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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第10話:美少女からの尋問!? 命がけの言い訳
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「はい、シー様。この男、警官としてこの現場の警備を担当してましたが、怪しい点があり、逃げられないよう、ここまで呼びました」
テイは、シーの俺への疑問にそう答えた。
「怪しい点?」
「はい、そうです。先程、オウ様との戦闘の際、その男が、オウ様の思力を一時的に無力化したようなのです。無力化というよりオウ様の思力を完全に消しました。そのような現象、私は初めてです。思力を消すなどと言うこと自体。しかも、男がです」
「ああ、そうだな。完全に思力が消えたので、流石の私も何が起きたのかわからず、動揺したよ。それで、テイに足元を掬われたのだからな」
オウはそう言って、ニヤリとテイに顔を向けた。
「オウ様、それは……。ご無礼は、お許し下さい。でも、それがなければ、この場に私はいなかったことでしょう」
テイは、オウに詫びつつ、そう状況を説明した。そして、俺へ向けてこう放った。
「おい、貴様。所属と名を名乗れ!!」
テイの強い口調に、先程のシーの圧力にやられて膝を付いてた体勢から、慌てて直立不動の姿勢に直り、俺は答えた。
「ツバキ市谷町交番に勤めているルーと申します。本日は管轄外ですが、応援として、現場保全の警備に当たっておりました!!」
恐る恐る、三人の顔を伺った。
シーは相変わらず、無機質な表情。興味があるのかないのかもわからない。
オウは腕を組んで、俺を値踏みしているような態度だ。
テイはきつく俺を睨んでいる。
「先程の戦闘で、オウ様の思力を、消したのはお前で間違いないな?」
結果的に助けたにも関わらず、お前は敵だとでも言うようにテイは厳しく確認してきた。
俺にとっては、ここから回答ごとに命運がかかっていることになる。どのように答えるのが正解なのか。
「はい、自分の身を守ろうと無我夢中でしたので、あのような結果になるとは思っておず……」
俺は正直に答えることにした。
とぼけたところで取るに足らない奴と判断されれば、先程のシーとオウの密談を聞いた俺は消されるだろう。
それよりは、なにか役に立つと思ってもらう方が生き残れる可能性がある。
「ほう、無我夢中で、私の思力を消したと。どのようにやったのかな?」
今度はオウが挑戦的な表情で聞いてきた。
「は。はい。オウ様の思力様式は、炎でしたので、炎を消す音をイメージして、思力を使いました」
「は?何を言ってるのかわからんぞ!」
オウの機嫌が一瞬にして悪くなった。テイも相変わらず敵のようにこちらを睨んでいる。
「は、はい。申し訳ありません。え、オウ様の炎ですが、それを消そうと例えば水をイメージしても、オウ様と男である私の圧倒的な思力差では、文字通り焼け石に水となってしまいます。なぜなら、水で炎は消せますが、炎も水を蒸発させ消せるからです。しかし、音の場合、炎は音に影響はしません。一方、周波数をコントロールすることで炎を消す音を作ることは可能です。そのような物理現象があります。炎は音に影響を与えれないので、オウ様と私の圧倒的な思力差でも、対抗できると考え、思力で炎を消す音をつくりました」
俺は焦りながら早口言葉のように説明した。
さながら理系のオタクが相手が理解していないのにに長々と早口言葉でまくし立てているようだっただろう。
「音が貴様の思力様式ということか?」
俺の説明に理解も納得もしてないであろうオウがさらに問い詰めてきた。
「いえ、思力様式など男である私の思力ではとても持てません。ただ、物理を学ぶのが好きであり、先程はとっさに思い浮かんだ物理現象を思力で再現できないかと試しただけです」
俺は、ことあるごと男であることをアピールした。
この世界では男は女性よりも圧倒的に弱いものなのだ。それでなんとか許してくれないかと期待したわけだ。
思力様式は、強い思力を持つものでないと顕現できない。思力様式を持っている男など聞いたことはない。
買いかぶられ過ぎて危険視されるのも、命取りだと俺は考えた。
「言ってることは理解できんが、貴様が私の思力を消したのは事実だ。そして、それが今日、私の人生、命運を変えた。男ごときにそうされたのはしゃくだがな……」
そうオウは言ったあとテイに、こいつの始末はどうするのだと言わんばかりに顔を向けた。
「物理現象を顕現して、相手の思力に対抗する能力ですか。それが貴様のような男の思力でオウ様にた対抗できるなんてとても信じられないですわ。ただ、先程のは事実起こったことですし、私は貴様に救われた……」
先程まで睨んでいたテイは、そう静かに俺に言った。
しかし、この静かさは、危険だ。覚悟を決めた静かさではないか。
「ただ、今夜起こったことが外に漏れるのは避けなくてはなりません。あなたは不運でしたね」
テイは俺に向けて思力を放つ用意をし始めた。
金属のバラの茎が顕現し、その尖った先が俺に向けられた。
俺は命乞いする機会すらなく命を奪われるに等しいことになるであろう。
もうダメだ、そう思った瞬間、シーの声がテイの思力を止めた。
テイは、シーの俺への疑問にそう答えた。
「怪しい点?」
「はい、そうです。先程、オウ様との戦闘の際、その男が、オウ様の思力を一時的に無力化したようなのです。無力化というよりオウ様の思力を完全に消しました。そのような現象、私は初めてです。思力を消すなどと言うこと自体。しかも、男がです」
「ああ、そうだな。完全に思力が消えたので、流石の私も何が起きたのかわからず、動揺したよ。それで、テイに足元を掬われたのだからな」
オウはそう言って、ニヤリとテイに顔を向けた。
「オウ様、それは……。ご無礼は、お許し下さい。でも、それがなければ、この場に私はいなかったことでしょう」
テイは、オウに詫びつつ、そう状況を説明した。そして、俺へ向けてこう放った。
「おい、貴様。所属と名を名乗れ!!」
テイの強い口調に、先程のシーの圧力にやられて膝を付いてた体勢から、慌てて直立不動の姿勢に直り、俺は答えた。
「ツバキ市谷町交番に勤めているルーと申します。本日は管轄外ですが、応援として、現場保全の警備に当たっておりました!!」
恐る恐る、三人の顔を伺った。
シーは相変わらず、無機質な表情。興味があるのかないのかもわからない。
オウは腕を組んで、俺を値踏みしているような態度だ。
テイはきつく俺を睨んでいる。
「先程の戦闘で、オウ様の思力を、消したのはお前で間違いないな?」
結果的に助けたにも関わらず、お前は敵だとでも言うようにテイは厳しく確認してきた。
俺にとっては、ここから回答ごとに命運がかかっていることになる。どのように答えるのが正解なのか。
「はい、自分の身を守ろうと無我夢中でしたので、あのような結果になるとは思っておず……」
俺は正直に答えることにした。
とぼけたところで取るに足らない奴と判断されれば、先程のシーとオウの密談を聞いた俺は消されるだろう。
それよりは、なにか役に立つと思ってもらう方が生き残れる可能性がある。
「ほう、無我夢中で、私の思力を消したと。どのようにやったのかな?」
今度はオウが挑戦的な表情で聞いてきた。
「は。はい。オウ様の思力様式は、炎でしたので、炎を消す音をイメージして、思力を使いました」
「は?何を言ってるのかわからんぞ!」
オウの機嫌が一瞬にして悪くなった。テイも相変わらず敵のようにこちらを睨んでいる。
「は、はい。申し訳ありません。え、オウ様の炎ですが、それを消そうと例えば水をイメージしても、オウ様と男である私の圧倒的な思力差では、文字通り焼け石に水となってしまいます。なぜなら、水で炎は消せますが、炎も水を蒸発させ消せるからです。しかし、音の場合、炎は音に影響はしません。一方、周波数をコントロールすることで炎を消す音を作ることは可能です。そのような物理現象があります。炎は音に影響を与えれないので、オウ様と私の圧倒的な思力差でも、対抗できると考え、思力で炎を消す音をつくりました」
俺は焦りながら早口言葉のように説明した。
さながら理系のオタクが相手が理解していないのにに長々と早口言葉でまくし立てているようだっただろう。
「音が貴様の思力様式ということか?」
俺の説明に理解も納得もしてないであろうオウがさらに問い詰めてきた。
「いえ、思力様式など男である私の思力ではとても持てません。ただ、物理を学ぶのが好きであり、先程はとっさに思い浮かんだ物理現象を思力で再現できないかと試しただけです」
俺は、ことあるごと男であることをアピールした。
この世界では男は女性よりも圧倒的に弱いものなのだ。それでなんとか許してくれないかと期待したわけだ。
思力様式は、強い思力を持つものでないと顕現できない。思力様式を持っている男など聞いたことはない。
買いかぶられ過ぎて危険視されるのも、命取りだと俺は考えた。
「言ってることは理解できんが、貴様が私の思力を消したのは事実だ。そして、それが今日、私の人生、命運を変えた。男ごときにそうされたのはしゃくだがな……」
そうオウは言ったあとテイに、こいつの始末はどうするのだと言わんばかりに顔を向けた。
「物理現象を顕現して、相手の思力に対抗する能力ですか。それが貴様のような男の思力でオウ様にた対抗できるなんてとても信じられないですわ。ただ、先程のは事実起こったことですし、私は貴様に救われた……」
先程まで睨んでいたテイは、そう静かに俺に言った。
しかし、この静かさは、危険だ。覚悟を決めた静かさではないか。
「ただ、今夜起こったことが外に漏れるのは避けなくてはなりません。あなたは不運でしたね」
テイは俺に向けて思力を放つ用意をし始めた。
金属のバラの茎が顕現し、その尖った先が俺に向けられた。
俺は命乞いする機会すらなく命を奪われるに等しいことになるであろう。
もうダメだ、そう思った瞬間、シーの声がテイの思力を止めた。
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