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そんな目で見ないでくれ
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一夜明けまして、
私は困窮しております。
何故か?
それは、
「ミ、ミリアム・・・。
あの、王宮で綺麗な花が咲いていたから、
あ!ミリアムの美しさには負けるぞ!
・・・これ、受け取ってくれるか・・・?」
「ミリアム嬢、今日騎士団の中でちょっとした試合があるんだ。
必ず勝つから、応援に来てくれよ。
何、危ない?
大丈夫だ、俺が必ず守るからな!
ハハハハ!」
「ミリアム嬢、今日も麗しい。
そしてとても鋭いその瞳・・・。
ああ!更に鋭くなった!!
もっと見てくれ!!
私をもっとその美しい瞳で見てくれ!!」
「ミリアム嬢~。
今日も可愛いねぇ~。
ミリアム嬢と一緒に住む為の家具とか幾つかピックアップしてきたよ?
ちょっと見て~。
これ、良いでしょ?
ピンクの縄。
色々と便利だよ?色々ね?うふふ。」
もうお分かりかと思いますが、
教室に入って、席に着いて早々この事態ですわ。
例の四人が、待ってましたと言わんばかりに
私の席を取り囲んで、好き勝手ほざいとるんです。
ああ、また汚い言葉を。
え?何これ、本当に。
望んでないよ、こんな展開。
遠くで様子を伺ってるアリスが、
微妙にニヤニヤしているのを私は見逃さなかった。
後で覚えておけよ?
「えーと、取り敢えず、
ノエル王子、大変申し訳ありませんが、
私はどんな花も枯らせる才能がある人間ですので、
そのような綺麗な花を枯らせるのは忍びないので、
お持ち帰り下さい。
そちらの、えーとウルフィン様でしたっけ?
応援には行かないし、私は強いので守って頂かなくて結構です。
眼鏡の人は、何でしたっけリヒト様、かな。
鋭い目は目つきが悪いだけで、
貴方の事は見てないですし、見ないです。
で、君、クリス様と言いましたね。
何をトチ狂ったのかは知らないけど、
一緒に住むとか了承した覚えは無いですね。
その気持ち悪い縄はそこの眼鏡の人でも縛っておきなさいよ。」
よし、言い切った。
喉乾いたわ。
取り敢えず、カフェテラスというものがあるらしいから、
アリスを誘ってお茶しに行くか。
席を立ち、まだ固まったままの四人の間を
どうにかすり抜けアリスの元へ向かう。
そして声を低くし、小声で
「よお!姉ちゃん!
可愛いね!
ちょっと俺と茶ぁしばきにいかへんけ?」
アリスがブーッと吹き出す。
「ちょっと、ネタ古くない?」
「年寄りなもんでね。」
「まぁ、いいわ。行くわよ。」
二人は連れ立って、カフェテラスへ。
「何か、アレ症状悪化してません?」
私はカモミールティーを飲みながらアリスに尋ねる。
「そうね、大分ヤバいわね。」
ジャスミンティーを飲みながらアリスは答える。
こんな逆ハーレム望んでない。
こんなんじゃなくても、求めてない。
私は可愛いアリスと学園生活を楽しみたいというのに。
「基本、相手にせずにしておこうと思います。」
「まぁ、それが良いかもね。」
暫くの間は、そうしよう。
我慢できなくなったら、何するか分からんが。
カフェテリアを出て教室に戻る。
ほ・・・。
良かった、あの四人は居なくなっている。
自分の席に着くと、嫌と言うほど視線を左隣から感じる。
眼だけ動かし左を見る。
瞳をキラッキラに輝かしたノエルが居る。
何、その瞳。
犬が飼い主が帰って来た時に見せる嬉しそうな瞳。
やめてくれ!
その瞳には弱いんだよ!
飼っちゃうから!
犬飼っちゃうから!
ここで話し掛けたら負けだ。
耐えろ。耐えるんだ!!
授業が運良く始まり、終わるまで私は黒板だけを食い入るように見つめ続け、
終わると一目散にアリスの元へ向かった。
後日、クラスの方々から聞いた話だが、
全く私が相手にしなかったノエルは、静かに泣いていたらしい。
私は困窮しております。
何故か?
それは、
「ミ、ミリアム・・・。
あの、王宮で綺麗な花が咲いていたから、
あ!ミリアムの美しさには負けるぞ!
・・・これ、受け取ってくれるか・・・?」
「ミリアム嬢、今日騎士団の中でちょっとした試合があるんだ。
必ず勝つから、応援に来てくれよ。
何、危ない?
大丈夫だ、俺が必ず守るからな!
ハハハハ!」
「ミリアム嬢、今日も麗しい。
そしてとても鋭いその瞳・・・。
ああ!更に鋭くなった!!
もっと見てくれ!!
私をもっとその美しい瞳で見てくれ!!」
「ミリアム嬢~。
今日も可愛いねぇ~。
ミリアム嬢と一緒に住む為の家具とか幾つかピックアップしてきたよ?
ちょっと見て~。
これ、良いでしょ?
ピンクの縄。
色々と便利だよ?色々ね?うふふ。」
もうお分かりかと思いますが、
教室に入って、席に着いて早々この事態ですわ。
例の四人が、待ってましたと言わんばかりに
私の席を取り囲んで、好き勝手ほざいとるんです。
ああ、また汚い言葉を。
え?何これ、本当に。
望んでないよ、こんな展開。
遠くで様子を伺ってるアリスが、
微妙にニヤニヤしているのを私は見逃さなかった。
後で覚えておけよ?
「えーと、取り敢えず、
ノエル王子、大変申し訳ありませんが、
私はどんな花も枯らせる才能がある人間ですので、
そのような綺麗な花を枯らせるのは忍びないので、
お持ち帰り下さい。
そちらの、えーとウルフィン様でしたっけ?
応援には行かないし、私は強いので守って頂かなくて結構です。
眼鏡の人は、何でしたっけリヒト様、かな。
鋭い目は目つきが悪いだけで、
貴方の事は見てないですし、見ないです。
で、君、クリス様と言いましたね。
何をトチ狂ったのかは知らないけど、
一緒に住むとか了承した覚えは無いですね。
その気持ち悪い縄はそこの眼鏡の人でも縛っておきなさいよ。」
よし、言い切った。
喉乾いたわ。
取り敢えず、カフェテラスというものがあるらしいから、
アリスを誘ってお茶しに行くか。
席を立ち、まだ固まったままの四人の間を
どうにかすり抜けアリスの元へ向かう。
そして声を低くし、小声で
「よお!姉ちゃん!
可愛いね!
ちょっと俺と茶ぁしばきにいかへんけ?」
アリスがブーッと吹き出す。
「ちょっと、ネタ古くない?」
「年寄りなもんでね。」
「まぁ、いいわ。行くわよ。」
二人は連れ立って、カフェテラスへ。
「何か、アレ症状悪化してません?」
私はカモミールティーを飲みながらアリスに尋ねる。
「そうね、大分ヤバいわね。」
ジャスミンティーを飲みながらアリスは答える。
こんな逆ハーレム望んでない。
こんなんじゃなくても、求めてない。
私は可愛いアリスと学園生活を楽しみたいというのに。
「基本、相手にせずにしておこうと思います。」
「まぁ、それが良いかもね。」
暫くの間は、そうしよう。
我慢できなくなったら、何するか分からんが。
カフェテリアを出て教室に戻る。
ほ・・・。
良かった、あの四人は居なくなっている。
自分の席に着くと、嫌と言うほど視線を左隣から感じる。
眼だけ動かし左を見る。
瞳をキラッキラに輝かしたノエルが居る。
何、その瞳。
犬が飼い主が帰って来た時に見せる嬉しそうな瞳。
やめてくれ!
その瞳には弱いんだよ!
飼っちゃうから!
犬飼っちゃうから!
ここで話し掛けたら負けだ。
耐えろ。耐えるんだ!!
授業が運良く始まり、終わるまで私は黒板だけを食い入るように見つめ続け、
終わると一目散にアリスの元へ向かった。
後日、クラスの方々から聞いた話だが、
全く私が相手にしなかったノエルは、静かに泣いていたらしい。
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