【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

選択肢

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男が口を開く。

「先に言っておくが、俺は既に内容に目を通している。なぜと思われるかもしれないが、真由の手帳に走り書きのように書かれていた手紙でも…やはり真由の気持ちを表す遺書だ…。読まない選択肢はなかった。たとえ、俺あてのものでなかったとしてもな…まあ、真由の全ては俺のものだ…そこは、諦めろ… くくっ… 」

「は… はっ… 」
なぜ…勝手に…俺あてのものまで…読んだんだ…許せない…
そう、思ったのだが…駄目だ… 
もはや、まともに言葉を発することが出来ない…反論できない… 

もう…全ては…俺の全ては、あの男の意のままだ…抵抗したって無駄だ…

「そうそう…完全に忘れていた… もう一つ二つ、…男女の情事の記録があったんだった…聞きたいか…?」
いきなりの男の発言…突発的過ぎて、本当に意味が分からない…

「… は… ?」

今度こそ、俺と茉優子ではないか…誰が…聞くものか…
「断る…聞きたく、ない… 」
「ふうん… … 」男はニヤリと意味深な表情で笑う。

やはり、そうか…  絶望だ…  心の中で…
この先…この男から脅しをかけられるかもしれない茉優子に、心から申し訳なく思う。

「そうか… 残念だな… ちなみに… 君には一つの選択肢を与える… 」

「選択… 肢… ?」

「ああ、選択肢…  真由の遺書を読まない、選択肢だ…」

「言っている…意味が…よく、わからない…」

「意味…そうだな、強いて言えば…おまえが消えるからかな…」

「は… … ?」

「すぐに消えてしまう人間が…今更…死のうとした人間の気持ちを…真由の遺書を読んでなんになるんだ…?」

「は …  …」

さきほどから…消す、消すと… 

この男は何度、口に出せば、気が済むんだ…

いい加減、わかってるよ…面倒くさい… 


 俺は、力なく…
      ため息をついた。






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