鋼鉄のアレ(仮題)

海星

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チート

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    日本は軍部のイザナミは弱い。
それは歴史的に改造に対して抵抗があるからであろう。
    日本人は昔から「制作者が意図していない行為」全てを「チート」と言ったが、海外では違反に抵触していない改造行為を「MOD」と言い、データを公式が発表したりしていた。
    「イザナミ」の改造は暗黙の了解として扱われ「表向きは禁止されているが、誰もが行っている行為」として黙認されてきた。
    テロ組織の所有する機体ですら改造が施されているので、改造を取り締まると「国の軍隊はテロ組織より性能が低い機体を扱っている」という事になってしまうので「改造もやむなし」なのだが。
    なので「イザナミ」の機体の改造は各国の軍隊で行われた。
    だが日本はその波にのり損ね、自衛隊は当初ノーマル機体を揃えたのだ。
    イチローが操縦した「シデン」も最初に揃えられたノーマル機体なのだが。
    テロの恐れがある国々では早くから国ぐるみの改造が必要悪として存在した。
    だが、自衛隊では改造機体が必要とされてこなかった期間が長かった。テロの標的に日本が幸運にもされなかったというのが大きいだろう。
    だが日本が同盟国と模擬戦を行った時、日本の機体の性能が世界で一番低い事を実感する事になった。
    日本が慌てて機体の改造に着手した時、他の国では「第四世代改造機」が完成していた。
    機体の改造技術で日本は他国の後塵を拝していたが、それだけではなく「データの改造」そのものが日本人には向いておらず、「卑怯なチート手段」と考える風潮があった。
    チート行為が問題になるのはイチローがいた時代の後で、ネットゲームが頻繁に行われるようになった時なのでイチローにはイマイチ実感がなかったのだが。

    イチローがいた時代にネットゲームがなかったかというとそういう訳でもない。
    インターネットがまだ「パソコン通信」と呼ばれていた時代にモデムを使った通信ゲームが存在した。
    だが通信料は法外に高く、使いたい方題ではなかったためあまり一般的ではなかった。しかも光通信どころかADSLですらなかったため、通信ラグがとんでもなくあり、ゲームどころではなかった。
    ADSL回線すらないならパソコン通信にはどんな回線が使用されていたのか?信じられないかも知れないがモデムを使って電話回線でパソコン通信が行われていたのだ。遅くて、金がかかって当たり前だと思うかも知れない。だがピーピーガリガリとモデムをいわせながら、ネットゲームをしていた時代があり、それがネットゲームのはじまりなのである。

    大河の機体はピーキーな物であった。
    早くから改造に着手している国の「アルマシー」であれば高機動、重装甲を実現していただろう。
    だが大河の機体は高機動を実現するために、ただでさえ紙装甲であるアルマシーを更に紙装甲にした物であった、極太レーザー一発で撃破されてしまうほどに。
    「仮想兵器シリーズ」の続編で機体をチューンナップするゲームがリリースされる。
     イチローはパイロットとしても重用されるが、それ以上に機体の改造技術でその才能を発揮する、がそれは後の話。
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