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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第39話:余裕の記者会見!? オウ亡命未遂事件の顛末
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「もちろん、私の監督不行き届きだ。ツバキで起きた問題はすべて私に責任はある。ただ、どの地方でも個別の問題や突発事件は起きるものですよ」
数十名の記者とカメラを向かいにして、ボアは、そう話した。
その表情は、いつものキラキラとした笑顔で、あれだけの事件が起こったにも関わらず、余裕の態度だ。
いや、そう演じているのだろう。それがボアという政治家なのだ。
オウが合星国に亡命のため、総領事館に駆け込んでから一ヶ月たった。
俺は今、代表大会後で開かれたツバキ市の分科会の記者会見場で警備員として、ボアが記者会見をしている様子を眺めている。
この記者会見は、今回の代表大会の中で、最も注目を集めている会見だろう。
本会議よりもだ。記者は、華の国だけでなく、世界中から集まっている。合星国、英聖国をはじめとした環星連合、日ノ本など華の国近隣諸国からなどなど。
ボアがオウの事件をどのように語るのか。世界中が注目していると言って過言ではない。
オウの合星国総領事館に駆け込み事件は華の国をひっくり返したような大騒ぎとなった。
オウが駆け込んだ次の日、総領事館をツバキ市の武装警官が取り囲んだ。
フヨウ市でなく、ツバキ市の武装警官が取り囲んだことで市民にも何か異様な事が起こっているというのは伝わった。
しかも、ツバキ市の武装警官を率いているのが、ツバキ市市長であったから、なおさらだ。
ボアが差し向けたに間違いない。
ツバキ市の武装警官隊は、今にも総領事館に押し入りそうなくらい殺気立っていた。
しかし、そんなことが起これば、それこそ外交問題だ。
明らかな国際法違反であるし、場合によっては宣戦布告とも見なされる。
そんなツバキ市武装警官を抑えるため、今度はフヨウ市の公安が集結した。
フヨウ市の公安とツバキ市の武装警官のにらみ合いは、怒号が荒れ狂い、一触即発の状態で、いつ争いが起こってもおかしくなかった。
当然マスコミと野次馬も多くの集まり、その異様な様子は、ネット空間で拡散していった。
党の統制か、マスコミは来たがその日はニュースにはならなかった。
「何が起こったのか」、
から、
「どうやら要人が合星国に亡命しようとしたらしい」、
「その要人とはツバキ市のナンバー2であるオウではないか」、
と噂が核心に迫るのにそう時間はかからなかった。
テイがうまく現実とネット上で情報コントロールをしたのだろう。
さらに、ツバキ市の武装警官が来たこと、数日前にオウがツバキ市公安トップを解任されていることという事実から、容易に推定もできた。
結局、合星国は、オウの亡命申請を拒否した。
そして、オウは合星国には亡命できず、中央から派遣された国家安全省に引き渡された。
計画では、ボアの不正を示す証拠だけが中央に渡り、オウ自身は亡命する予定であった。
しかし、華の国と事を荒立てたくない合星国大使と政府は、オウの身柄もあっさり党に引き渡してしまった。
いや、オウの思力なら、合星国総領事館内の要人を支配して無理やり亡命することもできたはずだ。
オウは、敢えて党に拘束されたのだ。ボアの不正を暴く証人になるために。
合星国のビーチリゾートなんて言っていたが、オウにそんな生き方はできなかったのであろう。最後まで、その身を犠牲にしてまで、ボアという不正と戦うことを選んだのだ。
「フー総書記は、貴女がツバキ市の書記長になってから一度もツバキ市に訪れた事はないですよね?」
会場ではボアの会見が続いていた。
日ノ本の記者であろうか。司会からマイクを奪うようにして質問をぶつけていた。
「フー同志はツバキ市の発展ぶりをよく知っている。私は近い将来、フー同志がツバキ市に来ることを固く信じている」
ボアは、より、満面の笑みを浮かべて甲高く笑いながらそう答えていた。
日ノ本の記者の質問はある意味核心をつくものであった。
中央政治局常務委員序列一位、現党首であるフー総書記は、ボアのフラワーナイン入りを最も反対しており、ボアにとっては中央政治局常務委員入りするための最も邪魔な障壁だ。
そのフーの名前が出たのがボアには気に障ったのだろう。明らかにボアのテンションは一段上がっていた。
(笑っていられるのも今のうちだ)
俺は壇上のボアを密かに睨みながら、これからシーとともに対決する覚悟を改めて決めた。
ボアの会見が終了したようだ。
俺は会場警備員として、これからボアをシーの待つ部屋に案内する。
すでにボアには会見後、シーとの面会を伝えてある。
表向きは、ボア自身がオウの事件の釈明を中央政治局常務委員にするためだと言うことになっている。
ただ、ボアも分かっているであろう。
そこがただ、釈明する場ではないことに。
この世界は、思力の強さが一番に優先される。どんなに不正の証拠があろうとも、思力の対決で覆ってしまう。
だから、支配者クラスは、支配者クラス同士の対決によって処遇が決まる。
シーとボア、その対決は刻々と迫っている。
数十名の記者とカメラを向かいにして、ボアは、そう話した。
その表情は、いつものキラキラとした笑顔で、あれだけの事件が起こったにも関わらず、余裕の態度だ。
いや、そう演じているのだろう。それがボアという政治家なのだ。
オウが合星国に亡命のため、総領事館に駆け込んでから一ヶ月たった。
俺は今、代表大会後で開かれたツバキ市の分科会の記者会見場で警備員として、ボアが記者会見をしている様子を眺めている。
この記者会見は、今回の代表大会の中で、最も注目を集めている会見だろう。
本会議よりもだ。記者は、華の国だけでなく、世界中から集まっている。合星国、英聖国をはじめとした環星連合、日ノ本など華の国近隣諸国からなどなど。
ボアがオウの事件をどのように語るのか。世界中が注目していると言って過言ではない。
オウの合星国総領事館に駆け込み事件は華の国をひっくり返したような大騒ぎとなった。
オウが駆け込んだ次の日、総領事館をツバキ市の武装警官が取り囲んだ。
フヨウ市でなく、ツバキ市の武装警官が取り囲んだことで市民にも何か異様な事が起こっているというのは伝わった。
しかも、ツバキ市の武装警官を率いているのが、ツバキ市市長であったから、なおさらだ。
ボアが差し向けたに間違いない。
ツバキ市の武装警官隊は、今にも総領事館に押し入りそうなくらい殺気立っていた。
しかし、そんなことが起これば、それこそ外交問題だ。
明らかな国際法違反であるし、場合によっては宣戦布告とも見なされる。
そんなツバキ市武装警官を抑えるため、今度はフヨウ市の公安が集結した。
フヨウ市の公安とツバキ市の武装警官のにらみ合いは、怒号が荒れ狂い、一触即発の状態で、いつ争いが起こってもおかしくなかった。
当然マスコミと野次馬も多くの集まり、その異様な様子は、ネット空間で拡散していった。
党の統制か、マスコミは来たがその日はニュースにはならなかった。
「何が起こったのか」、
から、
「どうやら要人が合星国に亡命しようとしたらしい」、
「その要人とはツバキ市のナンバー2であるオウではないか」、
と噂が核心に迫るのにそう時間はかからなかった。
テイがうまく現実とネット上で情報コントロールをしたのだろう。
さらに、ツバキ市の武装警官が来たこと、数日前にオウがツバキ市公安トップを解任されていることという事実から、容易に推定もできた。
結局、合星国は、オウの亡命申請を拒否した。
そして、オウは合星国には亡命できず、中央から派遣された国家安全省に引き渡された。
計画では、ボアの不正を示す証拠だけが中央に渡り、オウ自身は亡命する予定であった。
しかし、華の国と事を荒立てたくない合星国大使と政府は、オウの身柄もあっさり党に引き渡してしまった。
いや、オウの思力なら、合星国総領事館内の要人を支配して無理やり亡命することもできたはずだ。
オウは、敢えて党に拘束されたのだ。ボアの不正を暴く証人になるために。
合星国のビーチリゾートなんて言っていたが、オウにそんな生き方はできなかったのであろう。最後まで、その身を犠牲にしてまで、ボアという不正と戦うことを選んだのだ。
「フー総書記は、貴女がツバキ市の書記長になってから一度もツバキ市に訪れた事はないですよね?」
会場ではボアの会見が続いていた。
日ノ本の記者であろうか。司会からマイクを奪うようにして質問をぶつけていた。
「フー同志はツバキ市の発展ぶりをよく知っている。私は近い将来、フー同志がツバキ市に来ることを固く信じている」
ボアは、より、満面の笑みを浮かべて甲高く笑いながらそう答えていた。
日ノ本の記者の質問はある意味核心をつくものであった。
中央政治局常務委員序列一位、現党首であるフー総書記は、ボアのフラワーナイン入りを最も反対しており、ボアにとっては中央政治局常務委員入りするための最も邪魔な障壁だ。
そのフーの名前が出たのがボアには気に障ったのだろう。明らかにボアのテンションは一段上がっていた。
(笑っていられるのも今のうちだ)
俺は壇上のボアを密かに睨みながら、これからシーとともに対決する覚悟を改めて決めた。
ボアの会見が終了したようだ。
俺は会場警備員として、これからボアをシーの待つ部屋に案内する。
すでにボアには会見後、シーとの面会を伝えてある。
表向きは、ボア自身がオウの事件の釈明を中央政治局常務委員にするためだと言うことになっている。
ただ、ボアも分かっているであろう。
そこがただ、釈明する場ではないことに。
この世界は、思力の強さが一番に優先される。どんなに不正の証拠があろうとも、思力の対決で覆ってしまう。
だから、支配者クラスは、支配者クラス同士の対決によって処遇が決まる。
シーとボア、その対決は刻々と迫っている。
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