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お礼
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結論から申し上げますと、蘇芳とのダンスは素晴らしかった。
リードがスマートで優雅。
私を気遣ってくれる紳士的な優しさ。
本当に王子様なのかと思った。
周りから感嘆の声が漏れているのも聞こえたし、
女生徒たちの瞳がハートになっているのも分かった。
流石、学園一の色男は違うな。
そんな訳で、私は難なくダンスを終える事が出来た。
一応、オリエンテーションの成績は優だろう。
このオリエンテーションは鷺宮が言っていた様に成績が付く。
一般教養とは別の、良家の社交術と言ったら良いのか、
この場でパートナーを見つけて踊るも良し、
予めパートナーが居ればその人と踊るも良し。
最低一人と踊る事、それが成績に加点される。
鷺宮は硬派とも言えるのか、ほとんど女性と話さない。
というか、私以外の女性と話しているのを見た事無い。
なので、今回のオリエンテーションが凄く億劫なのが態度に現れている。
唯一話す事の出来る手頃な私でパパっと終わらせようと思っているのだろう。
ゲームでも嫌々ながら愛良の相手をしていた。
蘇芳に相手にされない哀れな婚約者に同情してダンスに誘うのだ。
愛良も嫌々なのが分かって、鷺宮に強く当たる。
愛良とのダンスを終えて、鷺宮は萌香と出会う。
萌香は誰もダンスの相手が居ないから、非常に困っていて、
優しい鷺宮はダンスに誘うのだ。
萌香とダンスを踊る事で先程踊った愛良とは全然違う感情を抱く。
萌香の天真爛漫さがとても新鮮で、少しずつ鷺宮は萌香に惹かれていく。
というのが鷺宮ルートだ。
「西園寺、一曲お願いしたい。」
今回に至っては、私は蘇芳と踊れたので鷺宮は私に同情しなくても、大丈夫なのだが、
鷺宮自身が私以外に躍る人が居ないと、
私の同情を誘う発言をした。
これには蘇芳も容認した。
私は差し出された鷺宮の手を取り断りを入れる。
「鷺宮君の足を踏んでしまったら、ごめんなさい。」
「心配ない。俺は踏まれた位では大したダメージにはならない。」
真面目な顔で言われた。
言いたい事はそうでは無いのだが、本人が大丈夫だと言うのだから良しとしよう。
鷺宮のエスコートで中央へ。
お手本通りのステップを正確に踏む。
鷺宮の性格が如実に物語るダンスだ。
流石体育会系であるので、体幹がしっかりしていて私も安心して踊れた。
「あ!」
「どうした、西園寺。」
忘れてた。鷺宮にハンカチのお礼を持って来たのだった。
私は鷺宮を見る。
「鷺宮君、後でお時間を頂けますか?」
鷺宮も私を見据える。
「いきなり、どうした?」
「この前のハンカチのお礼をお渡ししたくて。」
鷺宮は少し苦笑しながら言う。
「西園寺は真面目だな。本当に気にしなくて良かったのに。」
真面目な鷺宮に言われた。
鷺宮の方が真面目だと思うけど。
私は少しだけ首を横に振る。
「真面目というか私の気持ちの問題です。自己満足なのでしょうが、どうか受け取ってください。」
「分かった。」
「では、このオリエンテーションが終わったら、教室でお待ちしています。」
鷺宮は無言で頷く。
そして、曲が終わり鷺宮とのダンスが終わった。
これで鷺宮の成績も大丈夫だろう。
ホッと一安心したのも束の間。
私は重大な事を思い出した。
萌香だ。
萌香は誰とも踊れていないのではないか?
鷺宮はこれ以上踊るつもりは無いと言っていた。
鷺宮ルートに入らないとなると、
やはり、蘇芳なのだろうか。
辺りを見渡す。
「西園寺、どうした?」
鷺宮が挙動不審になった私に声を掛ける。
「あ、あの萌香は何処に居るのかと思いまして。」
居ない。
何処だろう。
蘇芳と踊っているのだろうか。
胸の鼓動が少しだけ早くなる。
西園寺が私の肩を叩く。
そして私達が数刻まで踊っていた場所を指差す。
「草薙萌香なら、あそこで踊っているぞ。」
ドクリ。
心臓が鷲掴まれたようだ。
ゆっくりと後ろを振り向く。
そこにはにこやかに笑い合いながら踊っている
萌香と東矢の姿があった。
リードがスマートで優雅。
私を気遣ってくれる紳士的な優しさ。
本当に王子様なのかと思った。
周りから感嘆の声が漏れているのも聞こえたし、
女生徒たちの瞳がハートになっているのも分かった。
流石、学園一の色男は違うな。
そんな訳で、私は難なくダンスを終える事が出来た。
一応、オリエンテーションの成績は優だろう。
このオリエンテーションは鷺宮が言っていた様に成績が付く。
一般教養とは別の、良家の社交術と言ったら良いのか、
この場でパートナーを見つけて踊るも良し、
予めパートナーが居ればその人と踊るも良し。
最低一人と踊る事、それが成績に加点される。
鷺宮は硬派とも言えるのか、ほとんど女性と話さない。
というか、私以外の女性と話しているのを見た事無い。
なので、今回のオリエンテーションが凄く億劫なのが態度に現れている。
唯一話す事の出来る手頃な私でパパっと終わらせようと思っているのだろう。
ゲームでも嫌々ながら愛良の相手をしていた。
蘇芳に相手にされない哀れな婚約者に同情してダンスに誘うのだ。
愛良も嫌々なのが分かって、鷺宮に強く当たる。
愛良とのダンスを終えて、鷺宮は萌香と出会う。
萌香は誰もダンスの相手が居ないから、非常に困っていて、
優しい鷺宮はダンスに誘うのだ。
萌香とダンスを踊る事で先程踊った愛良とは全然違う感情を抱く。
萌香の天真爛漫さがとても新鮮で、少しずつ鷺宮は萌香に惹かれていく。
というのが鷺宮ルートだ。
「西園寺、一曲お願いしたい。」
今回に至っては、私は蘇芳と踊れたので鷺宮は私に同情しなくても、大丈夫なのだが、
鷺宮自身が私以外に躍る人が居ないと、
私の同情を誘う発言をした。
これには蘇芳も容認した。
私は差し出された鷺宮の手を取り断りを入れる。
「鷺宮君の足を踏んでしまったら、ごめんなさい。」
「心配ない。俺は踏まれた位では大したダメージにはならない。」
真面目な顔で言われた。
言いたい事はそうでは無いのだが、本人が大丈夫だと言うのだから良しとしよう。
鷺宮のエスコートで中央へ。
お手本通りのステップを正確に踏む。
鷺宮の性格が如実に物語るダンスだ。
流石体育会系であるので、体幹がしっかりしていて私も安心して踊れた。
「あ!」
「どうした、西園寺。」
忘れてた。鷺宮にハンカチのお礼を持って来たのだった。
私は鷺宮を見る。
「鷺宮君、後でお時間を頂けますか?」
鷺宮も私を見据える。
「いきなり、どうした?」
「この前のハンカチのお礼をお渡ししたくて。」
鷺宮は少し苦笑しながら言う。
「西園寺は真面目だな。本当に気にしなくて良かったのに。」
真面目な鷺宮に言われた。
鷺宮の方が真面目だと思うけど。
私は少しだけ首を横に振る。
「真面目というか私の気持ちの問題です。自己満足なのでしょうが、どうか受け取ってください。」
「分かった。」
「では、このオリエンテーションが終わったら、教室でお待ちしています。」
鷺宮は無言で頷く。
そして、曲が終わり鷺宮とのダンスが終わった。
これで鷺宮の成績も大丈夫だろう。
ホッと一安心したのも束の間。
私は重大な事を思い出した。
萌香だ。
萌香は誰とも踊れていないのではないか?
鷺宮はこれ以上踊るつもりは無いと言っていた。
鷺宮ルートに入らないとなると、
やはり、蘇芳なのだろうか。
辺りを見渡す。
「西園寺、どうした?」
鷺宮が挙動不審になった私に声を掛ける。
「あ、あの萌香は何処に居るのかと思いまして。」
居ない。
何処だろう。
蘇芳と踊っているのだろうか。
胸の鼓動が少しだけ早くなる。
西園寺が私の肩を叩く。
そして私達が数刻まで踊っていた場所を指差す。
「草薙萌香なら、あそこで踊っているぞ。」
ドクリ。
心臓が鷲掴まれたようだ。
ゆっくりと後ろを振り向く。
そこにはにこやかに笑い合いながら踊っている
萌香と東矢の姿があった。
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