【完結・R18】鉄道の恐怖

清春編

答え

おそらく…
　　　　俺にもう、明るい未来はない。

いや…明るいとか暗いとか、そういう次元のものではなく…いかなる未来も、ない…

なぜだか、確信がある。

相手がこの男でなければ…
哲也でなければ…そうは思わなかったのかもしれない…
違ったのかも、しれない。

だが、この男はきっと、半端なことはしない。確実に、俺の息の根を止めるつもりだろう…

執念深く獲物を狙って、隙をついて自分の領域に抱え込み…その血肉を余すことなく喰い千切る、野生の猛獣のように…

俺は自分のことについては半ば諦めの境地のまま…今の自身の欲求のままに、男に願い出る。

「真由の手紙を…見せてもらえませんか…」

「…だよな… やはり、見たいよな… いいよ…だが、その前に…これはどうする…？」

ぶらんと…
イヤフォンが少し垂れ下がりかけた携帯電話が…俺の前に差し出される。

さきほどの黒い携帯…
 
これは、なんなんだ…
誰のものだ…？
どうするとは、どういう意味なのだ…
男の言わんとしていることが、さっぱりわからない…

「これは… なんですか…？誰ので…」

哲也が言葉を被せる。
「これはね…俺の携帯だよ…消える前に…答えを知りたくはないかと、思ってね… 」

「…    は…   答え… ？…」

　　　　　　　「そうだ… 答え… 」

哲也が俺を見下ろし…
　　
　　　　　　　　いつかのように、
　　　　　　　　　にんまりと笑った。