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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第27話:光龍一撃!?人知を越えた力
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格闘家達が、ビルの高層階めがけて駆け上がっていた。
金融城は、ガラス張りのビルだ。
足場になるようなとっかかりなどほとんどないにも関わらず、どのメンバーも、難なく駆け上がっていく。
その先には、とても現実とは思えない巨体の思獣が縄状の炎でビルに張り付けになっている。
(オウ様の思力はあんな風にも使えるのか)
四階層にまたがる巨体を完全にビルに張り付けにして、動きを止めている。
思獣は、見た目は化け物だが、人間だ。
そして、人間には思力が通じる。
オウの思力が思獣の動きを封じているのだ。
だから、そこに物理的な作用はない。
あんな巨体を全面ガラス張りのビルに張り付けにしているのだ。ガラスは割れてもおかしくないが、まったくビルにダメージはない。
(でも……、ここからか……)
格闘家のメンバーが協力しながら、ワイヤーやネットを思獣に巻き付けている。
ただ、ワイヤーやネットで思獣の動きを封じるためにはビルを利用するしかない。
いくつかのガラスが割られ、そこからワイヤーが伸びている。
武装警官が、ガラスを割って中に入っていたのだろう。思獣の動きを封じているワイヤーをビルに結ぶために。
どのくらいあの思獣にパワーがあるか。それがこの作戦の命運を決める。
今は、思力で封じている。
ビルに張り付けにされているように見えるが、実際は思力が動きを封じているのだ。だから、ビルに負荷はかかっていない。
しかし、ワイヤーとネットは物理的な拘束だ。その拘束にビルを利用せざるを得ないが、その負担にビルが耐えられるか。
『ボガーメァーユニザーネグォ!!』
突如、思獣が雄叫びとも取れる声をあげた。
その声だけで、心が深く濁ってしまうような陰鬱で不快な雄叫びだ。
思獣が雄叫びをあげれたのは、オウが1つ拘束を解いたからだ。
『ボアー!!ユヌサネー!!』
さらに雄叫びをあげるが、支配者のメンバーが各々のスタイルで思獣に攻撃を加えた。
その反動で思獣は頭を振ろうともがいたが、拘束するワイヤーがそれを防ぐ。
(ビルへの負荷は大丈夫そうだ)
しかし、支配者の攻撃を食らっても思獣に変化はないように見える。
(やはり、オウ様クラスでないとこの規模の思獣には効かないのか!?)
支配者の先輩達の力も相当高い。
しかし、その攻撃を食らっても思獣を雄叫びをあげるくらいであった。
もしかすると、オウの思力でさえ通じない可能性もある。
(そんなことになったら、この思獣は、制圧できないのでは!?)
本当なら、オウが思獣を抑えている状態で、思獣を制圧したかったはずだ。
しかし、支配者の先輩達の力では通じそうもない。
バリバリバリバリバリバリ
思獣が抑えられているビルのガラスが突如割れ始めた。
オウが拘束している思力を少しずつ解いているのだ。
思力でなく物理的な拘束だけになるからか、ビルにダメージが現れ始めている。
『ヌユザナイグォー!ボアーー!!』
また思獣が雄叫びをあげた。
そして、これまで完全に動きを止められていたが、それを解くように頭を動かした。
思獣は、まるで行く先が決まっているかのように、ビルから離れようともがいている。
その思獣が睨む先、その方向には、長河を挟んで、ツバキ市の市庁舎がある。
『ボアーー!!ユヌサナイゾ!』
(やっぱり!!聞き間違いじゃない……)
思獣の咆哮は、獣が出す雄叫びであり、人間の叫びとは似ても似つかないがそれでも……、
――ボア。許さない。
と聞こえる。
ボアは、当然このツバキ市の支配者であるボアのことだろう。
そして、思獣が睨んでいる先は市庁舎だ。
(ボアとこの思獣に何か関係があるのか)
ボアは、その力で、多くの人を破滅に追いやっている。
もしかしたら、そのような人の一人が思獣化したのかもしれない。
バリーン!!
一段ビルのガラスが壊れる大きな音がした。
オウが完全に拘束を解いたのだ。
次の瞬間、もがく思獣は、拘束を逃れようとビルから、離れ始めた。
格闘家のメンバーは必死に拘束を維持しようとしているが、思獣に引っ張られている。
ビル全体が歪んだのか、ビルのガラスが上層から次々と割れ始めた。
(……す、すごい……)
その時、思獣にも引けをとらない巨体な紅い炎虎がビルの屋上に出現した!!。
オウが解き放った思力だ。
その光景は神話に出てくる幻獣同士の戦いのようであった。
紅く輝くその巨虎の神々しさと、黒い思獣の禍々しさのコントラストは、いつ自分の身が危険になるかわからない状況を忘れさせるほど目を奪うものであった。
炎虎が、思獣の首元に噛みついた。
(オウ様の思力は、あの思獣を倒せるのか!?)
しかし、期待に反して思獣はまだ思獣のままもがいている。
そのうちに入ったビル上層、思獣を拘束している部分がひしゃげ始めた。
(こ、このままだと、一気にビルが、ほ、崩壊する!?)
ビルの支柱が、ひしゃげた上層の重さに耐えれなくなると、ビルは完全に崩壊してしまう。
あとどのくらいビルは、もつのか……。
そんなことが頭をかすめた時、事態は急展開した。
そこから先は一瞬の出来事であった。
思獣に噛みついた炎虎は、思獣をビルから離なすようにぶっ飛ばした。
おそらく、拘束を解くようオウから指示があったのだろう。
空中へ投げ出された思獣にさらに炎虎が体当たりをした。
金融城の前を流れる長河まで飛ばすつもりなのだ。
ビルがもたないと判断してのことだろう。
空中でさらに飛ばされた思獣は長河に向かって放物線を描いた。
そこで辺りが夜のように、暗くなった。
そして、ビルとは本体の方向から光が一筋走った。
(な!?龍?いや雷?)
突如現れたその光龍は、思獣を貫きそのまま天まで登っていった。
龍が去ると辺りは元の明るさに戻った。
そして、思獣は、川面に向かって落ちながら徐々にその大きさが縮んでいった。
水面に落ちる頃には、この場所から確認できないくらいになった。
おそらく思獣化が解けて人間に戻ったのだろう。
あっという間の出来事で、頭の整理が追い付かないまま俺は、その場で呆けていた……。
気付くと武装警官のメンバーが俺に声をかけていた。
金融城は、ガラス張りのビルだ。
足場になるようなとっかかりなどほとんどないにも関わらず、どのメンバーも、難なく駆け上がっていく。
その先には、とても現実とは思えない巨体の思獣が縄状の炎でビルに張り付けになっている。
(オウ様の思力はあんな風にも使えるのか)
四階層にまたがる巨体を完全にビルに張り付けにして、動きを止めている。
思獣は、見た目は化け物だが、人間だ。
そして、人間には思力が通じる。
オウの思力が思獣の動きを封じているのだ。
だから、そこに物理的な作用はない。
あんな巨体を全面ガラス張りのビルに張り付けにしているのだ。ガラスは割れてもおかしくないが、まったくビルにダメージはない。
(でも……、ここからか……)
格闘家のメンバーが協力しながら、ワイヤーやネットを思獣に巻き付けている。
ただ、ワイヤーやネットで思獣の動きを封じるためにはビルを利用するしかない。
いくつかのガラスが割られ、そこからワイヤーが伸びている。
武装警官が、ガラスを割って中に入っていたのだろう。思獣の動きを封じているワイヤーをビルに結ぶために。
どのくらいあの思獣にパワーがあるか。それがこの作戦の命運を決める。
今は、思力で封じている。
ビルに張り付けにされているように見えるが、実際は思力が動きを封じているのだ。だから、ビルに負荷はかかっていない。
しかし、ワイヤーとネットは物理的な拘束だ。その拘束にビルを利用せざるを得ないが、その負担にビルが耐えられるか。
『ボガーメァーユニザーネグォ!!』
突如、思獣が雄叫びとも取れる声をあげた。
その声だけで、心が深く濁ってしまうような陰鬱で不快な雄叫びだ。
思獣が雄叫びをあげれたのは、オウが1つ拘束を解いたからだ。
『ボアー!!ユヌサネー!!』
さらに雄叫びをあげるが、支配者のメンバーが各々のスタイルで思獣に攻撃を加えた。
その反動で思獣は頭を振ろうともがいたが、拘束するワイヤーがそれを防ぐ。
(ビルへの負荷は大丈夫そうだ)
しかし、支配者の攻撃を食らっても思獣に変化はないように見える。
(やはり、オウ様クラスでないとこの規模の思獣には効かないのか!?)
支配者の先輩達の力も相当高い。
しかし、その攻撃を食らっても思獣を雄叫びをあげるくらいであった。
もしかすると、オウの思力でさえ通じない可能性もある。
(そんなことになったら、この思獣は、制圧できないのでは!?)
本当なら、オウが思獣を抑えている状態で、思獣を制圧したかったはずだ。
しかし、支配者の先輩達の力では通じそうもない。
バリバリバリバリバリバリ
思獣が抑えられているビルのガラスが突如割れ始めた。
オウが拘束している思力を少しずつ解いているのだ。
思力でなく物理的な拘束だけになるからか、ビルにダメージが現れ始めている。
『ヌユザナイグォー!ボアーー!!』
また思獣が雄叫びをあげた。
そして、これまで完全に動きを止められていたが、それを解くように頭を動かした。
思獣は、まるで行く先が決まっているかのように、ビルから離れようともがいている。
その思獣が睨む先、その方向には、長河を挟んで、ツバキ市の市庁舎がある。
『ボアーー!!ユヌサナイゾ!』
(やっぱり!!聞き間違いじゃない……)
思獣の咆哮は、獣が出す雄叫びであり、人間の叫びとは似ても似つかないがそれでも……、
――ボア。許さない。
と聞こえる。
ボアは、当然このツバキ市の支配者であるボアのことだろう。
そして、思獣が睨んでいる先は市庁舎だ。
(ボアとこの思獣に何か関係があるのか)
ボアは、その力で、多くの人を破滅に追いやっている。
もしかしたら、そのような人の一人が思獣化したのかもしれない。
バリーン!!
一段ビルのガラスが壊れる大きな音がした。
オウが完全に拘束を解いたのだ。
次の瞬間、もがく思獣は、拘束を逃れようとビルから、離れ始めた。
格闘家のメンバーは必死に拘束を維持しようとしているが、思獣に引っ張られている。
ビル全体が歪んだのか、ビルのガラスが上層から次々と割れ始めた。
(……す、すごい……)
その時、思獣にも引けをとらない巨体な紅い炎虎がビルの屋上に出現した!!。
オウが解き放った思力だ。
その光景は神話に出てくる幻獣同士の戦いのようであった。
紅く輝くその巨虎の神々しさと、黒い思獣の禍々しさのコントラストは、いつ自分の身が危険になるかわからない状況を忘れさせるほど目を奪うものであった。
炎虎が、思獣の首元に噛みついた。
(オウ様の思力は、あの思獣を倒せるのか!?)
しかし、期待に反して思獣はまだ思獣のままもがいている。
そのうちに入ったビル上層、思獣を拘束している部分がひしゃげ始めた。
(こ、このままだと、一気にビルが、ほ、崩壊する!?)
ビルの支柱が、ひしゃげた上層の重さに耐えれなくなると、ビルは完全に崩壊してしまう。
あとどのくらいビルは、もつのか……。
そんなことが頭をかすめた時、事態は急展開した。
そこから先は一瞬の出来事であった。
思獣に噛みついた炎虎は、思獣をビルから離なすようにぶっ飛ばした。
おそらく、拘束を解くようオウから指示があったのだろう。
空中へ投げ出された思獣にさらに炎虎が体当たりをした。
金融城の前を流れる長河まで飛ばすつもりなのだ。
ビルがもたないと判断してのことだろう。
空中でさらに飛ばされた思獣は長河に向かって放物線を描いた。
そこで辺りが夜のように、暗くなった。
そして、ビルとは本体の方向から光が一筋走った。
(な!?龍?いや雷?)
突如現れたその光龍は、思獣を貫きそのまま天まで登っていった。
龍が去ると辺りは元の明るさに戻った。
そして、思獣は、川面に向かって落ちながら徐々にその大きさが縮んでいった。
水面に落ちる頃には、この場所から確認できないくらいになった。
おそらく思獣化が解けて人間に戻ったのだろう。
あっという間の出来事で、頭の整理が追い付かないまま俺は、その場で呆けていた……。
気付くと武装警官のメンバーが俺に声をかけていた。
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