【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

新境地

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真由…    なぜ、ずっと…
その綺麗な目を、閉じたまま…なのだ…? 

俺には、耐え難い現実…全てが、夢であって欲しい… 

   だが、

    これは紛れもない、現実だ…

「お待たせしました、食後の珈琲をお持ちしました」

「ああ、ありがとう… 」

珈琲カップをことりとテーブルに置き、店員が頬を赤らめながらぺこりと会釈をして去っていく。

俺は、淹れたての温かなコーヒーを片手に、過去に思いを巡らせる。


今振り返ってみれば、清春という男は、本当にいい男だった。
忘れもしない、あの結婚前の初顔合わせの日… 

ガチガチに緊張しまくった清春の様子が、今でも鮮明に思い出される。
本当のところ、奴のその様子が面白くてたまらず、どうしても揶揄わずにはいられなかった… 
俺の中の何かが、俺自身を揺さぶった… 
そんな、感覚…

あまりにも、人が良い… 
人の痛みを、頼まれてもいないのに、自分の痛みにすり替えて考えてしまうような、そんな温かな人間…
真由が好きになるだけのことはある…
そして、どこかの誰かに、とてもよく、似ている…
阿呆なほどにお人よしの…優し過ぎる男… 

さっきの奴らに説明した通り、俺は当然ゲイでも何でもない。
真由だけを真っ直ぐに…一途に、愛してきたつもり、なのだが…
清春のことだけは、実のところ、結構… 

いや…本当は、結構…どころでは、ない…
今思えば、かなり…性格的にも見た目的にも好きなタイプの人間だったのかもしれない。

俺の言動にいちいち全力で反応…動揺し…恐らく心中で慌てふためきつつも、外見上は冷静に見えるように気丈に振る舞い、頭の中では必死に防御の言葉を組み立てているのが外から見て丸わかりの…清春…。

反応が、あまりにも可愛らしい男…

何度か、思わず可愛らしいなどと口走ってしまったのはともかくも、

まさか…最後に… 
この俺が…男である清春にあんなにも淫らなキスをしてしまうとは…

      まさに、あれは、
         
       新境地だった…






 







 















 
  

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