【完結・R18】鉄道の恐怖

もえこ

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清春編

眩暈

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いや…  そんな…
 そんな、馬鹿なことは…うん…

     そうだ、あり得ない…

俺と茉優子は…
いつも、ホテルの一室でのみ、抱き合っていた…

真由とともに暮らす俺の自宅や…
茉優子がDV旦那と暮らす、茉優子の家… 
お互いの、個人的なテリトリー…そんな領域では一度も…抱き合ってなどいない…

そもそも、俺と茉優子は、
いまだにお互いの自宅の場所を…
位置など含めて、知らないままだ…。 

最寄りの駅だけはわかっているが…互いの家がどこにあるのかもわからないまま…逢瀬を重ねていた。
こんな関係…だからかも、しれない…
不思議なことにどちらも、お互いの家の位置を特定しようとはしなかった。 

俺は用意周到な男だ…

バレるわけにはいかなかった…
だから、そんな場所で…

例えば俺の家の、夫婦の寝室などでは…もちろん、そんな行為に及んだことなど、ない…

     だとすると… まさか… 


「どうした?清春君…顔色が悪いぞ…真っ白だ…水でも持ってこようか… 」

男が抜け抜けと…頭上で何か言っている…

     
     まさか、ホテル…か
 

       盗撮…か… 

   いや…男は、音声と言った…

    
  まさか…盗聴… されていたのか…

いつだ… ?
     嘘…だろう… 大体、

     …  どうやって…?

そもそも、そんなこと…そんなプライバシーに抵触するようなことを…
人として…やっていいのか… 

   犯罪レベル…犯罪じゃないか…

      いや…この男なら…
 
俺を消すと、堂々と宣言しているこの男なら… 容易だ… きっと簡単にやってのける

      十分に、あり得る…

俺は座ったままにして…
最近経験したこともないほどの

      眩暈を覚えた …


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