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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第18話:これが転生のきっかけ!? 人生最後に見た光景
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先生指定の時間に俺は、衆議院議員議員会館の鶴見先生の事務所に訪れた。
真面目そうな男性秘書が事務所の応接間に案内してくれた。
「先生はもう少し時間がかかるようです」
秘書は五十代半ばといったところで、相応に白髪もあるが、不快な印象は全く受けない物腰の方であった。
秘書なのに、いや、秘書だからか、高級感はないが上品なスーツとネクタイが印象的だ。
交流事業で頻繁に政治家の秘書の方とは連絡を取るなど一緒に仕事をするが、中には横柄な態度を取る人もいる。
鶴見先生の人徳なのだろう。この秘書はとても感じのいい方であった。
少し待つと鶴見先生が事務所に戻ってきた。
「やあ、飛田くん」
「鶴見先生、お世話になります。この度は、お忙しいところ……」
「いや、形式的な挨拶はいいよ。久しぶりだから、本当は君の近況も知りたかったけどね。早速説明してくれ」
鶴見先生は俺の挨拶を遮って説明を求めた。
俺は、今朝起きたことを説明した。陣さんの個人名は流石に隠したが、鶴見先生も、仕事の関係で俺が在日中国人に顔が広いのは知っており、追求はしてこなかった。
「それが、このSDカードです。簡単にですが、ウイルスチェックはしました。ただ、ネットに繋がってないPCで見るのがいいかと思います」
「なるほどな。ちょっと待っててくれ。」
鶴見先生はそういって、席を立つと秘書のところに向かい、一言二言話した。秘書は頷いたかと思うとすぐに引き出しからPCを出した。
「ちょうど使っていないPCがあったよ」
鶴見先生は俺の目の前でPCを、立ち上げSDカードの中身を確認し始めた。時間が経つにつれ、鶴見先生の表情がだんだん険しくなっていくのが分かった。
「……これ、飛田くん、君、中身は見たのかね」
「はい、一部ですが、確認しないで先生に渡すわけにもいかないと思いまして」
鶴見先生が懸念したのもわかる。
俺は、先生とのアポを待つ間、個室ビデオで、やはりこらえきれず、データの中身を確認してしまった(他の誘惑にはこらえた。)。
その中に、外務大臣を努めたこともある政治家の名前が、様々な画像や動画とともに保存されていた。
これは大変なことであった。一国の大臣クラスの政治家が、ハニートラップにかかっていたのだ。
これまでの、そして、これからの政権の意志決定に大きな影響を及ぼすかもしれない。
「……、ふー、飛田くん。これ大変なことだよ。参ったな。なぜこれを私に?」
「これを私に託した人が、先生なら中国の台湾侵攻、強いては米中衝突を止めるために日本を動かすのに上手く利用してくれるだろうと考えてました」
「コピーは取ったか?」
「いえ、まさか。私には重すぎます。」
「飛田くん、まだ、全部見たわけでないが、現実、今、台湾、そして、日本に対する危機がある中で、このデータは政権への影響力は計り知れない。いや、このデータの使い方が国家の命運を左右すると言っても過言ではないぞ」
「はい、そうだと思います」
その時、鶴見先生の電話が鳴った。
「ちょっとここで待っててくれ」
鶴見先生はそう言い残して応接間から出ていった。
残された俺は、出されたお茶に口をつけて、今の状況を整理していた。
(もう、俺に出きることはないのだよな……)
そう、一介の公務員にはすでに手に負えないレベルの話しになっていた。
俺は、鶴見先生にデータを渡す。
それだけが役割だ。それで俺の役割は終了だ。
ガゴ!!
そんなことを考えていた矢先、急にとてつもない衝撃が側頭部を襲った。
俺は、頭を抑え二人掛けのソファーに倒れた。
倒れた俺の上に人が馬乗りに乗ってきた。
何がなんだか、わからない。
頭の痛さだけを堪えることで精一杯で抵抗することも出来ない。
俺の視界には上品なスーツとネクタイが見える。だか、その視界も霞んで……。
真面目そうな男性秘書が事務所の応接間に案内してくれた。
「先生はもう少し時間がかかるようです」
秘書は五十代半ばといったところで、相応に白髪もあるが、不快な印象は全く受けない物腰の方であった。
秘書なのに、いや、秘書だからか、高級感はないが上品なスーツとネクタイが印象的だ。
交流事業で頻繁に政治家の秘書の方とは連絡を取るなど一緒に仕事をするが、中には横柄な態度を取る人もいる。
鶴見先生の人徳なのだろう。この秘書はとても感じのいい方であった。
少し待つと鶴見先生が事務所に戻ってきた。
「やあ、飛田くん」
「鶴見先生、お世話になります。この度は、お忙しいところ……」
「いや、形式的な挨拶はいいよ。久しぶりだから、本当は君の近況も知りたかったけどね。早速説明してくれ」
鶴見先生は俺の挨拶を遮って説明を求めた。
俺は、今朝起きたことを説明した。陣さんの個人名は流石に隠したが、鶴見先生も、仕事の関係で俺が在日中国人に顔が広いのは知っており、追求はしてこなかった。
「それが、このSDカードです。簡単にですが、ウイルスチェックはしました。ただ、ネットに繋がってないPCで見るのがいいかと思います」
「なるほどな。ちょっと待っててくれ。」
鶴見先生はそういって、席を立つと秘書のところに向かい、一言二言話した。秘書は頷いたかと思うとすぐに引き出しからPCを出した。
「ちょうど使っていないPCがあったよ」
鶴見先生は俺の目の前でPCを、立ち上げSDカードの中身を確認し始めた。時間が経つにつれ、鶴見先生の表情がだんだん険しくなっていくのが分かった。
「……これ、飛田くん、君、中身は見たのかね」
「はい、一部ですが、確認しないで先生に渡すわけにもいかないと思いまして」
鶴見先生が懸念したのもわかる。
俺は、先生とのアポを待つ間、個室ビデオで、やはりこらえきれず、データの中身を確認してしまった(他の誘惑にはこらえた。)。
その中に、外務大臣を努めたこともある政治家の名前が、様々な画像や動画とともに保存されていた。
これは大変なことであった。一国の大臣クラスの政治家が、ハニートラップにかかっていたのだ。
これまでの、そして、これからの政権の意志決定に大きな影響を及ぼすかもしれない。
「……、ふー、飛田くん。これ大変なことだよ。参ったな。なぜこれを私に?」
「これを私に託した人が、先生なら中国の台湾侵攻、強いては米中衝突を止めるために日本を動かすのに上手く利用してくれるだろうと考えてました」
「コピーは取ったか?」
「いえ、まさか。私には重すぎます。」
「飛田くん、まだ、全部見たわけでないが、現実、今、台湾、そして、日本に対する危機がある中で、このデータは政権への影響力は計り知れない。いや、このデータの使い方が国家の命運を左右すると言っても過言ではないぞ」
「はい、そうだと思います」
その時、鶴見先生の電話が鳴った。
「ちょっとここで待っててくれ」
鶴見先生はそう言い残して応接間から出ていった。
残された俺は、出されたお茶に口をつけて、今の状況を整理していた。
(もう、俺に出きることはないのだよな……)
そう、一介の公務員にはすでに手に負えないレベルの話しになっていた。
俺は、鶴見先生にデータを渡す。
それだけが役割だ。それで俺の役割は終了だ。
ガゴ!!
そんなことを考えていた矢先、急にとてつもない衝撃が側頭部を襲った。
俺は、頭を抑え二人掛けのソファーに倒れた。
倒れた俺の上に人が馬乗りに乗ってきた。
何がなんだか、わからない。
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