頼が舞い込んできた。
その依頼とは勇者パーティの荷物持ちの依頼。
勇者の戦闘を近くで見られることができ、高い報酬ということもあって引き受けたのだが、この一回の依頼がシルヴァを地獄の底に叩き落されることとなった。
ダンジョン内で勇者達からゴミのような扱いを受け、信頼していた仲間にからも見放され……ダンジョンの奥地に放置されたシルヴァは、匂いに釣られてやってきた魔物に襲われた。
魔物に食われながら、シルヴァが心の底から願ったのは勇者への復讐。
そんな願いが叶ったのか、それとも叶わなかったのか。
事実のほどは神のみぞ知るが、シルヴァは記憶を持ったままとある魔物に転生した。
その魔物とは、最弱と名高いゴブリン。
追い打ちをかけるような最悪な状況に常人なら心が折れてもおかしくない中、シルヴァは折れることなく勇者への復讐を掲げた。
これは最弱のゴブリンに転生したシルヴァが、最強である勇者への復讐を果たす物語。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

少女漫画の当て馬女キャラに転生したけど、原作通りにはしません!
菜花
ファンタジー
亡くなったと思ったら、直前まで読んでいた漫画の中に転生した主人公。とあるキャラに成り代わっていることに気づくが、そのキャラは物凄く不遇なキャラだった……。カクヨム様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる