10 / 101
第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第9話:オウの懐柔!? シーが狙う大物
しおりを挟む
「…………」
シーのプレッシャーに当てられたのか、それともまだシーのプレッシャーに抗っているのかオウは黙っている。
俺の位置からは表情すべては見えないがシーの顔を真正面に見ているのはわかる。
ふいに禍々しきシーの漆黒のプレッシャーが少し和らぎ、同時にシーはこう言った。
「ターニャの死刑だけはなんとか避けることを約束しよう」
突然の申し出であった。
今回、英聖国人の 死亡に深く関与しているボアの妹ターニャ。
もし、これが殺人事件であるなら華の国の法律上、死刑の可能性が非常に高い。
コテージからオウとターニャが出てくる時、確かにオウのターニャへの接し方は、市のVIPへの対応以上の接し方であった。
(もしかして、オウとターニャはロマンシスな関係なのか?)
この世界では、女性同士、ロマンシスという性的な関係や同性愛など超越した心の絆で結ばれたような関係性がある。
男は、消耗品みたいなものなので、男と関係を深めるより女性同士が関係を深めるのが特に思力が高い支配者では一般的だ。
もし、オウとターニャがロマンシスな関係であるなら、オウがシーに協力した結果、事件は明るみに出て、ターニャは死刑となることは避けたいだろう。
「もし、お主が協力しなくとも、我々はこの事件を明るみにし、必ずボアを失脚させる。その時、ターニャの死刑は免れない」
さらにシーは続けた。
「シー、様、それは………」
これまでになく、オウは動揺し、ここからでも瞳に涙が貯まっているのがわかるくらいであった。
「ドラセナ・コンシンネ、お主の故郷の言葉で真実の英雄だったかな。それがお主の本当の名であろう」
オウは確かに華の国の大半をめる人種とは少し外見が違っていた。
おそらく華の国に取り込まれた辺境の小国の人種とのハーフであろう。
「これまで、お主はその名に恥じない生き方をしてきた。これからもその生き方を貫かないか?」
これまでに無機質だったシーの声にわずかだか優しさが、込められたような感じであった。
いつの間にか禍々しいプレッシャーも消え、心地よい薄闇が広がっているような雰囲気になっていた。
「アーー!!」
オウは声を張り上げた。
泣き声のようにも聞こえたし、戦士が、自分を鼓舞するときの雄叫びにも聞こえた。
そして、スーと一息吸ってオウはこう答えた。
「シー様、わかりました。私は全力でシー様に協力いたします」
いつの間にかテイの拘束は解けており、オウはシーに忠誠の姿勢を取っていた。
「ありがとう。オウよ。私のためでなく、この華の国に、真の理想を実現するため、今後も働いてほしい」
シーは、少し微笑みを作り、そう返した。
声だけは相変わらす無機質であったが。
□ ■ ◆ ■ □
「……して、今後どのように対応いたしましょうか。ご存知のようにこの市はボアの独裁支配となっており、私が今回の事件を明るみにしたところで、ボアは失脚しませんし、握り潰されるのみです」
まだ先程のシーとオウが交わした会話の余韻が残る中、早速オウが今後の対応について作戦会議を始めた。
流石、常に第一線で活躍している実務家だ。
戦闘の時の怒りも、先程の動揺もなくなり、ただ冷静に課題に対応しようとしている。
「…………、他にボアを失脚させることができる証拠を集めるのにどのくらいかかる?」
「ニヶ月ほどあれば可能です。しかし、証拠があったところでこの市では無意味です」
シーの問いにオウはそう答えた。
オウは事実を言ったかもしれないが、言外に、シーが証拠を持っても無駄だと受け取られかねない。
案の定、テイが間に入った。
「オウ、貴様、シー様に向かって失礼だぞ!!」
「よい、テイよ。オウは事実を言ったまでだ。ボアのこの市での功績は中央でも評価が高い。中央にはボアと懇意にしてるものもいるしな。ただ証拠があっただけではオウの言う通りだ」
「大変失礼なことを言ってしまいました。申し訳ありません。シー様。ただ、中央政治局常務委員にもボア様、いや、ボアがコネクションを持つ方がいるのは確かです」
オウも自分の発言の危うさに気付いたのか、慌てて謝りながらそういった。
シーは、特に意に介せず、なにか思案してる。
少しの沈黙のあとシーは、話はじめた。
「…………、まずは証拠を集めてくれ。その後については、考えがある。四ヶ月後の代表大会、その時までにボアを失脚させないと、ボアの中央政治局常務委員のメンバー入りは確実となってしまう。そうすると手が出せなくなる」
「承知しました。速やかに対処します。」
オウはそう言って頭を下げた。
指示だけを忠実に受け止める。その後や目的に、疑問があっても触れないでおく。
実務家らしい対応だ。
「テイもこのまま部下として使ってくれ。なかなかに優秀なものだ」
「はい。大変助かります」
「シー様。ありがとうございます。オウ様これまでの非礼お許し下さい。これからはシー様の目的のため、オウ様に従います」
シーの提案にオウもテイも同意して、そう答えた。
テイは先程の敵対関係から、あっさりと態度を変えた。このあたり、テイも優秀な実務家なのだろう。
「さて、ところで、テイよ。何故、その男を中に入れた?」
ふいにシーはそういった。
シー、オウ、テイの注目が突然俺に集まった。
地味であるが、整った顔立ちで、特に目は切れ長でまさしく金属を思わせる冷たさを持っているにも関わらず、それがなんとも言えないくら美しいテイ。
トレードマークの赤みが掛かった髪と燃えるような瞳。外見だけでも他を圧倒するような美女であるオウ。
そして、無機質にも関わらずこの世のものとは思えない、美少女なのか、美女なのかそれすらも考えるのがおこがましいほどの美を纏っているシー。
三者三様の美女に睨まれた俺は、蛇に睨まれた たカエルごとく、ただ動けず、自分のこの先だけを、天に祈った。
シーのプレッシャーに当てられたのか、それともまだシーのプレッシャーに抗っているのかオウは黙っている。
俺の位置からは表情すべては見えないがシーの顔を真正面に見ているのはわかる。
ふいに禍々しきシーの漆黒のプレッシャーが少し和らぎ、同時にシーはこう言った。
「ターニャの死刑だけはなんとか避けることを約束しよう」
突然の申し出であった。
今回、英聖国人の 死亡に深く関与しているボアの妹ターニャ。
もし、これが殺人事件であるなら華の国の法律上、死刑の可能性が非常に高い。
コテージからオウとターニャが出てくる時、確かにオウのターニャへの接し方は、市のVIPへの対応以上の接し方であった。
(もしかして、オウとターニャはロマンシスな関係なのか?)
この世界では、女性同士、ロマンシスという性的な関係や同性愛など超越した心の絆で結ばれたような関係性がある。
男は、消耗品みたいなものなので、男と関係を深めるより女性同士が関係を深めるのが特に思力が高い支配者では一般的だ。
もし、オウとターニャがロマンシスな関係であるなら、オウがシーに協力した結果、事件は明るみに出て、ターニャは死刑となることは避けたいだろう。
「もし、お主が協力しなくとも、我々はこの事件を明るみにし、必ずボアを失脚させる。その時、ターニャの死刑は免れない」
さらにシーは続けた。
「シー、様、それは………」
これまでになく、オウは動揺し、ここからでも瞳に涙が貯まっているのがわかるくらいであった。
「ドラセナ・コンシンネ、お主の故郷の言葉で真実の英雄だったかな。それがお主の本当の名であろう」
オウは確かに華の国の大半をめる人種とは少し外見が違っていた。
おそらく華の国に取り込まれた辺境の小国の人種とのハーフであろう。
「これまで、お主はその名に恥じない生き方をしてきた。これからもその生き方を貫かないか?」
これまでに無機質だったシーの声にわずかだか優しさが、込められたような感じであった。
いつの間にか禍々しいプレッシャーも消え、心地よい薄闇が広がっているような雰囲気になっていた。
「アーー!!」
オウは声を張り上げた。
泣き声のようにも聞こえたし、戦士が、自分を鼓舞するときの雄叫びにも聞こえた。
そして、スーと一息吸ってオウはこう答えた。
「シー様、わかりました。私は全力でシー様に協力いたします」
いつの間にかテイの拘束は解けており、オウはシーに忠誠の姿勢を取っていた。
「ありがとう。オウよ。私のためでなく、この華の国に、真の理想を実現するため、今後も働いてほしい」
シーは、少し微笑みを作り、そう返した。
声だけは相変わらす無機質であったが。
□ ■ ◆ ■ □
「……して、今後どのように対応いたしましょうか。ご存知のようにこの市はボアの独裁支配となっており、私が今回の事件を明るみにしたところで、ボアは失脚しませんし、握り潰されるのみです」
まだ先程のシーとオウが交わした会話の余韻が残る中、早速オウが今後の対応について作戦会議を始めた。
流石、常に第一線で活躍している実務家だ。
戦闘の時の怒りも、先程の動揺もなくなり、ただ冷静に課題に対応しようとしている。
「…………、他にボアを失脚させることができる証拠を集めるのにどのくらいかかる?」
「ニヶ月ほどあれば可能です。しかし、証拠があったところでこの市では無意味です」
シーの問いにオウはそう答えた。
オウは事実を言ったかもしれないが、言外に、シーが証拠を持っても無駄だと受け取られかねない。
案の定、テイが間に入った。
「オウ、貴様、シー様に向かって失礼だぞ!!」
「よい、テイよ。オウは事実を言ったまでだ。ボアのこの市での功績は中央でも評価が高い。中央にはボアと懇意にしてるものもいるしな。ただ証拠があっただけではオウの言う通りだ」
「大変失礼なことを言ってしまいました。申し訳ありません。シー様。ただ、中央政治局常務委員にもボア様、いや、ボアがコネクションを持つ方がいるのは確かです」
オウも自分の発言の危うさに気付いたのか、慌てて謝りながらそういった。
シーは、特に意に介せず、なにか思案してる。
少しの沈黙のあとシーは、話はじめた。
「…………、まずは証拠を集めてくれ。その後については、考えがある。四ヶ月後の代表大会、その時までにボアを失脚させないと、ボアの中央政治局常務委員のメンバー入りは確実となってしまう。そうすると手が出せなくなる」
「承知しました。速やかに対処します。」
オウはそう言って頭を下げた。
指示だけを忠実に受け止める。その後や目的に、疑問があっても触れないでおく。
実務家らしい対応だ。
「テイもこのまま部下として使ってくれ。なかなかに優秀なものだ」
「はい。大変助かります」
「シー様。ありがとうございます。オウ様これまでの非礼お許し下さい。これからはシー様の目的のため、オウ様に従います」
シーの提案にオウもテイも同意して、そう答えた。
テイは先程の敵対関係から、あっさりと態度を変えた。このあたり、テイも優秀な実務家なのだろう。
「さて、ところで、テイよ。何故、その男を中に入れた?」
ふいにシーはそういった。
シー、オウ、テイの注目が突然俺に集まった。
地味であるが、整った顔立ちで、特に目は切れ長でまさしく金属を思わせる冷たさを持っているにも関わらず、それがなんとも言えないくら美しいテイ。
トレードマークの赤みが掛かった髪と燃えるような瞳。外見だけでも他を圧倒するような美女であるオウ。
そして、無機質にも関わらずこの世のものとは思えない、美少女なのか、美女なのかそれすらも考えるのがおこがましいほどの美を纏っているシー。
三者三様の美女に睨まれた俺は、蛇に睨まれた たカエルごとく、ただ動けず、自分のこの先だけを、天に祈った。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる