44 / 126
先人達は良く言ったものだ。
しおりを挟む
前略、冒険者であろう君へ。
どうも、僕です。
君の事だから冒険者になって、
自分よりレベルが高い敵を相手に、どれだけ低レベルで戦えるか、
到底理解できない戦いを挑んでいる事だろう。
残念だが、私はダンジョンをうろちょろして、
完膚なきまでに叩きのめすまで、
ボスに戦いを挑まない主義だ!
ここは君とは相容れなかったね。
君が此処に登録しているだろうと思って、
この手紙を書いてみた。
これを読んだら、至急受付のお姉さんにこの張り紙を持って行きたまえ。
君がどんな姿に転生しているか非常に楽しみだ。
君も私がどんな姿になっているか楽しみにしていてくれ。
君のストーカーより。
追伸、クリスタルは無限だ!
「あー、何であんな文章にしてしまったのでしょうか・・・・。」
私は帰り道に溜息と一緒に後悔の言葉を吐く。
「今更どうしたのよ。」
「いやね、もっと、こう、ちゃんとした文章を書こうと思ったのですが、
書いていた時間が・・・真夜中でして・・・・。」
アリスは私の言いたい事を察してくれた様で、ぽんと私の肩を叩く。
「仕方ないわよ、真夜中は魔物が居るって昔から言われてたじゃない。」
「ですよね・・・。」
中々に痛い文章を書いて自己嫌悪に陥る。
貼り出してしまったものを今更撤回出来ない。
せめてもの救いは、あれを読む事が出来る人間がほぼ居ないという事。
あ、横の人も読んでたわ。
「因みに私は、旦那さん派だわ。」
「え!まさか、アリス、そんな。裏切るつもりですか!?」
「はい?」
アリスは何言ってるんだコイツという顔をする。
「何事も完璧に攻略する方が楽しいじゃないですか!」
「私はそれよりストーリーを早く見たいから、
さっさと攻略する方が良い。」
何て事だ!
こんな所まで夫と同じ考えなんて!
「攻略本見ながら、アイテム、サブストーリーをフルコンプリートしたくないんですか!?」
「うん。攻略本見ながらとか、ストーリーが分かっちゃうじゃない?
ていうか、攻略本出るまで待てないし。」
何て言う夫!?それ。
言い分も同じ、震える勢いだよ!!
「ううう・・・。何故だ・・・。私の家族は攻略本有りきの高レベル、ボスフルボッコ派なのに・・・。」
「人それぞれなんだから、良いじゃない。色んな楽しみ方があるわよ。」
「アリス、実は夫でしたってオチ無いですよね?」
「何回もしつこい!無いわよ!!!」
「いで。」
べしっと額を叩かれる。
また感情の乗らない声を上げる。
「まぁ、後は旦那さんが見てくれる事を祈るしかないわね。
冒険者なんでしょ?ミリアムの予想では。」
こくりと頷く。
「はい、以前転生したら何になりたいって話をした事があるので、
そこから考えが変わっていなければ、間違いなく冒険者になっています。
凄くアグレッシブ人間だったので、色々な場所で冒険したいって言ってましたから。」
「そう・・・。早くロランバルトさんからの連絡があると良いわね。」
アリスが慈愛に満ちた表情で私に笑いかける。
私はもう感極まって、アリスに抱き着く。
「はい!早く夫と会って、とても大切な友人が出来たとアリスを紹介したいです!」
「ちょ、ちょっと街中で抱き着かないでって!」
アリスは暴れるが、お構いなしだ。
私はこの優しく、可愛い大好きな親友を早く夫に自慢したくて堪らなかった。
アリスは諦めたらしく、私の頭をぽふぽふと優しく叩いた。
「私も・・・早く旦那さんに会って、ミリアムとは親友ですって挨拶する・・・から。」
「ア、ア、アリス!!!」
ヒロインのデレは本当に至高。
興奮しすぎて思わず抱き締める腕に力が入ってしまった。
「ぎゃあああ!痛い!痛い!絞まってる!絞まってるから!」
この悲鳴も可愛い顔とのギャップでまた良い。
半分意識が遠退いているアリスに気付いて、
慌てて腕を離した私は、一日アリスに無視されるという拷問に近い仕打ちを受けました。
どうも、僕です。
君の事だから冒険者になって、
自分よりレベルが高い敵を相手に、どれだけ低レベルで戦えるか、
到底理解できない戦いを挑んでいる事だろう。
残念だが、私はダンジョンをうろちょろして、
完膚なきまでに叩きのめすまで、
ボスに戦いを挑まない主義だ!
ここは君とは相容れなかったね。
君が此処に登録しているだろうと思って、
この手紙を書いてみた。
これを読んだら、至急受付のお姉さんにこの張り紙を持って行きたまえ。
君がどんな姿に転生しているか非常に楽しみだ。
君も私がどんな姿になっているか楽しみにしていてくれ。
君のストーカーより。
追伸、クリスタルは無限だ!
「あー、何であんな文章にしてしまったのでしょうか・・・・。」
私は帰り道に溜息と一緒に後悔の言葉を吐く。
「今更どうしたのよ。」
「いやね、もっと、こう、ちゃんとした文章を書こうと思ったのですが、
書いていた時間が・・・真夜中でして・・・・。」
アリスは私の言いたい事を察してくれた様で、ぽんと私の肩を叩く。
「仕方ないわよ、真夜中は魔物が居るって昔から言われてたじゃない。」
「ですよね・・・。」
中々に痛い文章を書いて自己嫌悪に陥る。
貼り出してしまったものを今更撤回出来ない。
せめてもの救いは、あれを読む事が出来る人間がほぼ居ないという事。
あ、横の人も読んでたわ。
「因みに私は、旦那さん派だわ。」
「え!まさか、アリス、そんな。裏切るつもりですか!?」
「はい?」
アリスは何言ってるんだコイツという顔をする。
「何事も完璧に攻略する方が楽しいじゃないですか!」
「私はそれよりストーリーを早く見たいから、
さっさと攻略する方が良い。」
何て事だ!
こんな所まで夫と同じ考えなんて!
「攻略本見ながら、アイテム、サブストーリーをフルコンプリートしたくないんですか!?」
「うん。攻略本見ながらとか、ストーリーが分かっちゃうじゃない?
ていうか、攻略本出るまで待てないし。」
何て言う夫!?それ。
言い分も同じ、震える勢いだよ!!
「ううう・・・。何故だ・・・。私の家族は攻略本有りきの高レベル、ボスフルボッコ派なのに・・・。」
「人それぞれなんだから、良いじゃない。色んな楽しみ方があるわよ。」
「アリス、実は夫でしたってオチ無いですよね?」
「何回もしつこい!無いわよ!!!」
「いで。」
べしっと額を叩かれる。
また感情の乗らない声を上げる。
「まぁ、後は旦那さんが見てくれる事を祈るしかないわね。
冒険者なんでしょ?ミリアムの予想では。」
こくりと頷く。
「はい、以前転生したら何になりたいって話をした事があるので、
そこから考えが変わっていなければ、間違いなく冒険者になっています。
凄くアグレッシブ人間だったので、色々な場所で冒険したいって言ってましたから。」
「そう・・・。早くロランバルトさんからの連絡があると良いわね。」
アリスが慈愛に満ちた表情で私に笑いかける。
私はもう感極まって、アリスに抱き着く。
「はい!早く夫と会って、とても大切な友人が出来たとアリスを紹介したいです!」
「ちょ、ちょっと街中で抱き着かないでって!」
アリスは暴れるが、お構いなしだ。
私はこの優しく、可愛い大好きな親友を早く夫に自慢したくて堪らなかった。
アリスは諦めたらしく、私の頭をぽふぽふと優しく叩いた。
「私も・・・早く旦那さんに会って、ミリアムとは親友ですって挨拶する・・・から。」
「ア、ア、アリス!!!」
ヒロインのデレは本当に至高。
興奮しすぎて思わず抱き締める腕に力が入ってしまった。
「ぎゃあああ!痛い!痛い!絞まってる!絞まってるから!」
この悲鳴も可愛い顔とのギャップでまた良い。
半分意識が遠退いているアリスに気付いて、
慌てて腕を離した私は、一日アリスに無視されるという拷問に近い仕打ちを受けました。
1
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【二部開始】所詮脇役の悪役令嬢は華麗に舞台から去るとしましょう
蓮実 アラタ
恋愛
アルメニア国王子の婚約者だった私は学園の創立記念パーティで突然王子から婚約破棄を告げられる。
王子の隣には銀髪の綺麗な女の子、周りには取り巻き。かのイベント、断罪シーン。
味方はおらず圧倒的不利、絶体絶命。
しかしそんな場面でも私は余裕の笑みで返す。
「承知しました殿下。その話、謹んでお受け致しますわ!」
あくまで笑みを崩さずにそのまま華麗に断罪の舞台から去る私に、唖然とする王子たち。
ここは前世で私がハマっていた乙女ゲームの世界。その中で私は悪役令嬢。
だからなんだ!?婚約破棄?追放?喜んでお受け致しますとも!!
私は王妃なんていう狭苦しいだけの脇役、真っ平御免です!
さっさとこんなやられ役の舞台退場して自分だけの快適な生活を送るんだ!
って張り切って追放されたのに何故か前世の私の推しキャラがお供に着いてきて……!?
※本作は小説家になろうにも掲載しています
二部更新開始しました。不定期更新です
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる