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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗

第21話:美女のお出迎え!? 緊張の異動の挨拶

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「失礼します!!」
 
 そう言って、俺は、オウの執務室に入った。
 
 「おう、来たか!!」
 
 書類作業をしていたのであろう。オウは手に書類をもち、メガネをかけていた。

 その姿に一瞬俺は、見惚れてしまった。
 
 今日は、荒々しい前線で武将の如く戦うオウのイメージと違い、知的で上品な雰囲気であった。

 実際オウは法医学の専門家という一面もあり、知的労働でも優秀なのだ。
 
 中央入りしていないのは、おそらく生まれのせいであろう。

 党は、人民の平等を謳っているが、差別がないわけでない。華の国の辺境民族とのハーフであるオウは、そこに足を引っ張られているのであろう。
 
 「明日から貴様は私の部下だ。後で武装警官の皆にも紹介しよう」
 
 「あ、ありがとうございます。精一杯頑張ります」
 
 「そうだな。何しろこの私の全開の思力を消したのだ。大活躍することを期待しているぞ」
 
 オウはそう言って挑戦的な笑みを作った。

 ……根に持っているのだ、あの夜のことを。
 
 「オウ様、それは、無理ですわ。非力な男には武装警官の任務は務まりません」
 
 いつの間にか、テイが部屋に入っており、そう横から口を出した。
 
 「ハハハ、そうだな。まー、普通に前線に出したら十中八九死ぬだろうな」
 
 オウはそう言って豪快に笑った。
 
 「さて、冗談はさておき、ルー。貴様には、男女平等の象徴として武装警官に入ってもらう。実戦に使えないことは分かってる。貴様の仕事はデスクワークと雑用。あとは、マスコミへの対応だな」
 
 「雑用以外に、マスコミ対応ですか?」
 
 テイは驚いたようにオウに質問をした。
 
 「そうだな。ま、アピールだ。ボア様、いや、ボアはあの手この手で中央入りのため実績をアピールするつもりだ。男女平等に真剣にとり組んでるとアピールするためだ。そう進言して、ルーを武装警官に入れたのだ」
 
 「そうですか、抜かりないですね。でもこの男が何かやらかして失点にでもつながるのでは」
 
 「だから、何もさせるなが指示だよ。マスコミへも事前に決まった質問に事前に決まった回答をするだけだ」
 
 「そうですか、あなた、ちょっとは目立つへまをしてボアの足を引っ張りなさいよ」
 
 テイはそう厳しく俺を睨みながら言った。
 
 「さて、テイよ。貴様も、私の部下の中では一番下になる。なので、ルーの面倒は貴様がみるのだ」
 
 「ええ、承知してますわ」
 
 「ボアの不正の証拠集めは私一人で行う。その方が目立たなくて済むだろう。その間、ボアの思力への対抗策を練ってくれ」
 
 オウは先程までの豪快な笑顔から覚悟の表情に変わっていた。テイもそんなオウに敬意を表してか真面目な表情になった。
 
 「承知しました。この男が使えるかどうかはともかく、シー様のため、そして、オウ様のご覚悟に報いるため、ボアへの対抗手段必ず見つけて見せます」

 「わ、私も精一杯、が、頑張ります!」
 
 そう言って俺もテイに続いて頭を下げた。

 オウの執務室からでると、テイは俺についてこいと言い、歩き出した。
 
 着いた先は訓練場だった。
 
 「着替えてくるから、準備運動でもしてなさい。あなたの思力をもう一度見せてもらうわ」

 こうして、テイによる思力の訓練が始まった。
 
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