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第二章:独裁の予兆!?中央政治局常務委員《フラワーナイン》の選抜
第43話:次期総書記決定!?フーが選ぶ新中央政治局常務委員
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コウの発言で会場は、今日一番ざわついた。
ざわついた理由は、二つある。
ひとつは、ボアの処遇に対してコウが認めた事。
もうひとつは、コウの口から新中央政治局常務委員の総書記になるものとしてシーの名前が出たことだ。
シーが総書記になることは、既定路線ではあるが、それでも公式にも、非公式にも、それが認められてはない。
それが、コウが、シーが正式に総書記に就任する前提で発言したのだ。
この発言で、シーが総書記になることは確定したも同然となった。
しかし、それを、コウが発言したことは、後々遺恨が出るであろう。
本来ならば、フーが自身の後継者としてシーを呼ぶのがスジなのだから。
コウの発言は、まるで今だにコウが、党のトップであるかのようだ。
「……そうですね。ボアを拘束したのはシーですし、シーなら公正な判断ができますでしょう」
フーの発言は会場のざわめきを抑えるためのようであった。
指名されたシーは静かに頷くだけであった。
「それでは、コウ様の言う通り、次の議題にいきましょう。この五年間、我々は中央政治局常務委員として、華の国の難題に懸命に取り組んできました。その間の華の国の発展と国民に貢献できたという自負もあり、喜びもあります。一方で、華の国に突き付けられた難題は、まだたくさんあります。しかし、その難題を解決し、華の国を指導するのは、我々より、若い世代に託さなくてはなりません」
これまでの厳しいフーの口調とはかわって、フーらしい優しく穏やかな声となった。
会場からは、拍手が贈られた。
盛大にしているのはもちろんブルーローズ閥であるが、ハクモクレン閥も一応の拍手は送っている。
もちろん、コウもだ。
「まず、九人でなく元の七人に戻します。この狙いについては、後ほど説明しましょう。まずは、新中央政治局常務委員の中心となる者を紹介します。」
華の国の中央政治局常務委員を九人なら七人にすること。これも、フーの一言でさらりと決まった。
実際には、フー、コウ、両派閥トップの思惑や、シー、オウキによる画策があったのだが。
先程の拍手がなくなり、部屋は静まり返っていた。
皆、フーの口から新中央政治局常務委員のリーダーとなる人物の名前が出るのを待っている。
「新中央政治局常務委員で、総書記を務めるのは、シー・ムセツ、そして、国務院総理を務めるのはリー・テイコウです。二人が中心となって華の国の導いて下さい」
フーの発表と共に、会場は割れんばかりの拍手が起こった。
しかし、その拍手の中にはざわめきも混じっている。
フーは、シーだけでなく、自分に近いリーも同時に紹介した。
しかも、まるで二人は同等のように。
もちろん、中央政治局常務委員内は、平等に一票の決議権を持っているという意味では同等だ。
しかし、それでも、総書記となるシーは序列一位で、リーは序列二位なのだ。
フーは敢えて、リーも並べて紹介したのだ。
先程のコウに対する意趣返しのように。
自身の影響力を誇示したのだ。
シーとリーは二人席から立ち上がり、静かにお辞儀をした。
二人共、フーの発表に動じていない。
シーは相変わらずの無表情で、リーは自信有りげに微笑んでいる。
内心、シーはどう思っているのか。
(いや、あの場に市民服で出てるんだもんな)
シーは気にしていないだろう。
そんな、建前や儀礼よりも、興味あるのは、いかにフーやコウの影響力を削いで、自身が中央政治局常務委員を掌握するかということだけであろう。
「この二人はこれまでも現中央政治局常務委員として、華の国にその身を捧げてきました。皆様に異論はないでしょう。」
フーはシーとリーの新中央政治局常務委員入りの最終決定をするように会場に確認を取った。
また、今度は厳かな承認の拍手が響いた。
「次に、残り五人を私から推薦します」
フーの言葉に再び会場は、静まった。
「チョウファ、オウキ、マーリー、ヨンファ、ハルカ。この五人を推薦します。いずれも優秀で、実績もあり、新中央政治局常務委員に相応しい思力の持ち主です。」
フーの発表とともに会場は、ざわめきが起こった。
ブルーローズ閥からは、一部拍手が起きたが、それを、かき消すような怒号やヤジが会場から起こった。
それもそのはずだ。
マーリーとヨンファは、ブルーローズ閥のホープであり、フーがリーとともに重宝している側近だ。だから、フーが二人を推薦するであろうことは、予測できていた。
その二人をいかに新中央政治局常務委員に入れないか、それがコウとハクモクレン閥の最大の目的であった。
しかし、フーはマーリーとヨンファだけでなく、さらに下の世代のハルカまで新中央政治局常務委員に入れようとしているのだ。
ハルカは、アカリとそう歳は変わらない。
しかし、その優秀さは、伝説級だ。
神童中の神童である。
その才から溢れ出る輝きは、俺が一目見たくらいでも分かるのだ。
支配者クラスの思力の持ち主から見たら、ハルカの思力の潜在力は一目瞭然だろう。
そして、年齢から言って、シーの次の総書記候補であった。
つまり、リーが総書記になれなかった今、フーにとって、真の後継者である。
五年後は、間違いなく中央政治局常務委員に入ってる。
しかし、まだ、十四にも満たない年齢だ。
もしこのまま、新中央政治局常務委員に選ばれれば、シーとリーを抜かし、歴代最速のメンバー入りとなる。
そんなハルカの新中央政治局常務委員入りは、コウにとっては、マーリーとヨンファ以上に、選抜を許せないだろう。
会場の意見を代表するかのように、コウが、口火を切った。
「ハルカは、若すぎるんじゃない?シーやリーのように経験を積ませたいなら、五年後でいいでしょ」
すでにコウは苛立ちを隠していない。
苛立つと声が甘く妖艶になるのも不思議なものだが。
それのコウの意見を受け、フーは、珍しく、不敵な笑みを浮かべた。
ざわついた理由は、二つある。
ひとつは、ボアの処遇に対してコウが認めた事。
もうひとつは、コウの口から新中央政治局常務委員の総書記になるものとしてシーの名前が出たことだ。
シーが総書記になることは、既定路線ではあるが、それでも公式にも、非公式にも、それが認められてはない。
それが、コウが、シーが正式に総書記に就任する前提で発言したのだ。
この発言で、シーが総書記になることは確定したも同然となった。
しかし、それを、コウが発言したことは、後々遺恨が出るであろう。
本来ならば、フーが自身の後継者としてシーを呼ぶのがスジなのだから。
コウの発言は、まるで今だにコウが、党のトップであるかのようだ。
「……そうですね。ボアを拘束したのはシーですし、シーなら公正な判断ができますでしょう」
フーの発言は会場のざわめきを抑えるためのようであった。
指名されたシーは静かに頷くだけであった。
「それでは、コウ様の言う通り、次の議題にいきましょう。この五年間、我々は中央政治局常務委員として、華の国の難題に懸命に取り組んできました。その間の華の国の発展と国民に貢献できたという自負もあり、喜びもあります。一方で、華の国に突き付けられた難題は、まだたくさんあります。しかし、その難題を解決し、華の国を指導するのは、我々より、若い世代に託さなくてはなりません」
これまでの厳しいフーの口調とはかわって、フーらしい優しく穏やかな声となった。
会場からは、拍手が贈られた。
盛大にしているのはもちろんブルーローズ閥であるが、ハクモクレン閥も一応の拍手は送っている。
もちろん、コウもだ。
「まず、九人でなく元の七人に戻します。この狙いについては、後ほど説明しましょう。まずは、新中央政治局常務委員の中心となる者を紹介します。」
華の国の中央政治局常務委員を九人なら七人にすること。これも、フーの一言でさらりと決まった。
実際には、フー、コウ、両派閥トップの思惑や、シー、オウキによる画策があったのだが。
先程の拍手がなくなり、部屋は静まり返っていた。
皆、フーの口から新中央政治局常務委員のリーダーとなる人物の名前が出るのを待っている。
「新中央政治局常務委員で、総書記を務めるのは、シー・ムセツ、そして、国務院総理を務めるのはリー・テイコウです。二人が中心となって華の国の導いて下さい」
フーの発表と共に、会場は割れんばかりの拍手が起こった。
しかし、その拍手の中にはざわめきも混じっている。
フーは、シーだけでなく、自分に近いリーも同時に紹介した。
しかも、まるで二人は同等のように。
もちろん、中央政治局常務委員内は、平等に一票の決議権を持っているという意味では同等だ。
しかし、それでも、総書記となるシーは序列一位で、リーは序列二位なのだ。
フーは敢えて、リーも並べて紹介したのだ。
先程のコウに対する意趣返しのように。
自身の影響力を誇示したのだ。
シーとリーは二人席から立ち上がり、静かにお辞儀をした。
二人共、フーの発表に動じていない。
シーは相変わらずの無表情で、リーは自信有りげに微笑んでいる。
内心、シーはどう思っているのか。
(いや、あの場に市民服で出てるんだもんな)
シーは気にしていないだろう。
そんな、建前や儀礼よりも、興味あるのは、いかにフーやコウの影響力を削いで、自身が中央政治局常務委員を掌握するかということだけであろう。
「この二人はこれまでも現中央政治局常務委員として、華の国にその身を捧げてきました。皆様に異論はないでしょう。」
フーはシーとリーの新中央政治局常務委員入りの最終決定をするように会場に確認を取った。
また、今度は厳かな承認の拍手が響いた。
「次に、残り五人を私から推薦します」
フーの言葉に再び会場は、静まった。
「チョウファ、オウキ、マーリー、ヨンファ、ハルカ。この五人を推薦します。いずれも優秀で、実績もあり、新中央政治局常務委員に相応しい思力の持ち主です。」
フーの発表とともに会場は、ざわめきが起こった。
ブルーローズ閥からは、一部拍手が起きたが、それを、かき消すような怒号やヤジが会場から起こった。
それもそのはずだ。
マーリーとヨンファは、ブルーローズ閥のホープであり、フーがリーとともに重宝している側近だ。だから、フーが二人を推薦するであろうことは、予測できていた。
その二人をいかに新中央政治局常務委員に入れないか、それがコウとハクモクレン閥の最大の目的であった。
しかし、フーはマーリーとヨンファだけでなく、さらに下の世代のハルカまで新中央政治局常務委員に入れようとしているのだ。
ハルカは、アカリとそう歳は変わらない。
しかし、その優秀さは、伝説級だ。
神童中の神童である。
その才から溢れ出る輝きは、俺が一目見たくらいでも分かるのだ。
支配者クラスの思力の持ち主から見たら、ハルカの思力の潜在力は一目瞭然だろう。
そして、年齢から言って、シーの次の総書記候補であった。
つまり、リーが総書記になれなかった今、フーにとって、真の後継者である。
五年後は、間違いなく中央政治局常務委員に入ってる。
しかし、まだ、十四にも満たない年齢だ。
もしこのまま、新中央政治局常務委員に選ばれれば、シーとリーを抜かし、歴代最速のメンバー入りとなる。
そんなハルカの新中央政治局常務委員入りは、コウにとっては、マーリーとヨンファ以上に、選抜を許せないだろう。
会場の意見を代表するかのように、コウが、口火を切った。
「ハルカは、若すぎるんじゃない?シーやリーのように経験を積ませたいなら、五年後でいいでしょ」
すでにコウは苛立ちを隠していない。
苛立つと声が甘く妖艶になるのも不思議なものだが。
それのコウの意見を受け、フーは、珍しく、不敵な笑みを浮かべた。
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