【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

真由の次

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自分でも驚きだった…

なぜなら、俺にそんな趣味や性癖がないからだ。

40年以上、男にキスをすることなど、想像したことすらなかったのに… 
なぜかあの時本能で、清春の顎に手をかけ、無理矢理に唇を塞いでしまった…

舌を、清春の口内…奥深くまでいやらしく絡め、何度も吸い上げると、
清春はまるで、水の中で溺れかけた金魚のように、ハフハフと呼吸をしつつ、真っ赤な顔をして、俺の舌から逃れようと身をよじった…

清春は確実に混乱していたが…
実のところ、俺もかなり自分の行動に困惑していた…

ぎゅっと閉じられた瞼…長い睫毛…
男のくせに、なんと…官能的な表情なのだ… 

清春はもともと整った顔立ちだが、俺がキスをした瞬間からその顔が苦しげに歪み…刻まれた眉間の皺が…男の俺にキスをされた驚きとともに、不快感を表しているように見えた。

だが、清春の戸惑っている表情がやけに扇情的で…余計に俺は高ぶり…再び、あまり間を開けずに唇を塞いだ…  

死んでも人には言えないが、危うく俺のそれが反応しかけるほどに、その時の清春は色気を帯びていた…

この世から消えてしまう者が…発する…特有の… 最後の美しさとでもいうのだろうか… 

ふと、気になった…
そういえば…

清春は果たして、真由の最後の手紙を読んだのだろうか…

読んでいたら読んでいたで、死ぬ直前に苦悩を抱えただろう… 

まあ、清春のあの臆病な性格であれば…
あるいは…  

とにかく、清春という男は、今思えば…
俺の人生において、真由の次に…好きな男…人間だったのかもしれない…

しかし男に…
    俺に、二言はない。 
   もはや、決定事項だった。      

      清春を消す…

清春が、茉優子と密かに通じ、真由を苦しめたのは事実だ…

  もはや消すことしか、頭になかった。

                
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