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5章
不治
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「あ、新たな病!?」
シルヴィアは顔を青褪める。
エリオットに詰め寄る。
「エリオット様!
旦那様は何の病に罹ってしまったのですか!?」
シルヴィアの余りの気迫に、自分が言ったことだが大袈裟に言い過ぎたと少し反省するエリオット。
「ごめん、病とかじゃなくて、病みたいなもの。
死ぬとかそんなものではないから、安心してよ。」
「病みたいなもの・・・?」
首を捻りながらエリオットは苦笑しながら、話す。
「う~ん、気持ちの問題?」
「エリオット、シルヴィアに余計な心配をさせる様な言い回しをするな。」
ジュードは呆れた様子でジュードを諫める。
「ちょっとした冗談のつもりだったのですが、
今のシルヴィア嬢には、逆効果でした。
シルヴィア嬢、気にしないでくださいね。」
「で、いつまで手を握っているつもりだ?」
眉尻を吊り上げ、不快そうななジュードを見て、
シルヴィアから手をパッと離し、
エリオットは軽く頭を下げて、その場から離れる。
去り際に
「レイフォードはもうしばらくしたら、顔を出すだろうから、
それまでは、先生と待っていてよ。」
エリオットが去り、ジュードと二人で待つ間、
また今までに無い視線に、居心地悪い思いをしながら、
シルヴィアはジュードに尋ねる。
「お父様、お仕事は大丈夫だったのですか?」
ジュードは国王の外遊に1ヶ月護衛に付いていると聞いていたシルヴィア。
「ん?娘のエスコートの方が大事だから、
外遊を切り上げさせたのだ。
レイフォードの看病をシルヴィアがしていると聞いた時に、飛んで行きたかったのだ。
それくらい構わんだろう。
遊びに行っている奴の世話をしている場合じゃないからな。」
「お、お父様!
誰が聞いているか分からないのに、そんな事仰らないで。」
ジュードはしれっと言う。
「構わんさ、俺のこういう態度に歓び感じる性癖の持ち主だからな、王は。
不敬とも感じないだろう。」
シルヴィアはきょとんとする。
「性癖?」
「・・・気安い態度を取る方が嬉しいそうだ。」
「まあ!とても仲良しなのですね!」
「そうだな・・・。」
仲良しという言葉に鳥肌が立ちそうになるのを抑えて、ジュードは平静を保つ。
ジュードが護衛するトランスヴァニア王は、
先の戦でジュードの戦い振りに大層惚れ込み、
特にジュードの深紅に染まる瞳を見たいが為に、
ジュードを態と怒らせる行動取る。
ジュードも歓ばせると分かっていながら、
王の変態性に嫌悪感を抱くのを止められず、
罵倒してしまう。
「あの頭の使い道をもっと他に活かしてくれれば、良いのだがな・・・。」
ジュードは遠い目をして呟く。
「私はお父様と一緒にお話し出来るのはとても嬉しいです。」
ジュードの横で、にこにこと微笑むシルヴィアを見て
「本当にうちの娘は可愛い・・・。
それをあのダイオンのドラ息子・・・・。」
「お父様?」
「ああ、何でも無い。」
ジュードはシルヴィアの頭を撫でる。
シルヴィアは嬉しそうに目を閉じる。
ジュードは少し間を置いて、話す。
「今の暮らしは・・・幸せか?」
シルヴィアは大きく頷く。
「はい!とても!
皆さん良くして下さります。毎日とても楽しいです。
最近は、旦那様とも少しお話出来るようになりましたし。」
「そうか・・・。」
レイフォードの事をまだ旦那様と律義に呼び続けるシルヴィアを愛おしく見つめるジュードの瞳は
穏やかな暖かみのある赤。
周りはその瞳を見てまたざわつく。
「噂は本当だったんだ。」
「本当に鬼神は子供を溺愛している。」
「周りとの差が激しいのも本当だった。」
「鬼神もやはり子供の前では親なのだな。」
うるさいという風に周りに目線を送る。
ジュードは溜息を吐く。
「何かあれば直ぐに言うのだぞ。」
「はい。ありがとうございます。お父様。」
そうしている内に、当主であるダイオンが顔を出す。
傍らにレイフォードも居る。
レイフォードはシルヴィアに気付き、口を開いたまま固まった。
シルヴィアは顔を青褪める。
エリオットに詰め寄る。
「エリオット様!
旦那様は何の病に罹ってしまったのですか!?」
シルヴィアの余りの気迫に、自分が言ったことだが大袈裟に言い過ぎたと少し反省するエリオット。
「ごめん、病とかじゃなくて、病みたいなもの。
死ぬとかそんなものではないから、安心してよ。」
「病みたいなもの・・・?」
首を捻りながらエリオットは苦笑しながら、話す。
「う~ん、気持ちの問題?」
「エリオット、シルヴィアに余計な心配をさせる様な言い回しをするな。」
ジュードは呆れた様子でジュードを諫める。
「ちょっとした冗談のつもりだったのですが、
今のシルヴィア嬢には、逆効果でした。
シルヴィア嬢、気にしないでくださいね。」
「で、いつまで手を握っているつもりだ?」
眉尻を吊り上げ、不快そうななジュードを見て、
シルヴィアから手をパッと離し、
エリオットは軽く頭を下げて、その場から離れる。
去り際に
「レイフォードはもうしばらくしたら、顔を出すだろうから、
それまでは、先生と待っていてよ。」
エリオットが去り、ジュードと二人で待つ間、
また今までに無い視線に、居心地悪い思いをしながら、
シルヴィアはジュードに尋ねる。
「お父様、お仕事は大丈夫だったのですか?」
ジュードは国王の外遊に1ヶ月護衛に付いていると聞いていたシルヴィア。
「ん?娘のエスコートの方が大事だから、
外遊を切り上げさせたのだ。
レイフォードの看病をシルヴィアがしていると聞いた時に、飛んで行きたかったのだ。
それくらい構わんだろう。
遊びに行っている奴の世話をしている場合じゃないからな。」
「お、お父様!
誰が聞いているか分からないのに、そんな事仰らないで。」
ジュードはしれっと言う。
「構わんさ、俺のこういう態度に歓び感じる性癖の持ち主だからな、王は。
不敬とも感じないだろう。」
シルヴィアはきょとんとする。
「性癖?」
「・・・気安い態度を取る方が嬉しいそうだ。」
「まあ!とても仲良しなのですね!」
「そうだな・・・。」
仲良しという言葉に鳥肌が立ちそうになるのを抑えて、ジュードは平静を保つ。
ジュードが護衛するトランスヴァニア王は、
先の戦でジュードの戦い振りに大層惚れ込み、
特にジュードの深紅に染まる瞳を見たいが為に、
ジュードを態と怒らせる行動取る。
ジュードも歓ばせると分かっていながら、
王の変態性に嫌悪感を抱くのを止められず、
罵倒してしまう。
「あの頭の使い道をもっと他に活かしてくれれば、良いのだがな・・・。」
ジュードは遠い目をして呟く。
「私はお父様と一緒にお話し出来るのはとても嬉しいです。」
ジュードの横で、にこにこと微笑むシルヴィアを見て
「本当にうちの娘は可愛い・・・。
それをあのダイオンのドラ息子・・・・。」
「お父様?」
「ああ、何でも無い。」
ジュードはシルヴィアの頭を撫でる。
シルヴィアは嬉しそうに目を閉じる。
ジュードは少し間を置いて、話す。
「今の暮らしは・・・幸せか?」
シルヴィアは大きく頷く。
「はい!とても!
皆さん良くして下さります。毎日とても楽しいです。
最近は、旦那様とも少しお話出来るようになりましたし。」
「そうか・・・。」
レイフォードの事をまだ旦那様と律義に呼び続けるシルヴィアを愛おしく見つめるジュードの瞳は
穏やかな暖かみのある赤。
周りはその瞳を見てまたざわつく。
「噂は本当だったんだ。」
「本当に鬼神は子供を溺愛している。」
「周りとの差が激しいのも本当だった。」
「鬼神もやはり子供の前では親なのだな。」
うるさいという風に周りに目線を送る。
ジュードは溜息を吐く。
「何かあれば直ぐに言うのだぞ。」
「はい。ありがとうございます。お父様。」
そうしている内に、当主であるダイオンが顔を出す。
傍らにレイフォードも居る。
レイフォードはシルヴィアに気付き、口を開いたまま固まった。
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