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恩返しって…
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「…んっ…う…」
チュッと音を立てて唇を離し、俺は青野爽を解放する。
「… … な… …なん…なん…」
おもしれー…また、爽は言葉を失ったみたいだ…
人間は普段はベラベラとうるさい声で、自分が世界の中心にいるとばかりに、街中で思い切り喋ってる割に、
こういう時はてんで駄目だな…驚きからなのか、打たれ弱さか、一気に言葉を失う。
…そもそも、人間は世界の中心じゃねえ…
そもそも、そんなことを考えもしない人間がこの世界には多すぎる、つまり、人間以外の生態系を軽視し過ぎる。資源も無限、取り放題…捨て放題…だからもう、この地球はボロボロだ… あ…、脱線した…すんまそ。
俺は続ける。
「なになに…?言いたいことがあんなら言えよ…、あんた、なんか嫌そうだし…なんか涙目だし…」
俺はハッとして、思わず敬語に変更する。
「いや…何か言いたいことがあれば、遠慮なく言ってくださいよ…」
俺は一応、人間界では20歳そこらの年齢のはずだ。
だから爽から見たら、大学生か…そこらのガキに見えてるだろうと…思う。
人間界ってのは厄介なもので、上下関係がうるさいらしい。
言葉遣いだの礼儀だの…、そんな形式的なことばっかに気を取られて、本当の関係性を忘れてんじゃないかなんて、俺は思ってたりする。
つまり、強いか、弱いか…生き残る能力があるかないか…だから犬の世界には、敬語なんてない。
「い…言いたい…こともなにも…なっ…んで、…こ…んなっ…!」
また、爽が起き上がろうとする…
おっと、…まだ話は終わっちゃいない…すぐに押し倒す。
「…っくっ…!!な…なんで…」視線が泳ぐ。
「あの…ですね、…俺の話…、ちゃんと聞いてもらえます…?俺はマジで、あの時の犬っす。」
爽が、俺を見つめたまま、ごくりと唾を飲み込む。
「んで…、今は人間に一時的に化けてますけど…ある目的を達成したら、犬に戻る予定です。」
爽はおとなしく聞いている…
やっと、冷静になってきたらしい…
チュッと音を立てて唇を離し、俺は青野爽を解放する。
「… … な… …なん…なん…」
おもしれー…また、爽は言葉を失ったみたいだ…
人間は普段はベラベラとうるさい声で、自分が世界の中心にいるとばかりに、街中で思い切り喋ってる割に、
こういう時はてんで駄目だな…驚きからなのか、打たれ弱さか、一気に言葉を失う。
…そもそも、人間は世界の中心じゃねえ…
そもそも、そんなことを考えもしない人間がこの世界には多すぎる、つまり、人間以外の生態系を軽視し過ぎる。資源も無限、取り放題…捨て放題…だからもう、この地球はボロボロだ… あ…、脱線した…すんまそ。
俺は続ける。
「なになに…?言いたいことがあんなら言えよ…、あんた、なんか嫌そうだし…なんか涙目だし…」
俺はハッとして、思わず敬語に変更する。
「いや…何か言いたいことがあれば、遠慮なく言ってくださいよ…」
俺は一応、人間界では20歳そこらの年齢のはずだ。
だから爽から見たら、大学生か…そこらのガキに見えてるだろうと…思う。
人間界ってのは厄介なもので、上下関係がうるさいらしい。
言葉遣いだの礼儀だの…、そんな形式的なことばっかに気を取られて、本当の関係性を忘れてんじゃないかなんて、俺は思ってたりする。
つまり、強いか、弱いか…生き残る能力があるかないか…だから犬の世界には、敬語なんてない。
「い…言いたい…こともなにも…なっ…んで、…こ…んなっ…!」
また、爽が起き上がろうとする…
おっと、…まだ話は終わっちゃいない…すぐに押し倒す。
「…っくっ…!!な…なんで…」視線が泳ぐ。
「あの…ですね、…俺の話…、ちゃんと聞いてもらえます…?俺はマジで、あの時の犬っす。」
爽が、俺を見つめたまま、ごくりと唾を飲み込む。
「んで…、今は人間に一時的に化けてますけど…ある目的を達成したら、犬に戻る予定です。」
爽はおとなしく聞いている…
やっと、冷静になってきたらしい…
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