23 / 26
第二章
9−4
しおりを挟む
「ねえ、マミさん」
自分でも驚くほど色のない声だった。
「死んだ後まで悪口言われるの嫌だろ。死に方は選んだ方が良い」
その言葉に彼女の体はビクッと反射した。
「今日あなたが死んで、いじめてた奴らはショックを受けるかもしれない」
視線が絡む。彼女の目にも色は含まれてはいなかった。誰にでも聴こえる声で彼女にしか効かない音を含ませる。僕の能力で一番強いのは、声なのだそうだ。
「少しの間は後悔に苛まれて苦しむかもね。でも実際に殺した訳じゃないから警察には捕まらないだろうし、学校とかは死んだあなたより生きてる彼女達を守ろうとするだろう。そうして一年二年と時間が過ぎていく、すると人間は当時の感情を忘れていく。大学に行って新しい友だちができれば、あなたのことはただの記憶の一部となる。そのうち結婚もするだろうし子どももできるかもしれない。もしくは仕事で成功して名声を手に入れる」
瞬きもせずに僕の声を聞く。その瞳の奥ではその声がそのまま現実になって見えているはずだ。
「それを見ているだけしかない」
視線が揺らぐ。でも僕はそれを外させる事はしない。そして彼女の目から再び色がなくなった頃、また同じ声色で白昼夢を見せる。
「本気で後悔して、毎日毎日死んだ君に謝るかもね。それでそれからの人生を人の為になることをたくさんする。あなたはいないから生きてる誰かのためにね。すると彼女がその誰かにありがとうって言ってもらえる人になる」
瞳に色が灯る。決して幸せな色ではない。
「君にはもう誰も言わない。ごめんなさいと泣き声だけ。あなたに届けられるのはそれだけ」
僕に未来を確定できる能力はない。それを予知することももちろんできない。話していくことはただの空論だ。でも考えることを出来なくし、死への恐怖はこれまでの比にはならないくらいになったはずだ。
そんなことをしている自分が一番きつかった……。
彼女に幻を見せるために見つめている瞳から彼女の記憶が流れ込んでくる。
「自分の命でも、命をどうこうできると思うから他人の物を奪うくらいの感情で命を奪っていくんだよ」
「碧……なんでお前が泣いてるんだ?」
無性に悲しくなったから、オードリーにノサにリューに会えないのが悲しかった。あんなに暖かな心を持った人たちだったんだ。
「碧が泣いてるのは、彼女の感情が流れ込んできてるから。碧が代わりに泣いて――」
ケイコがそうやって僕の感情を説明するのが悔しかった。
「違う!」
そんなんじゃないのに……。
違う、僕が泣いてるのは彼女のせいでも彼女のためでもない。
「僕の涙は何時だって僕のものだ。誰かのためになんか泣くもんか。死ぬことを選択できるなんて思ってる奴らに僕の涙は絶対にやらない」
僕には全部聞こえているし、見えている。醜く汚い人間の本性。どんなに偽善者ぶったって僕には分かる。
そして何よりキレイなものを知っている。
人間はいつから上ばかり見上げるようになったのだろう。手を掲げて降ってくるものばかりを受け止めようとする。だから本当に手にするべきものが横に居ることに気付かない。地面に落ちた物には価値がないと蹴り飛ばす。
「悪いけど、今は死なせないから。死にたいんだったらまた今度にして」
ケイコにした様に体の動きを封じた。もう自分の意志では飛び降りることも戻ることもできない。
「飛鳥、手伝って」
飛鳥はひょいっと戸部さんの体を担いでフェンスまで連れて行った。
さすが飛鳥様、僕にはそんな力ありませんよ。
彼女をおろした後、飛鳥は僕の耳元までくると、ぼそっと説得したことを褒めてくれた。
それが少し後ろめたかった。あと泣いたことが恥ずかしくて、弱い自分がつい顔を出しそうになっていた。
「あんなこと言わない方がいいよ」
僕が話した内容に本当は深い意味なんてない。声を聞かせることに意味があったのだから、内容なんで童話だってなんだって良かったんだ。
「いつか誰かを傷つけるくらいなら今いなくなった方が良いって考える人もいるかもしれない。ほんの少しでも苦しんでくれるならって死ぬことに意味を見つける人だっている」
そうじゃない人もいる。ただそれだけのこと。でも僕は、やっぱり聞いて欲しかったのかもしれない。
「そうやって同じ所を何度もグルグル回る。苦しいだろうね」
苦しみばかりが巡る頭の中で、それだけじゃないと信じて欲しかったのかもしれない。
「とっても恐いはずだよ……恐くて恐くて」
そしてその時が来る。解放されることを願って……。
少しだけ、胸が苦しくなって、どうしようもない感情に襲われた。それでも、囚われないのは、僕が弱い人間で、逃げ方が上手かっただけだろうな。
それと、こうやって聞いてくれる人がいたから、弱いままでいられたんだ。
「死んだ後どうなるかなんて誰にも分からないんだから期待するのも失望するのも違うんじゃないかな。人間がすべきことは今を生きることだけで、それ以外に何にもないと僕は思う」
僕がそういって笑うと、飛鳥もめったに見せない優しい顔で笑ってくれた。
「死んだ人間が見える奴が言うセリフとは思えないな」
本当に強い人間はきっと飛鳥みたいな奴なんだろうな。
「ちゃんと聞いてなかったのか? 僕が見えてるのは人間の意識。生きてる人間がいなければ意味なんてないんだよ」
「当然過ぎて意味がわからんな」
そして、いつもの皮肉な笑顔だった。
「ぅわっ、なんだこれ」
突然嵐のような風が吹いた。
風は僕たちを校舎から落とそうとするかのように、みるみる速度をましていく。暴風もいいとこだ。明らかに自然現象とは思えなかった。
「ケイコ!」
吹いてくる風のせいで体を支えていられなくなる。
「ボクじゃないっ」
「分かってる! でも誰かが吹かせている風だ! それくらい分かるだろ!」
「分かってるけど、分かってるけどわかんないんだもん!」
気配を感じて視線をめぐらせると、眠っているかのような表情のみなみちゃんが立っていた。その長い黒髪は少しも棚引くことなく、それはつまりそのまわりでは風がないことを示している。
「ケイコ、みなみちゃんの意識がない!」
「え? 何、どゆこと?!」
それはこっちが聞いてんだよ。
なぜだかそのとき、はっと頭をよぎった言葉があった。
「もしかして、みなみちゃんって元天使……?」
ケイコがこの仕事に就いた理由、それは魂が帰ってないからで、そのせいで天使は天使じゃいられなくなったって。
「ちょっと待ってよ、碧。それはいくらなんでも無理があり過ぎだよ!」
「悪さをした天使が地上に落とされて堕天使になるってのは聞いたことがあるけど、リストラでなんてやり過ぎだったんじゃないか?」
「それはね、別にずっとって訳じゃないよ。人間になった天使にも仕事はあるの。無意識だけど、人間を良い方向に……」
「導いて、循環が元に戻ったらまた天使になるのか。俺みたいのを担ぎ出さなきゃならないくらい、状況は悪化の一途なんだろ。このままじゃいつ戻れるかなんてわかんないじゃん」
「う、うん。でも、ちゃんと記憶消してるって聞いてたんだけどな」
「おい! 悠長に話してる場合じゃないぞ。戸部が落ちる」
飛鳥の声に振り返ると、フェンス近くに居たはずが風に押されて徐々に端に移動していっている。もちろん、とっくに呪縛はといているし、彼女自身も改めて死に直面した恐怖からか必死にもがいている。
でも、僕らに当たっている風よりも幾分強いらしく、抵抗しきれていない。
なんとか助けようと、近づいていく。
みなみは天使だった人間。自殺した人間のせいで天使を辞めさせられたのを本能的に根に持っていると言うのだろうか。
みなみちゃんは自分でやっているという意識がない。
「シン!」
必死でもがく戸部の姿は、シンの姿とダブって見えた。きっと彼女はあの物語の中で必死にもがいていたんだろう。それこそ、生きるために。
「生きたいって思え! 何が何でも生きたいって思え!」
彼女の腕を必死に掴んで叫んでいた。
「そんなこと思ったら本当に事故になっちゃうんじゃない!?」
真実を確かめることは今はできないが、自ら死んだ魂は帰らないが、事故ならばそうではない。それが故意に行われたことでもだ。
横でケイコが、場にそぐわない声で話しかけてくる。
「死ななかったらいいんだろ!」
「そうだけど…、それもみなみちゃんのため?」
「はっ?」
「彼女無意識だけど、やってるのはやっぱり彼女じゃん。ベマちゃん死なせちゃったら万一記憶に残ってた場合、傷付くのはみなみちゃんでしょ? だから助けようとしてるのかなって」
この状況でそんなことを聞くケイコの心境が全く分からない。けれど、それが天使というものだと思い出した。
それは空気を読めないと言うことではなく、審判の能力なのだろう。絶対の善悪が無いなかで、天使はそれを判別する。自己の利益というものが無いからこそ、人間ではなく天使なのだ。
天国が幸せな所だというのは、幸せという概念がないから。働くことに意味もなく、存在することに疑問を持たない。楽しいも悲しいもない。
天界の奴らなんかよりよっぽど人間の方が楽しいんだ。
そういったのは、神様と呼ばれたあいつだったっけ。つまらないからと言って逃げ出して、人間に捕まったバカ。
「あのバカのためだ」
「バカ?」
「お前の上司だよ」
「へっ?」
あいつが楽しいというのなら人間でいることは楽しいんだ。
だから後悔させたくない。死んでしまう人にもそのまわりの人にも。何かできる時があるうちは何とかしようじゃないか。
時間だけは取り戻せないから、精一杯頑張っても、必ず悔やむことは起こってしまうのだから、せめてそれが少しでも減らせるように……。
自分でも驚くほど色のない声だった。
「死んだ後まで悪口言われるの嫌だろ。死に方は選んだ方が良い」
その言葉に彼女の体はビクッと反射した。
「今日あなたが死んで、いじめてた奴らはショックを受けるかもしれない」
視線が絡む。彼女の目にも色は含まれてはいなかった。誰にでも聴こえる声で彼女にしか効かない音を含ませる。僕の能力で一番強いのは、声なのだそうだ。
「少しの間は後悔に苛まれて苦しむかもね。でも実際に殺した訳じゃないから警察には捕まらないだろうし、学校とかは死んだあなたより生きてる彼女達を守ろうとするだろう。そうして一年二年と時間が過ぎていく、すると人間は当時の感情を忘れていく。大学に行って新しい友だちができれば、あなたのことはただの記憶の一部となる。そのうち結婚もするだろうし子どももできるかもしれない。もしくは仕事で成功して名声を手に入れる」
瞬きもせずに僕の声を聞く。その瞳の奥ではその声がそのまま現実になって見えているはずだ。
「それを見ているだけしかない」
視線が揺らぐ。でも僕はそれを外させる事はしない。そして彼女の目から再び色がなくなった頃、また同じ声色で白昼夢を見せる。
「本気で後悔して、毎日毎日死んだ君に謝るかもね。それでそれからの人生を人の為になることをたくさんする。あなたはいないから生きてる誰かのためにね。すると彼女がその誰かにありがとうって言ってもらえる人になる」
瞳に色が灯る。決して幸せな色ではない。
「君にはもう誰も言わない。ごめんなさいと泣き声だけ。あなたに届けられるのはそれだけ」
僕に未来を確定できる能力はない。それを予知することももちろんできない。話していくことはただの空論だ。でも考えることを出来なくし、死への恐怖はこれまでの比にはならないくらいになったはずだ。
そんなことをしている自分が一番きつかった……。
彼女に幻を見せるために見つめている瞳から彼女の記憶が流れ込んでくる。
「自分の命でも、命をどうこうできると思うから他人の物を奪うくらいの感情で命を奪っていくんだよ」
「碧……なんでお前が泣いてるんだ?」
無性に悲しくなったから、オードリーにノサにリューに会えないのが悲しかった。あんなに暖かな心を持った人たちだったんだ。
「碧が泣いてるのは、彼女の感情が流れ込んできてるから。碧が代わりに泣いて――」
ケイコがそうやって僕の感情を説明するのが悔しかった。
「違う!」
そんなんじゃないのに……。
違う、僕が泣いてるのは彼女のせいでも彼女のためでもない。
「僕の涙は何時だって僕のものだ。誰かのためになんか泣くもんか。死ぬことを選択できるなんて思ってる奴らに僕の涙は絶対にやらない」
僕には全部聞こえているし、見えている。醜く汚い人間の本性。どんなに偽善者ぶったって僕には分かる。
そして何よりキレイなものを知っている。
人間はいつから上ばかり見上げるようになったのだろう。手を掲げて降ってくるものばかりを受け止めようとする。だから本当に手にするべきものが横に居ることに気付かない。地面に落ちた物には価値がないと蹴り飛ばす。
「悪いけど、今は死なせないから。死にたいんだったらまた今度にして」
ケイコにした様に体の動きを封じた。もう自分の意志では飛び降りることも戻ることもできない。
「飛鳥、手伝って」
飛鳥はひょいっと戸部さんの体を担いでフェンスまで連れて行った。
さすが飛鳥様、僕にはそんな力ありませんよ。
彼女をおろした後、飛鳥は僕の耳元までくると、ぼそっと説得したことを褒めてくれた。
それが少し後ろめたかった。あと泣いたことが恥ずかしくて、弱い自分がつい顔を出しそうになっていた。
「あんなこと言わない方がいいよ」
僕が話した内容に本当は深い意味なんてない。声を聞かせることに意味があったのだから、内容なんで童話だってなんだって良かったんだ。
「いつか誰かを傷つけるくらいなら今いなくなった方が良いって考える人もいるかもしれない。ほんの少しでも苦しんでくれるならって死ぬことに意味を見つける人だっている」
そうじゃない人もいる。ただそれだけのこと。でも僕は、やっぱり聞いて欲しかったのかもしれない。
「そうやって同じ所を何度もグルグル回る。苦しいだろうね」
苦しみばかりが巡る頭の中で、それだけじゃないと信じて欲しかったのかもしれない。
「とっても恐いはずだよ……恐くて恐くて」
そしてその時が来る。解放されることを願って……。
少しだけ、胸が苦しくなって、どうしようもない感情に襲われた。それでも、囚われないのは、僕が弱い人間で、逃げ方が上手かっただけだろうな。
それと、こうやって聞いてくれる人がいたから、弱いままでいられたんだ。
「死んだ後どうなるかなんて誰にも分からないんだから期待するのも失望するのも違うんじゃないかな。人間がすべきことは今を生きることだけで、それ以外に何にもないと僕は思う」
僕がそういって笑うと、飛鳥もめったに見せない優しい顔で笑ってくれた。
「死んだ人間が見える奴が言うセリフとは思えないな」
本当に強い人間はきっと飛鳥みたいな奴なんだろうな。
「ちゃんと聞いてなかったのか? 僕が見えてるのは人間の意識。生きてる人間がいなければ意味なんてないんだよ」
「当然過ぎて意味がわからんな」
そして、いつもの皮肉な笑顔だった。
「ぅわっ、なんだこれ」
突然嵐のような風が吹いた。
風は僕たちを校舎から落とそうとするかのように、みるみる速度をましていく。暴風もいいとこだ。明らかに自然現象とは思えなかった。
「ケイコ!」
吹いてくる風のせいで体を支えていられなくなる。
「ボクじゃないっ」
「分かってる! でも誰かが吹かせている風だ! それくらい分かるだろ!」
「分かってるけど、分かってるけどわかんないんだもん!」
気配を感じて視線をめぐらせると、眠っているかのような表情のみなみちゃんが立っていた。その長い黒髪は少しも棚引くことなく、それはつまりそのまわりでは風がないことを示している。
「ケイコ、みなみちゃんの意識がない!」
「え? 何、どゆこと?!」
それはこっちが聞いてんだよ。
なぜだかそのとき、はっと頭をよぎった言葉があった。
「もしかして、みなみちゃんって元天使……?」
ケイコがこの仕事に就いた理由、それは魂が帰ってないからで、そのせいで天使は天使じゃいられなくなったって。
「ちょっと待ってよ、碧。それはいくらなんでも無理があり過ぎだよ!」
「悪さをした天使が地上に落とされて堕天使になるってのは聞いたことがあるけど、リストラでなんてやり過ぎだったんじゃないか?」
「それはね、別にずっとって訳じゃないよ。人間になった天使にも仕事はあるの。無意識だけど、人間を良い方向に……」
「導いて、循環が元に戻ったらまた天使になるのか。俺みたいのを担ぎ出さなきゃならないくらい、状況は悪化の一途なんだろ。このままじゃいつ戻れるかなんてわかんないじゃん」
「う、うん。でも、ちゃんと記憶消してるって聞いてたんだけどな」
「おい! 悠長に話してる場合じゃないぞ。戸部が落ちる」
飛鳥の声に振り返ると、フェンス近くに居たはずが風に押されて徐々に端に移動していっている。もちろん、とっくに呪縛はといているし、彼女自身も改めて死に直面した恐怖からか必死にもがいている。
でも、僕らに当たっている風よりも幾分強いらしく、抵抗しきれていない。
なんとか助けようと、近づいていく。
みなみは天使だった人間。自殺した人間のせいで天使を辞めさせられたのを本能的に根に持っていると言うのだろうか。
みなみちゃんは自分でやっているという意識がない。
「シン!」
必死でもがく戸部の姿は、シンの姿とダブって見えた。きっと彼女はあの物語の中で必死にもがいていたんだろう。それこそ、生きるために。
「生きたいって思え! 何が何でも生きたいって思え!」
彼女の腕を必死に掴んで叫んでいた。
「そんなこと思ったら本当に事故になっちゃうんじゃない!?」
真実を確かめることは今はできないが、自ら死んだ魂は帰らないが、事故ならばそうではない。それが故意に行われたことでもだ。
横でケイコが、場にそぐわない声で話しかけてくる。
「死ななかったらいいんだろ!」
「そうだけど…、それもみなみちゃんのため?」
「はっ?」
「彼女無意識だけど、やってるのはやっぱり彼女じゃん。ベマちゃん死なせちゃったら万一記憶に残ってた場合、傷付くのはみなみちゃんでしょ? だから助けようとしてるのかなって」
この状況でそんなことを聞くケイコの心境が全く分からない。けれど、それが天使というものだと思い出した。
それは空気を読めないと言うことではなく、審判の能力なのだろう。絶対の善悪が無いなかで、天使はそれを判別する。自己の利益というものが無いからこそ、人間ではなく天使なのだ。
天国が幸せな所だというのは、幸せという概念がないから。働くことに意味もなく、存在することに疑問を持たない。楽しいも悲しいもない。
天界の奴らなんかよりよっぽど人間の方が楽しいんだ。
そういったのは、神様と呼ばれたあいつだったっけ。つまらないからと言って逃げ出して、人間に捕まったバカ。
「あのバカのためだ」
「バカ?」
「お前の上司だよ」
「へっ?」
あいつが楽しいというのなら人間でいることは楽しいんだ。
だから後悔させたくない。死んでしまう人にもそのまわりの人にも。何かできる時があるうちは何とかしようじゃないか。
時間だけは取り戻せないから、精一杯頑張っても、必ず悔やむことは起こってしまうのだから、せめてそれが少しでも減らせるように……。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-
ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。
困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。
はい、ご注文は?
調味料、それとも武器ですか?
カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。
村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。
いずれは世界へ通じる道を繋げるために。
※本作はカクヨム様にも掲載しております。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる