【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

両刀

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「ひっ…」

哲也がそっと俺の片方の耳たぶに触れ…反射的に、俺の上半身がビクンと跳ね上がる。

手が冷たい…氷のように冷たい…
ああ…さっきまでペットボトルを手にしていたからか… 

「… 清春君…君は本当にいじめ甲斐があるな… なんだ…その可愛らしい反応は…君はひょっとすると、マゾ…なのか…?」

哲也が俺の耳たぶをゆるゆると手のひらと指でさすりながら笑って、俺を見る… 

この男は… もしかして両刀使い…なのか…
表面上は女好きと見せかけて、まさか…男も…対象…  なのか… … ?

そんなことをつい考えてしまうほどに、いちいち男の仕草がなんとなくいやらしく…
当然のことながら、男には免疫がない俺の体に…肌に、小さく鳥肌が立ち始める… 

しかも、マゾかと…聞かれるとは…
ありえない… 
それを言うなら、おまえは間違いなくサディストだろうと…密かに胸の内だけで、考える。

「… … …」
俺が返事をせずに黙っていると哲也は笑った表情のまま、言葉を続ける。

「まあ、いい… とりあえず、これを聞け…」
そう言って、イヤフォンを俺の両耳にあてがおうとする。

嫌だ…
そんな、わけもわからない音声…聞きたくもない…きっと、茉優子が出てくるのだろう…?男女の情事だと…男ははっきりと、そう言った…

つまり、単なる食事の際の健全な会話などではなく…激しい行為の最中の俺の余裕のない声と…茉優子の艶めかしい反応… 

考えただけで、再び眩暈に襲われそうだ…

俺にわざわざそれを聞かせようとする時点で…既に哲也は、この音声を耳に…中身を確認していることになる…

人のセックスを…他人の一番知られたくないプライベートな部分…そんな行為…男女の交わりの様子を…盗聴するとは…

なんという男だ…
たとえ、俺と茉優子の不倫の現場を押さえようと…暴こうと奔走していたとはいえ…さすがに盗聴…録音は、やり過ぎでないか…

哲也の常軌を逸した行動に、

     心から憤りを覚える…
 
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