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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第25話:緊急事態発生!? 災害規模の思獣出現
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訓練場は、十階にあったが、オウは意にも介さず飛び降りて行った。
そして、テイももちろんそれに続いた。俺の思力では、この高さから降りたら怪我ではすまない。
歴然たる差を改めて見せつけられた。
俺は、階段を降りながら、武装警官に配備された装備車両にむかった。
(思獣災害が発生なんて!!)
――思獣。
思力が暴走して、人が、獣のようになる現象だ。
思力の暴走は、精神が不安定になったり追い詰められたりするときにまれに起こる。
暴れるくらいの軽いものから、災害と呼ばれる重いものまで様々だ。
災害クラスとなると、人が巨大な獣のような化け物の姿になり、無差別に周囲の人間を攻撃するようになってしまう。
災害クラスは数年に一度くらいの頻度であるが、重大災害だと、被害によっては教科書に載るような歴史的事件だ。
前回華の国で重大災害が起こったときは、数メートルに巨大化した思獣が、電車車両を投げ飛ばし、乗客とも地中に埋めるというようなことが起こった。死者は数百人以上出た。
(警報は間違いなく重大災害だと言っていた)
まだ初動なので、あえて重大を使った可能性もあるが、それだけ深刻なことが起きているのだ。
「ルー君、オウ様は?」
気付くと、俺の横を武装警官の先輩が走っていた。
「すでに現場に向かわれました。俺は、装備車両で現場に向かいます」
「そうね、武装警官のほとんどが帰宅してるから、現場に直接向かってると思う。装備が現場に来るのは助かるわ」
「はい。車だと時間がかかりますが」
「それなら、オウ様がもう治めているかもね」
「そうならいいのですが……」
「じゃ、私も行くわ」
そう言って先輩はスピードを上げてあっという間に見えなくなった。
武装警官のメンバーなら車を使うよりも、直接行った方が早いだろう。
ただ、大きな荷物を抱えては行けない。俺が今出来ることはメンバーに装備を届けることだけだ。
サイレンを鳴らしながら、装備車両を飛ばしてオレは思獣が現れた現場に向かっていた。
ツバキ市は、華の国最長の大河である長河と、長河の支流としては、最も長い華良河が交じる点にある。
主な行政機関は長大な二つの河に囲まれており、武装警官がいる公安庁舎から金融街には、橋を経由して行く必要がある。
オウやテイ、他の武装警官のメンバーは橋など使わず河の上を走って直線的に現場まで行ったであろう。
車の移動はこの点でも時間をロスしてしまう。
金融街は、四十階以上の高層ビルが何十棟もあり、華の国きってのメガシティだ。
そのなかでも、金融城と呼ばれる三棟の高層ビル、金に装飾された派手な高層ビルだが、そのビル群に思獣が発生したらしい。
橋を渡るとき、遠くにその金融城が見えた。
(・・・・・!?)
その光景を見た瞬間、全身に寒気が襲った。
荘厳な三棟の金に輝く高層ビル。他のビルと比べても一目で分かる存在感である。
そのうちの一棟の上層に、その思獣はいた。
(で、でかい!なんてもんじゃない。あんなのが存在し得るのか!?)
その思獣は、完全にビルに巻き付いていた。ばかでかいカメレオンのようだ。暗い闇色で、輪郭は炎のようにはっきりしない。
(こんな、ありえない!こんな、思獣、どうにか出来るのか。)
俺の脳裏には9.11で倒壊したビルの映像が浮かんだ。これは飛田克樹の記憶だ。
だが、あの思獣の規模だどビルの倒壊は容易に想像できてしまう。
思力は、幻影だ。人にしか作用しない。
オウが思力の炎を燃やしても、テイが金属の蔓でなぎ払っても、草すら燃えないし、小石すら動かせない。
ただ、思獣は、現実なのだ。そこが思獣化の恐ろしいところだ。
なぜ思獣化すると物理的な作用が可能になるのか、それは思力研究の長年の課題であるが、未だ判明していない。
それでも、思獣は現実なのだ 。
前回、華の国を襲った災害規模の思獣は、高速鉄道を脱線させ、さらに乗客ごと地中に埋めたのだ。
(あれが、暴れると、金融街が更地になる……)
災害クラスの思獣に対して、俺が出きることなんて、まったくない。いや、オウや武装警官でもなんとかなるのか。
そんな疑問が頭をめぐったが、俺は、メンバーに装備を届けるため、装備車両のアクセルをさらに踏み込んだ。
そして、テイももちろんそれに続いた。俺の思力では、この高さから降りたら怪我ではすまない。
歴然たる差を改めて見せつけられた。
俺は、階段を降りながら、武装警官に配備された装備車両にむかった。
(思獣災害が発生なんて!!)
――思獣。
思力が暴走して、人が、獣のようになる現象だ。
思力の暴走は、精神が不安定になったり追い詰められたりするときにまれに起こる。
暴れるくらいの軽いものから、災害と呼ばれる重いものまで様々だ。
災害クラスとなると、人が巨大な獣のような化け物の姿になり、無差別に周囲の人間を攻撃するようになってしまう。
災害クラスは数年に一度くらいの頻度であるが、重大災害だと、被害によっては教科書に載るような歴史的事件だ。
前回華の国で重大災害が起こったときは、数メートルに巨大化した思獣が、電車車両を投げ飛ばし、乗客とも地中に埋めるというようなことが起こった。死者は数百人以上出た。
(警報は間違いなく重大災害だと言っていた)
まだ初動なので、あえて重大を使った可能性もあるが、それだけ深刻なことが起きているのだ。
「ルー君、オウ様は?」
気付くと、俺の横を武装警官の先輩が走っていた。
「すでに現場に向かわれました。俺は、装備車両で現場に向かいます」
「そうね、武装警官のほとんどが帰宅してるから、現場に直接向かってると思う。装備が現場に来るのは助かるわ」
「はい。車だと時間がかかりますが」
「それなら、オウ様がもう治めているかもね」
「そうならいいのですが……」
「じゃ、私も行くわ」
そう言って先輩はスピードを上げてあっという間に見えなくなった。
武装警官のメンバーなら車を使うよりも、直接行った方が早いだろう。
ただ、大きな荷物を抱えては行けない。俺が今出来ることはメンバーに装備を届けることだけだ。
サイレンを鳴らしながら、装備車両を飛ばしてオレは思獣が現れた現場に向かっていた。
ツバキ市は、華の国最長の大河である長河と、長河の支流としては、最も長い華良河が交じる点にある。
主な行政機関は長大な二つの河に囲まれており、武装警官がいる公安庁舎から金融街には、橋を経由して行く必要がある。
オウやテイ、他の武装警官のメンバーは橋など使わず河の上を走って直線的に現場まで行ったであろう。
車の移動はこの点でも時間をロスしてしまう。
金融街は、四十階以上の高層ビルが何十棟もあり、華の国きってのメガシティだ。
そのなかでも、金融城と呼ばれる三棟の高層ビル、金に装飾された派手な高層ビルだが、そのビル群に思獣が発生したらしい。
橋を渡るとき、遠くにその金融城が見えた。
(・・・・・!?)
その光景を見た瞬間、全身に寒気が襲った。
荘厳な三棟の金に輝く高層ビル。他のビルと比べても一目で分かる存在感である。
そのうちの一棟の上層に、その思獣はいた。
(で、でかい!なんてもんじゃない。あんなのが存在し得るのか!?)
その思獣は、完全にビルに巻き付いていた。ばかでかいカメレオンのようだ。暗い闇色で、輪郭は炎のようにはっきりしない。
(こんな、ありえない!こんな、思獣、どうにか出来るのか。)
俺の脳裏には9.11で倒壊したビルの映像が浮かんだ。これは飛田克樹の記憶だ。
だが、あの思獣の規模だどビルの倒壊は容易に想像できてしまう。
思力は、幻影だ。人にしか作用しない。
オウが思力の炎を燃やしても、テイが金属の蔓でなぎ払っても、草すら燃えないし、小石すら動かせない。
ただ、思獣は、現実なのだ。そこが思獣化の恐ろしいところだ。
なぜ思獣化すると物理的な作用が可能になるのか、それは思力研究の長年の課題であるが、未だ判明していない。
それでも、思獣は現実なのだ 。
前回、華の国を襲った災害規模の思獣は、高速鉄道を脱線させ、さらに乗客ごと地中に埋めたのだ。
(あれが、暴れると、金融街が更地になる……)
災害クラスの思獣に対して、俺が出きることなんて、まったくない。いや、オウや武装警官でもなんとかなるのか。
そんな疑問が頭をめぐったが、俺は、メンバーに装備を届けるため、装備車両のアクセルをさらに踏み込んだ。
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