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第二章:独裁の予兆!?中央政治局常務委員《フラワーナイン》の選抜
第27話:シーのお姉さん!?次期弁公庁主任マロン
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「コクシュウ省から来たマロン・バトルレターです。田舎から出てきたので分からないことだらけなの。よろしくね。ルーくん」
「は、はい。お力になれることがありましたら、なんなりとご指示下さい。」
「そんなに固くならなくていいのよ。急にシーから中央に呼び出されて、中央弁公庁に就くことになったけど、田舎の一介の党員よ。ルーくんもツバキ市郊外の田舎出身って聞いてるから、同じ田舎者同士よろしくね」
「は、はい。よ、よろしくお願いします!」
マロンと名乗った女性はこんな感じで党員でもない男の俺にも気さくに挨拶をくれた。
マロン・バトルレターは、発展の遅れてるまさに田舎であるコクシュウ省の常務委員主任をこれまで努めていた。
中央政治局委員どころか、その下部の中央委員でもない。本当に田舎の叩き上げの党員だ。
そんな彼女は、中央弁公庁の副主任に抜擢され、レイの後継として主任になることも規定路線となっている。
(ば、バブい。バブ過ぎますよ、マロンさん)
マロンの挨拶に俺は一瞬にして心をつかまれた。
それは気さくに挨拶してくれたというのもあるが、雰囲気が中央にいる者とは明らかに違うのだ。
マロンは転生前の日本の基準だとまさにお母さんというような雰囲気だ。
そんな女性はこちらでは滅多にいない。
圧倒的女性優位社会のこの世界では、そもそも母親の役割が違うのだ。
女性も母親も、男が甘える対象ではない。
そんなバブ味が過ぎる雰囲気をマロンは何故か持っていた。
もちろん、田舎とはいえ、トップ層にいたのだ。例外なく美しい外見だが、それに加えて中央にはいない柔らかい雰囲気をもっている。
そして、そのプロポーション。
(オウキさんが突っかかるだろうな)
ボディラインが目立たない人民服を着てるのに、その圧倒的な肉感。
(……うずくまりたい……、いやいや、俺はそんなバブ属性なかったぞ)
頭に過る妄想を俺は跳ね除けた。
とはいえ、俺がそんな妄想をしてしまうくらいマロンは魅力的であるが、一方で党の支配者層レベルの力は持っていないということだ。
本当にその実力があるなら、俺が感じるのは魅力でなく恐怖だからだ。
「シー……様と呼ばなくてはね」
「やめてくれ、マロン姉さん。これまで通りシーでいい。私もこれまで通り姉さんと呼ばせてもらう」
「そう。そういうところ、変わってなくて安心したわ。こういうところも変わってないし」
マロンはそう言って徐ろにシーのデスクの引き出しをひとつ開けた。
その引き出しの中は、書類やなんやがぐちゃぐちゃに詰め込まれていた。
シーは基本ズボラなのだ。
執務室も気を抜くとすぐ乱雑になる。
たまに俺が整理するが、党の重要機密があるかもしれないデスクはさすがに俺では整理出来無い。
たまにアカリが片付けに駆り出されているが、
今回、マロンが来るということで、シーは慌てて片付けをしていた。
「い、いや、これは……姉さん……。」
言い訳を言おうとするシーに、マロンは、小言の説教をし始めた。
シーは怒られている子供のようにそれを黙ってきいている。
た
(マロンさんはシー様にとって母親のようなのだな)
この数分でシーとマロンの関係が分かった。
マロンはシーが地方幹部時代の旧友とは聞いていが、幼いシーにとってはマロンは頼れる先輩、姉さんだったのだろう。
「で、シー。私を中央に呼んでも、権力争いには役に立たないわよ」
突如マロンがそれまでとは全く違う真剣味が込められた口調になった。
それまで漂っていたお互いを懐かしむ温かな雰囲気が霧散し、ピリついた空気感に変わった。
「ああ、分かってる。それは私の戦いだ。姉さんに助けてもらいたいのは、私が党を掌握してからだ」
答えるシーの双眸は一段深く闇に沈んだようであった。
それは覚悟を示すときのシーの眼差しだ。
「……………………」
マロンはその眼差しを静かに見つめたと、ふっと一息吐いた。
「そう、分かってるのね。なら私は私の出来ることをしましょう。まぁ、党内の実務なんて貴女の引き出しの中を片付ける事に比べれば簡単でしょう」
そう言って、マロンは掃除に取り掛かろうとした。
「ま、待ってくれ。姉さん。フー様に挨拶はしたのか?」
シーのデスクを掃除しようとしたマロンをシーは慌てて止めた。
そんなシーをマロンは驚いたように見つめた。
「まぁ、いつまでも昔のシーと言うわけではないのね。そんな事を気にするなんて」
「さすがに私も昔のままではないさ」
「そう。それは少し残念かもね。でも安心して。ちゃんとフー様には最初に挨拶したわ」
「そ、そうか」
「フー様には感謝しないと。私を呼んでくれたのですもの。例え裏でシーが手を回していたとしても」
「いや、私は推薦しただけさ。そもそも、姉さんのような人が地方で燻ってたのがおかしいのだ」
「あら、私は別に燻ってはいなかったわ。地方は地方で面白いのよ」
「あ、すまない、そういう意味では……」
「いいのよ、でも、この国に本当は中央も地方も都会も田舎もない。全ては民衆のためよ」
「……もちろんだ。そのために私は腐敗した連中と闘うのだから」
「ふふ、そういう信念は幼い頃と変わらないわね。期待しているわ」
最終的にマロンはシーに微笑みかけた。
マロンと話すシーは俺がこれまで見たシーとは違い、まるで母親や歳の離れた姉に対する子供のようだった。
(シー様を補佐する秘書たちを統括するのがマロンさんになるのか……)
前任者はその仕事ぶりから精密機器《ザ・ウォッチ》と呼ばれていたが、そマロンは人間味溢れていて、正反対だ。
シーには味方がいない
オウキは、そう俺に告げた。確かに自分で言うようにマロンは闘いには向かないのだろう。
でも心強い味方だ。
シーにそんな味方がいることに何故か俺は嬉しさを感じでしまった。
「は、はい。お力になれることがありましたら、なんなりとご指示下さい。」
「そんなに固くならなくていいのよ。急にシーから中央に呼び出されて、中央弁公庁に就くことになったけど、田舎の一介の党員よ。ルーくんもツバキ市郊外の田舎出身って聞いてるから、同じ田舎者同士よろしくね」
「は、はい。よ、よろしくお願いします!」
マロンと名乗った女性はこんな感じで党員でもない男の俺にも気さくに挨拶をくれた。
マロン・バトルレターは、発展の遅れてるまさに田舎であるコクシュウ省の常務委員主任をこれまで努めていた。
中央政治局委員どころか、その下部の中央委員でもない。本当に田舎の叩き上げの党員だ。
そんな彼女は、中央弁公庁の副主任に抜擢され、レイの後継として主任になることも規定路線となっている。
(ば、バブい。バブ過ぎますよ、マロンさん)
マロンの挨拶に俺は一瞬にして心をつかまれた。
それは気さくに挨拶してくれたというのもあるが、雰囲気が中央にいる者とは明らかに違うのだ。
マロンは転生前の日本の基準だとまさにお母さんというような雰囲気だ。
そんな女性はこちらでは滅多にいない。
圧倒的女性優位社会のこの世界では、そもそも母親の役割が違うのだ。
女性も母親も、男が甘える対象ではない。
そんなバブ味が過ぎる雰囲気をマロンは何故か持っていた。
もちろん、田舎とはいえ、トップ層にいたのだ。例外なく美しい外見だが、それに加えて中央にはいない柔らかい雰囲気をもっている。
そして、そのプロポーション。
(オウキさんが突っかかるだろうな)
ボディラインが目立たない人民服を着てるのに、その圧倒的な肉感。
(……うずくまりたい……、いやいや、俺はそんなバブ属性なかったぞ)
頭に過る妄想を俺は跳ね除けた。
とはいえ、俺がそんな妄想をしてしまうくらいマロンは魅力的であるが、一方で党の支配者層レベルの力は持っていないということだ。
本当にその実力があるなら、俺が感じるのは魅力でなく恐怖だからだ。
「シー……様と呼ばなくてはね」
「やめてくれ、マロン姉さん。これまで通りシーでいい。私もこれまで通り姉さんと呼ばせてもらう」
「そう。そういうところ、変わってなくて安心したわ。こういうところも変わってないし」
マロンはそう言って徐ろにシーのデスクの引き出しをひとつ開けた。
その引き出しの中は、書類やなんやがぐちゃぐちゃに詰め込まれていた。
シーは基本ズボラなのだ。
執務室も気を抜くとすぐ乱雑になる。
たまに俺が整理するが、党の重要機密があるかもしれないデスクはさすがに俺では整理出来無い。
たまにアカリが片付けに駆り出されているが、
今回、マロンが来るということで、シーは慌てて片付けをしていた。
「い、いや、これは……姉さん……。」
言い訳を言おうとするシーに、マロンは、小言の説教をし始めた。
シーは怒られている子供のようにそれを黙ってきいている。
た
(マロンさんはシー様にとって母親のようなのだな)
この数分でシーとマロンの関係が分かった。
マロンはシーが地方幹部時代の旧友とは聞いていが、幼いシーにとってはマロンは頼れる先輩、姉さんだったのだろう。
「で、シー。私を中央に呼んでも、権力争いには役に立たないわよ」
突如マロンがそれまでとは全く違う真剣味が込められた口調になった。
それまで漂っていたお互いを懐かしむ温かな雰囲気が霧散し、ピリついた空気感に変わった。
「ああ、分かってる。それは私の戦いだ。姉さんに助けてもらいたいのは、私が党を掌握してからだ」
答えるシーの双眸は一段深く闇に沈んだようであった。
それは覚悟を示すときのシーの眼差しだ。
「……………………」
マロンはその眼差しを静かに見つめたと、ふっと一息吐いた。
「そう、分かってるのね。なら私は私の出来ることをしましょう。まぁ、党内の実務なんて貴女の引き出しの中を片付ける事に比べれば簡単でしょう」
そう言って、マロンは掃除に取り掛かろうとした。
「ま、待ってくれ。姉さん。フー様に挨拶はしたのか?」
シーのデスクを掃除しようとしたマロンをシーは慌てて止めた。
そんなシーをマロンは驚いたように見つめた。
「まぁ、いつまでも昔のシーと言うわけではないのね。そんな事を気にするなんて」
「さすがに私も昔のままではないさ」
「そう。それは少し残念かもね。でも安心して。ちゃんとフー様には最初に挨拶したわ」
「そ、そうか」
「フー様には感謝しないと。私を呼んでくれたのですもの。例え裏でシーが手を回していたとしても」
「いや、私は推薦しただけさ。そもそも、姉さんのような人が地方で燻ってたのがおかしいのだ」
「あら、私は別に燻ってはいなかったわ。地方は地方で面白いのよ」
「あ、すまない、そういう意味では……」
「いいのよ、でも、この国に本当は中央も地方も都会も田舎もない。全ては民衆のためよ」
「……もちろんだ。そのために私は腐敗した連中と闘うのだから」
「ふふ、そういう信念は幼い頃と変わらないわね。期待しているわ」
最終的にマロンはシーに微笑みかけた。
マロンと話すシーは俺がこれまで見たシーとは違い、まるで母親や歳の離れた姉に対する子供のようだった。
(シー様を補佐する秘書たちを統括するのがマロンさんになるのか……)
前任者はその仕事ぶりから精密機器《ザ・ウォッチ》と呼ばれていたが、そマロンは人間味溢れていて、正反対だ。
シーには味方がいない
オウキは、そう俺に告げた。確かに自分で言うようにマロンは闘いには向かないのだろう。
でも心強い味方だ。
シーにそんな味方がいることに何故か俺は嬉しさを感じでしまった。
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