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第一章:独裁の萌芽!?華の国ツバキ市の腐敗
第3話:殺人事件!?圧倒的な思力は女性だけのもの
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「お、お疲れ様です」
俺は最敬礼し、道を開け、声を張り上げて言った。
オウは、ギロリと俺を一瞥して中に入っていった。
「こ、怖すぎる……(泣き)」
漫画なら、俺は今直立不動でチビらせた表現で描かれてるであろう。情けないがそのくらいの迫力であった。
オウが通り過ぎた後には、オウから漏れ出た思力の炎の残り火が辺りに燻ってるかのようであった。
思力。
――思いを現実にする力。
それがこの世界と前の世界の根本的な違いだ。
思力は、前の世界の基準から見ると魔法や超能力のようなものだ。
ただ、魔法のように炎出して何かを燃やしたり、超能力のようにモノを自在に操れたりする訳ではない。転生ものによく出てくるスキルとも違う。
思力は、物体には干渉しない。
思力は、自他問わず、人間にだけ影響を与える力だ。
強力な思力の持ち主であれば、思力で身体を強化すれば車よりも早く走れるし、知力を強化すればコンピューター並みに複雑な計算も出来るようになる。
思力を使うとき、使用者それぞれの性質を表す幻影が生まれる。周囲の人間はその幻影があたかも本物に見える。
そして、その思力は、圧倒的に女性の方が強力である。
――残酷なくらい圧倒的だ。
俺は男の中では思力が強い方だ。(だから、下っぱとは言え警察官になれた。)
そんな俺が、思力を使っても、せいぜい100メートルを10秒程度で走れるようになるくらいだ。
つまり、一般人がアスリート並みの能力になる程度である。
だが、強力な思力を持つ女性の支配者クラスは、ケタが違う。それも何ケタも。
思力を使った時の身体向上も、学習能力向上も常人の百倍以上だ。それだけでない。思力をまるで魔法のように使い、他人を制したり、操ったりできる。
思力による個人の能力差がケタ違いなので、この国だけでなく、この世界では、思力の優れた女性だけが選別され支配者層になる。
学習能力も強化できるので、十四歳くらいの時には、すでに大人と同じ知識を持っている。
思力は、二十代、三十代をピークに、その後衰える。
だから、この世界は、支配者層の世代交代が早く、どの国も支配者層は二十代、三十代の若い女性が大半を占める。
もちろん、支配者層になれる思力をもつ女性は限られた極々一部だ。
オウはそのクラスであるが、俺は生まれて始めて間近に支配者クラスの力を感じた。
オウにとっては、思力を意識して使っていた状態でなく、ただ、普通に歩いてただけであろう。それだけで俺は蛇に睨まれたカエルのように、精神的な敗北感を心に植え付けられた。
(ただ……、死体が出たからと言ってオウ様がでてくるのか……?)
オウはその圧倒的な力を犯罪組織と汚職撲滅のために使っていた。
そんなオウがわざわざこの現場にきたのだ。どのような事件なのか、俺は全く状況を説明されていないので、想像することもできない。
何かヒントでもと考えたわけではないが、俺はコテージの方を振り向いた。
その瞬間、全身の毛が逆立つような、さっきの何倍ものプレッシャーが俺を襲った。
そして、唐突にコテージが業火に包まれた。
(火事?いや、オウ様の思力!?)
中で何があったのかわからないが、オウが思力を使ったのだ。
そして、思力による燃え盛る業火が、俺の眼前に迫ってきた。
俺は情けなく後ろに尻餅をつきながら、後ずさりをした。しかし、この炎に飲まれることは、避けられないであろう。
とっさに俺は、下から上に昇る空気の壁をイメージした。そして、そのイメージを思力で具現化した。
炎は、俺を飲み込む寸前で空気の壁に遮られ、上へと登った。
(こ、これは、本当に漏らしてもしょうがないでしょ……)
眼前の炎を目に、俺はこの炎が消えることを祈った。
祈りが通じたのか、炎はやがて消えた。
そして、目の前には、炎に包まれる前と全く変わらないコテージがあった。
やはりオウが思力を使ったのだ。
炎は、オウの思力様式だ。それは誰かを燃やそうとしたのではなく、支配するために使った思力の幻影として見えただけだ。
炎がコテージを包んだことからオウは、中にいる全員を支配するために思力を解放したと思われる。
しかし、強烈な思力であった……。
男の俺が中にいたなら、おそらくまともな自由意思は壊され、オウの言葉以外何も聞けなくなる廃人同様になってたであろう。
思力の強い女性でも一生オウには逆らえない、そんなトラウマを植えつけられたはずだ。
――これが支配者クラスの思力。
思力は肉体や知力など能力を強化するだけでない。他人の精神に介入し、文字通り支配する能力になるのだ。
どのくらいそこで呆けていただろうか。俺はずっと尻餅をついた体勢のまま動けずにいた。
俺は最敬礼し、道を開け、声を張り上げて言った。
オウは、ギロリと俺を一瞥して中に入っていった。
「こ、怖すぎる……(泣き)」
漫画なら、俺は今直立不動でチビらせた表現で描かれてるであろう。情けないがそのくらいの迫力であった。
オウが通り過ぎた後には、オウから漏れ出た思力の炎の残り火が辺りに燻ってるかのようであった。
思力。
――思いを現実にする力。
それがこの世界と前の世界の根本的な違いだ。
思力は、前の世界の基準から見ると魔法や超能力のようなものだ。
ただ、魔法のように炎出して何かを燃やしたり、超能力のようにモノを自在に操れたりする訳ではない。転生ものによく出てくるスキルとも違う。
思力は、物体には干渉しない。
思力は、自他問わず、人間にだけ影響を与える力だ。
強力な思力の持ち主であれば、思力で身体を強化すれば車よりも早く走れるし、知力を強化すればコンピューター並みに複雑な計算も出来るようになる。
思力を使うとき、使用者それぞれの性質を表す幻影が生まれる。周囲の人間はその幻影があたかも本物に見える。
そして、その思力は、圧倒的に女性の方が強力である。
――残酷なくらい圧倒的だ。
俺は男の中では思力が強い方だ。(だから、下っぱとは言え警察官になれた。)
そんな俺が、思力を使っても、せいぜい100メートルを10秒程度で走れるようになるくらいだ。
つまり、一般人がアスリート並みの能力になる程度である。
だが、強力な思力を持つ女性の支配者クラスは、ケタが違う。それも何ケタも。
思力を使った時の身体向上も、学習能力向上も常人の百倍以上だ。それだけでない。思力をまるで魔法のように使い、他人を制したり、操ったりできる。
思力による個人の能力差がケタ違いなので、この国だけでなく、この世界では、思力の優れた女性だけが選別され支配者層になる。
学習能力も強化できるので、十四歳くらいの時には、すでに大人と同じ知識を持っている。
思力は、二十代、三十代をピークに、その後衰える。
だから、この世界は、支配者層の世代交代が早く、どの国も支配者層は二十代、三十代の若い女性が大半を占める。
もちろん、支配者層になれる思力をもつ女性は限られた極々一部だ。
オウはそのクラスであるが、俺は生まれて始めて間近に支配者クラスの力を感じた。
オウにとっては、思力を意識して使っていた状態でなく、ただ、普通に歩いてただけであろう。それだけで俺は蛇に睨まれたカエルのように、精神的な敗北感を心に植え付けられた。
(ただ……、死体が出たからと言ってオウ様がでてくるのか……?)
オウはその圧倒的な力を犯罪組織と汚職撲滅のために使っていた。
そんなオウがわざわざこの現場にきたのだ。どのような事件なのか、俺は全く状況を説明されていないので、想像することもできない。
何かヒントでもと考えたわけではないが、俺はコテージの方を振り向いた。
その瞬間、全身の毛が逆立つような、さっきの何倍ものプレッシャーが俺を襲った。
そして、唐突にコテージが業火に包まれた。
(火事?いや、オウ様の思力!?)
中で何があったのかわからないが、オウが思力を使ったのだ。
そして、思力による燃え盛る業火が、俺の眼前に迫ってきた。
俺は情けなく後ろに尻餅をつきながら、後ずさりをした。しかし、この炎に飲まれることは、避けられないであろう。
とっさに俺は、下から上に昇る空気の壁をイメージした。そして、そのイメージを思力で具現化した。
炎は、俺を飲み込む寸前で空気の壁に遮られ、上へと登った。
(こ、これは、本当に漏らしてもしょうがないでしょ……)
眼前の炎を目に、俺はこの炎が消えることを祈った。
祈りが通じたのか、炎はやがて消えた。
そして、目の前には、炎に包まれる前と全く変わらないコテージがあった。
やはりオウが思力を使ったのだ。
炎は、オウの思力様式だ。それは誰かを燃やそうとしたのではなく、支配するために使った思力の幻影として見えただけだ。
炎がコテージを包んだことからオウは、中にいる全員を支配するために思力を解放したと思われる。
しかし、強烈な思力であった……。
男の俺が中にいたなら、おそらくまともな自由意思は壊され、オウの言葉以外何も聞けなくなる廃人同様になってたであろう。
思力の強い女性でも一生オウには逆らえない、そんなトラウマを植えつけられたはずだ。
――これが支配者クラスの思力。
思力は肉体や知力など能力を強化するだけでない。他人の精神に介入し、文字通り支配する能力になるのだ。
どのくらいそこで呆けていただろうか。俺はずっと尻餅をついた体勢のまま動けずにいた。
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